FIAは1月29日の早い時間に、元F1ドライバーでグランプリ優勝経験を持つジョニー・ハーバートをFIAスチュワードから解任したことを発表した。その理由は、彼のスチュワードとしての職務と、多数のオンラインメディアのF1解説者としての立場との間に利益相反があったためとされている。人気のあるハーバートは、FIAを去った最新の著名人となり、過去4カ月間に役職を解かれたオフィシャルの長いリストに加わった。
FIAは短い声明のなかで、「残念ながら本日、ジョニー・ハーバートがFIAのF1ドライバースチュワードの職を退くことを発表する」と述べた。
「ジョニーは広く尊敬されており、その職務に貴重な経験と専門知識をもたらした」
「協議の結果、FIAスチュワードとしての彼の職務とメディアにおける評論家としての彼の職務は両立しないということで、双方が合意した」
「彼の貢献に感謝し、今後の活躍を祈っている」
ハーバートの意見は、特にオランダのメディアやファンの間でかなりの論争を巻き起こしていた。昨シーズン後半にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がランド・ノリス(マクラーレン)に対して行ったいくつかの行動を、彼が公然と批判したからだ。ハーバートは最新のポッドキャストで、次のように語っていた。
「昨年面白かったのは、マックス・フェルスタッペンがゲームをしていたことだ。彼はやりあっていたすべてのドライバーについてコメントして、コース上の全員を威圧していた。しかし、彼らはみんな反抗し、抵抗し、立ち上がり始めた。ジョージ・ラッセル(メルセデス)は彼に立ち向かったひとりだった」
それでもハーバートは、フェルスタッペンの態度についてそれほど否定的ではなく、次のように認めた。
「それは素晴らしい強みだと思う。非常によい強みだ。フェルスタッペンは常にみんなを威圧したがってはいるが、突如として疑問符が出てくるだろうからだ。ある特定のコーナーで、他のドライバーは彼を威圧することができるだろうか? この特定のラップではどうか? 選手権のこの特定の時期ではどうか?」
ハーバートは、シンガポールGPの週末の初めに行われたFIAの公式記者会見でフェルスタッペンが罵り言葉を使用した後、フェルスタッペンに“社会奉仕活動”を命じたスチュワード委員会の一員だった。フェルスタッペンはそのことを責めず、次のように語った。
「スチュワードは従わなければならない規則があり、彼らはそうした。ジョニーと他の人たちは、なぜそうしなければならなかったのかをとても丁寧に説明してくれた。だから僕は彼らとの間に問題はない。問題はルールとの間にある」
ハーバートがFIAを去ったことから、スチュワードとして仕事をする準備ができていて、今シーズン残留する予定となっている元グランプリドライバーは、デレク・ワーウィック、ビタントニオ・リウッツィ、エンリケ・ベルノルディの3名だけとなった。しかし、ベルノルディは母国ブラジルで多くのビジネスを展開しているため、スケジュールが重なってしまうことが多い。そのため、無給でプレッシャーの大きいFIAスチュワードの仕事を引き受けてくれる数名の元グランプリドライバーの採用活動が行われているところだ。