ハースF1チームの小松礼雄代表は、チームの新ドライバーであるエステバン・オコンとオリバー・ベアマンがコース内外で円滑な協力関係を作るための基盤を固めている。経験と若さが組み合わされていることから、小松代表は、オーストラリアでの開幕戦までに明確な“交戦規則”を定め、チームワークと互いに尊重することが極めて重要になると考えている。
ハースの新ラインアップは、チームにとって新たなスタートを切るものとなる。その前は、過去の緊張状態にも関わらず常に協力し合い、力強い仕事関係を築いてきたケビン・マグヌッセンとニコ・ヒュルケンベルグとの調和のとれた2年間があった。
しかし、激しいレーススタイルで知られる気性の激しいオコンとルーキーのベアマンの加入により、新たな課題が浮上した。
■初日からの交戦規則
小松代表はメディアセッションにおいて、両ドライバー間の不必要なインシデントを避けるために、早い段階で規則を設定することの重要性を強調した。
「交戦規則は初日から完全に明確にしなければなりません」と小松代表は語った。
「それは最初のレースの前に明確になるはずです。そのせいでチームメイトと接触したり、DNFになったりすることはないと思います。しかし、激しいレースをするのはよいことです」
「昨年のケビンを見てみると、彼はタフなレーサーです。ケビンとニコの場合は、問題にはならなかったものの、一番そうなりそうだったのはオーストリアでした。あれは、ピットストップのタイミングなどに関して私たちが完璧ではなかったことが一因でした。自分たちでどうにかできなかったのです」
「ですので、チームとしてそのような混乱を起こすべきではありません。ですが、チームメイトとしてお互いを理解し合うことで、交戦規則は完全に明確になるでしょう」
オコンと元チームメイトたちとのコース上での衝突の歴史は、フォースインディアでのセルジオ・ペレスとのことや、アルピーヌでのフェルナンド・アロンソとの激しいバトルなどがあり、小松代表の積極的なアプローチの重要性が強調される。
■ベアマンはルーキー扱いされない
ベアマンは、このスポーツでの最初のフルシーズンを目前にしているところだ。フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のメンバーである19歳のベアマンは、昨年カルロス・サインツの代役としてフェラーリから出場したサウジアラビアでのデビュー戦でポイントを獲得した。その後はアゼルバイジャンとサンパウロでマグヌッセンの代役を務め、強い印象を残した。
小松代表は、スクーデリア傘下のベアマンに全幅の信頼を寄せており、ベアマンを従来のルーキーとして扱うつもりはないと主張している。
「昨年の我々のオペレーションを振り返り、チームとしてどう改善できるかということ、つまり昨年何がうまくいき、何を改善できたかということを考え、その教訓を今年に活かしていきます」
「正直に言って、エステバンとオリー(ベアマンの愛称)というふたりの非常に優秀なドライバーがいます。オリーはルーキーですが、私は彼をルーキーとして扱っていません」
「私は彼に、これらの若いエンジニアたちとともに多くの走行を行い、一緒に成長できるだろうと伝えました。彼が言わなければならないことに十分注意を払っているという点で、私たちは彼を新人として扱っていません。なぜなら彼はフェラーリのシミュレーターで多くの経験を積んでいますし、我たちのマシンであるVF-23とVF-24をドライブしてきたからです」
「彼はマシンに乗るたびに優れたフィードバックを返しますし、アプローチもよく、スピードも素晴らしいものです。バクーとインテルラゴスの両予選セッションを見れば、彼は我々の基準だったニコよりも優れた結果を出したことがわかるでしょう」
「ですから、私たちには非常に素晴らしいコンビネーションがあると思います。本当に楽しみにしているのです」
ハースは2024年に学んだ教訓を活かし、今シーズンのパフォーマンスを最大限に高めることを目指している。小松代表は、両ドライバーがコース内外での役割と責任を理解している限り、オコンの経験とベアマンの素質がチームを前進させる可能性があると自信を持っている。明確な期待とチームワークを重視しながら、ハースは競争力のあるレースと、ガレージ内の調和を維持することのバランスを取ろうとしている。