hydeや米津玄師のレコーディングに参加! トランペット奏者の松井秀太郎が語る半生

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2025年01月31日 12:10  J-WAVE NEWS

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トランペット奏者の松井秀太郎が、音楽を始めたきっかけやhyde・米津玄師と共演したときのエピソード、憧れのジャズミュージシャンへの思いについて語った。

松井は1999年東京生まれ。音大を首席で卒業して数か月後に世界的ジャズピアニスト・小曽根真のプロデュースでソロデビューし、現在ジャズシーンで注目を集める新進気鋭のアーティストだ。

松井が登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。

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幼少期には幼稚園で歌った曲を耳コピしてピアノで演奏

「BMW XM」は六本木ヒルズを出発。その車中にて松井は、音楽を始めたきっかけから語り始めた。幼稚園の頃、おもちゃの楽器で夢中になって遊んでいたという松井。その姿を見た両親がピアノを買い与えたところ、幼稚園で歌った曲を耳コピして弾いてみたり、鍵盤を叩きながら自分で歌を作ったりしていたという。その後、小学校に入学する頃には運命の楽器と出合うことになる。

松井:トランペットは小学校の金管バンドクラブで始めました。オーディションでは希望楽器の記入を求められるのですが、金管楽器・打楽器のなかでトランペットしか知らなかったから選んだんですよね。なので、そこまで切望していたわけではなかったんですけど、まさか、こんなにトランペットを吹く人生になるとは思ってもみませんでした(笑)。

何気なく始めたトランペットだが、松井はその魅力の虜となっていく。音楽室に入り浸っていたという小学校時代を経て、羽村第一中学校へ入学後は吹奏楽部へ入部。トランペットの練習に日々明け暮れていたのだが、中学3年生の受験期を迎えると「これからどうやって音楽をしていこう」と悩むようになる。

松井:あのときは「もう楽器をやめようかな」と考えて塞ぎ込み、不登校になってしまいました。でも、学校へ行かない間にトランペットから離れていたら、どうしても吹きたくなってしまって。そのときに「もうこれはトランペットをやっていくんだな」と思い、プロになろうと決めたんです。プロを目指すからにはしっかりと学びたい。そこで音大進学を見据えて、国立音楽大学附属高等学校へ入学しました。高校ではクラシックを専攻し、大学へいくタイミングで、ポップスをはじめとしたクラシック以外のトランペットの奏法にも強い興味を持つようになって。そんなときに国立音大にジャズ科があると知りました。ジャズ科の先生たちが誰もが知っているようなトップミュージシャンの方ばかり。ここにいけばその方たちと一緒に吹けたり、指導してもらえたりするに違いない。そう思い、ジャズについて何も知らないまま国立音大へ入学しました。

恩師との出会いで知ったジャズの楽しさ

「BMW XM」は、玉川上水にある国立音楽大学のキャンパスへ。同大学のジャズ科へ進学した松井は講師として授業を行っていた世界的ジャズピアニスト・小曽根真の薫陶を受け、ジャズの本当の楽しさに目覚めたという。

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松井:国立では、ジャズが “自分”を表現することにフォーカスした音楽だと知れたのがすごく大きかったです。ジャズはそのときどきで自分のやりたい音楽を演奏し、それに呼応して他のミュージシャンも自由にパフォーマンスを繰り出す。そうやって演奏を重ねてどんどん変化していくところが魅力なんですよね。

でもジャズ科に進学した当初の僕は、これまで曲のなかで即興演奏を全く披露してこなかったというコンプレックスを抱えていました。そんな大学一年のあるとき、講師を務めていたジャズピアニストの小曽根真さんと出会い、アンサンブルを見ていただいたんです。小曽根さんは「正しく吹こうとするのではなく、今自分がこの音楽で何をしたいか表現することが一番大事」「『間違った音を出してしまうかもしれない』と怖がらず、『自分が今この音楽にどう関わっていけるだろう』と考えるのがジャズだよ」と教えてくださいました。この話を聞いて「自分はジャズがすごく好きかも知れない」と思い、気付いたらハマっていたんですよね。

