ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、第4戦に控えるル・マン24時間レースに向けて「可能な限り最高の準備」をするため、WEC世界耐久選手権の開幕2ラウンドにドライバー3名編成を採用すると決定した。
ポルシェ・ペンスキーは2025シーズンに向け、 10名から8名へと縮小されたポルシェ963のワークスドライバー・ラインアップをすでに発表しており、WEC、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権ともに、1台あたり2名のレギュラードライバーを置き、それぞれのシリーズで2台体制でシーズンを戦う。
■ル・マンで必要になる“あとひとり”問題
WECでは、2024年の世界タイトルを獲得したローレンス・ファントールとケビン・エストーレが6号車の、ミカエル・クリステンセンとサテライトチームから昇格するジュリアン・アンドラウアーが5号車のレギュラーを務め、ル・マン24時間を含む数戦では前者にマット・キャンベル、後者にはマシュー・ジャミネがサードドライバーとして加わるとしていたが、この3名編成がシーズン序盤2戦でさっそく採用されることになる。
「カタールとイモラの両方で3名編成を採用するというのが、現在の計画だ」とポルシェ・ペンスキーのマネージングディレクター、ジョナサン・ディウグイドは語った。
ポルシェのLMDhファクトリーディレクターであるウルス・クラトルは「ル・マンに向けて、これが我々ができる最高の準備だ」と付け加える。
ジャミネとキャンベルが同じ週末にラグナ・セカでIMSAに出場するため、スパ・フランコルシャンでのWEC第3戦では、おそらくコアとなる2名編成へと縮小されるかもしれない。
ただしディウグイドは、ル・マン24時間レースに予定されている3台目のハイパーカーエントリーに起用するドライバーを、スパで走らせる可能性を排除しなかった。
IMSAのGTPタイトル獲得による自動招待で、同チームは3台目の車両をWEC第4戦のル・マン24時間に送り込むことが見込まれるが、先述の6名にIMSAレギュラーのフェリペ・ナッセ、ニック・タンディを加えても、そこではあとひとり追加ドライバーが必要になる。
「今後1カ月半か2カ月で明確な方向性が定まるだろう。つまりそれはスパのレースの前だ。我々がその状況を把握できたら、決定することができる」とディウグイドは語った。
ディウグイドは、ル・マンの前にジャミネとキャンベルにできるだけ多くWECでのドライブ時間を確保することが、イモラ・ラウンドでも彼らをマシンに乗せる主な理由だと語った。
「そこでもテストする機会がある」と彼は語った。
「昨年イモラで走れなかったマシューは、事前にそのトラックでテストする機会がある」
「マシンをただ理解するだけでなく、彼はそれを非常によく理解している。エンジニアリング・クルー、バーチャルセーフティカーの手順、その他すべてについてだ。本当に良い機会となる」
「ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのドライバーたちが963を運転する時間が長くなればなるほど、それは誰にとっても良いことになる」
全体的なセットアップの観点から、2名ドライバーと3名ドライバーのチームの違いについて尋ねられると、彼は次のように付け加えた。
「ドライバーの組み合わせを正しく行えば、2名でも3名でも問題はない」
「だが、ひとつの週末に3名ではなく2名のドライバーを満足させるだけでいいのは、明らかだ」
「レースには、より強い選手がいるフェーズなど、さまざまなフェーズがある。我々はかなりオープンだと思う。そして、ドライバークルーのレベルはかなり高い。我々はあまり心配していない」
「私が覚えている限り、IMSAの6時間レースも2名のドライバーで走ってきた」
「彼らがリラックスできるセーフティカー・ピリオドなど、いくつかの違いはあるが、一般的に、周囲の状況に懸念がない限り、精神的な健康状態についてはあまり心配していない」
なお、ル・マン後のポルシェ・ペンスキーのWECラインアップの構成については、後日決定されるという。
「(すぐに)決定する必要はない」とディウグイドは付け加えた。
「ひとつは、ドライバー3名で2レース、追加ドライバーなしで1レースを戦うことだ。エンジニアリングとドライバーのクルーから、とりわけ『これなら影響がない』あるいは『こうじゃない方がいい』といったフィードバックを得る予定だ」
「彼らの多くは(IMSAでも)963を走らせている。彼らも議論のテーブルに着くだろう。我々は何でも受け入れる」
ディウグイドは、ジャミネとキャンベルが9月にサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催される第6戦や、すでに確定しているシーズン最終戦バーレーン8時間レースでWECのラインアップに復帰する可能性が高いと述べている。
「COTAや夏季のあらゆるレースについては、(3名体制を)検討していると思う」と彼は言う。
「もちろん、(IMSAの)ワトキンス・グレンでも非常に暑いときにレースをしたが、うまくいった。963にはエアコンシステムがあり、それが助けになっている」
「一般的に、メンバーのフィットネスレベルは非常に高かったりもする。我々は、状況に応じて対応していく」