森友学園への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、同省が検察に任意提出した文書を開示しないのは違法として、自殺した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(53)が不開示決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。牧賢二裁判長は決定を取り消し、原告側逆転勝訴とした。
雅子さんの開示請求に対し、財務省は捜査への支障を理由に、対象文書の存否も明らかにせず不開示を決定。一審大阪地裁判決はこうした対応を適法として、開示を認めなかった。
これに対し二審判決は、開示請求が2019年8月に捜査が終結した後の21年8月に行われたことを挙げ、「情報を公にすることで、本件の捜査に支障を及ぼす恐れがあるということはできない」と判断した。
その上で、検察は財務省がどういった文書を所持しているか認識しておらず、どの文書を提出するかは同省の判断に委ねられていると指摘。同省が提出した範囲が明らかになっても捜査の意図が明らかになるとは言えず、「機密性の高い情報が推知されるとは考え難い」と結論付けた。
昨年3月には不開示決定を不服として雅子さんが行った審査請求に対し、情報公開・個人情報保護審査会が不開示決定を「取り消すべきだ」と答申したが、財務省は同5月、再び不開示とする裁決をしていた。
判決を受け、財務省は「近畿財務局の職員が亡くなったことは誠に残念で、改めて深く哀悼の意を表す。判決の内容を精査した上で今後の対応について検討する」とコメントした。