ちなみに、国立音大には二つビッグバンドがあって。一つは国立音大生を中心に他大学からもジャズが好きな大学生が集まった「NEWTIDE JAZZ ORCHESTRA」。もう一つが、国立音大ジャズ専修生だけで構成された「Gemstones Jazz Orchestra」です。「NEWTIDE JAZZ ORCHESTRA」は毎年メンバーが変わる関係でその年毎に異なる音楽を演奏し、一方の「Gemstones Jazz Orchestra」では幅広い時代の音楽を演奏します。僕は一年次からどちらのバンドにも参加し、様々な時代のジャズ・スタイルに触れていました。そういった意味で、2つのバンドに育ててもらったという感覚もあります。

hydeや米津玄師のレコーディングに参加

小曽根からの教えを受け、ビッグバンドでの演奏を重ねて、松井はトランペットの腕前をメキメキと上げていく。その確かな実力により、在学中から大物ミュージシャンとの仕事が舞い込むようになった。

松井:最初に演奏させていただいた大きなライブが、hydeさんのコンサートツアーでした。そのときはまだ大学生で、コロナ禍に伴い大学の授業がオンラインだったために、参加することができました。そういった意味で、タイミングに恵まれていたと言えるかもしれません。やっている音楽はビッグバンドのジャズとは異なりますが、一つのステージを作る上で同じことを目指している気がしました。hydeさんのようなトップアーティストとの共演は学ぶことが多く、とても貴重な経験でしたね。米津(玄師)さんはレコーディングに参加させていただいたんですけど、本当に妥協がないというか。楽譜通りに吹ければいいというわけではなく、その曲にどう管楽器を入れるか様々な方法を試したことが印象的でした。僕自身もそういうレコーディングをしていきたいと思いましたね。
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J-POPのトップアーティストから次々と引き合いがあり、今や新進気鋭のトランペット奏者として注目を集める松井。彼にとっての原点ともいうべき憧れのアーティストの一人が、現代最高峰のジャズミュージシャンであり、トランペット奏者のウィントン・マルサリスだ。これまでに9つのグラミー賞のほか、ジャズミュージシャンとしては初のピューリッツァー賞(音楽部門)も受賞しているジャズ界の巨匠を敬愛する理由とは?

松井:ウィントン・マルサリスが吹くハイドンのトランペットコンチェルトが、おそらく僕が初めて聴いたウィントンの演奏でした。様々なジャズミュージシャンがいるなかで、一番音色や演奏を「カッコいいな」と思ったのが彼だったんです。初めてその存在を知ったとき、綺麗な音や多様なスタイル、あるいは、そのときどきに合った奏法・音作りをしていることに、「こんなにすごい人がいるんだ!」と驚いたのを覚えています。それからずっと好きなので、ウィントン・マルサリスを聴くことがなかったら、こんなにジャズをやろうとはならなかった気がするんですよね。

「やってみること」を大事にしていく

松井は2024年10月23日に2ndアルバムを発売した。大学時代の恩師である小曾根プロデュースのもと、世界中のミュージシャンが憧れるニューヨークの伝説的スタジオ「パワーステーション」でレコーディングされた同作のタイトルは『DANSE MACABRE』だ。

松井:『DANSE MACABRE』はサン=サーンスの楽曲で、日本語で「死の舞踏」を意味します。アルバムにはこの曲をアレンジしたものを収録しているのですが、死をテーマにした作品である反面、僕は生へのエネルギーを感じていて。作曲者であるサン=サーンスが作ったもともとの形があるなかで、独自の解釈で曲を再構成することがニューヨークででき、僕にとって大きな経験となりました。

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アルバムのタイトル曲『DANSE MACABRE』は、19世紀後半に活躍したフランスの作曲家サン=サーンスの『死の舞踏』を松井流にアレンジしたナンバーだ。今回のアルバムにおけるその他の収録曲はすべて松井のオリジナル曲。ニューヨークでのレコーディングが決まってから作り始めた曲が多く、参加するミュージシャンをイメージしながら書いたという。また、年明けから始まるホールツアーに向けてコンサートホールでの響きを意識した上で、「トランペットで歌うこと」を意識してアレンジしたそうだ。そんな彼にとって「未来への挑戦=FORWARDISM」とは?

松井:一番大事にしていることは「やってみること」です。僕の今までの音楽人生は、知らないことに飛び込んでいくことの連続でした。できるかできないかより、まずはやってみることがもっとも大事だと思っていて。それこそ、ジャズを始めたときもジャズのことは何もわからなかったけど、とにかく始めてみました。今はクラシックに挑戦していますが、自分のできることをやってみようという気持ちで取り組んでいます。そういった好奇心や探求心を今後も大事にしていきたいです。具体的なことでいうと、ジャンルの異なるアーティストと一緒に演奏させていただくことで視野が広がるので、予想もしていなかった楽器の方と共演してみたいですね。

(構成=小島浩平)
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