警視庁の第100代警視総監に就任した迫田裕治氏(56)が28日、東京・霞が関の同庁本部で記者会見した。「都民、国民の声に耳を澄まして治安ニーズをくみ取り、課題解決への使命を果たしていく」と抱負を語った。
迫田総監は治安情勢について、犯行の手段が現実社会からサイバー空間へと広がっていることなどを挙げ、「犯罪を実行する心理的、物理的ハードルが下がっている」と指摘した。
その上で、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)や組織に属さない単独テロ犯「ローンオフェンダー」(LO)への対策など、課題は目白押しだとし「過去のやり方にとらわれず、柔軟な発想で最善手を取れるように努めたい」と語った。
緒方禎己前総監(61)は退任の記者会見に臨み、「警察の総合力をもって対応することの重要性を肝に銘じた」と在任中を振り返った。「濃密で充実した1年だった」と語るとともに、現場の職員に「社会の変化や都民、国民が求めるものに応じて柔軟に変わる努力と、譲れないもの、曲げられないものを守り続ける努力を続けてほしい」とエールを送った。
離任の記者会見をする緒方禎己前警視総監=28日午前、警視庁
事務引き継ぎ後、握手する迫田裕治警視総監(左)と緒方禎己前警視総監=28日午前、警視庁