フォード・モーター・カンパニーは1月30日、WEC世界耐久選手権とル・マン24時間レースでの総合優勝を目指し、新型のLMDh規定車両を開発して2027年からハイパーカー・カテゴリーに参戦すると発表した。
フォード・パフォーマンスの『シーズン・ローンチ』イベントで明らかにされたこの発表により、フォードは世界選手権のハイパーカー・カテゴリーに、フルファクトリーチームをエントリーすることになる。
このプログラムの詳細については発表されておらず、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権や、並行プログラムの可能性についても言及されていない。
この、フォードのファクトリーLMDhプログラムの発表は、フォード・パフォーマンスのグローバル・モータースポーツ・ディレクター、マーク・ラッシュブルックがプロトタイプの取り組みを評価していることを認めてから数カ月後に行われたものだ。このプロジェクトの作業は、ここ数週間で活発化していると報じられている。
■ビル・フォード「ル・マン以上に意味のあるトラックやレースは存在しない」
フォードがル・マンでトップクラスのファクトリー・プロトタイプを投入するのは、1982年のグループCカーであるC100以来となるが、1990年代から2000年代初頭にかけて、ライリー&スコットやパノスのモデルなど、フォードのエンジンがいくつかのプロトタイプに搭載されていた。
1966年から1969年にかけて、フォードは伝説の『GT40』で4年連続のル・マン総合優勝を果たしたことで有名だ。
21世紀に入り、2016年からの4年間は、WECとウェザーテック選手権の双方で『フォードGT』でGTカテゴリーへと参戦していた。
フォードは現在、マルチマチック製作のマスタングGT3でレースに出場しており、2025年1月末のIMSAデイトナ24時間レースでは、GTDプロクラスの初優勝も奪取している。
「フォードのパフォーマンスとレースは、新たな時代を迎えている」と、フォード・モーター・カンパニーのエグゼクティブ・チェアマン、ビル・フォードは語った。
「オンロードとオフロードで我々が何をしているかを見れば、それが分かる。我々がレースをするときは、勝つためにレースをする。そして、我々の歴史にとってル・マン以上に意味のあるトラックやレースは存在しない」
「そこは、1960年代にフェラーリと対戦して勝利した場所だ。そして50年後に戻ってきて、世界に衝撃を与え、再びフェラーリを打ち負かした場所だ」
「ル・マンに戻り、耐久レースの最高レベルで競うことに私は興奮している。我々は再び世界に挑戦し、『全力でかっ飛ばす』(※原語=Go like hell!:2019年公開の映画『フォードvsフェラーリ』の制作発表時の仮タイトル)準備ができている」
■2027年は10メーカーによる争いに?
現在、WECのハイパーカークラスでは『ル・マン・ハイパーカー』と『LMDh』というふたつの規定の車両が争っている。フォードは、LMDhプラットフォームに正式にコミットする8番目のメーカー(IMSAのみに参戦するアキュラ、ランボルギーニを含む)だ。
そして2027年のWECにおいては、アルピーヌ、アストンマーティン、BMW、キャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、トヨタ、2026年から加わるジェネシスに続く、10番目の参戦マニュファクチャラーとなりそうだ。
「フォードが約60年ぶりにル・マン24時間レースのトップレベルに戻ってくるのは素晴らしいニュースだ」とACOフランス西部自動車クラブ会長のピエール・フィヨンは語った。
「フォードは常にこの特別なレースと密接な関係を持ってきたブランドであり、歴史が示すようにフォードは2位を争うことはない。フェラーリとの有名なライバル関係が復活することは、本当にエキサイティングな展望だ」
WECのCEOであるフレデリック・ルキアンは次のように付け加えた。
「フォードは数十年にわたり、トラック内外における成功の代名詞であり、同社が最新の挑戦先としてFIA世界耐久選手権を選んだことを嬉しく思う」
「2027年に少なくとも10の主要自動車ブランドがシリーズのトップレベルにコミットしていることは、この選手権の素晴らしい勢いと成長の証である」