南半球を代表するオーストラリア大陸最高峰の“ティントップ”シリーズ、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに参戦する現行Gen3規定モデルのうち、フォード陣営の第7世代マスタング・スーパーカーがモータースポーツ界で世界的に有名なオーバルのひとつに初見参。
元ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)の車体として製造され、2023年末実施の歴史的な風洞テストに供された個体がアメリカ・ノースカロライナ州に位置するシャーロット・モータースピードウェイに挑戦し、先のデイトナ24時間レースにて新型マスタングGT3に世界的イベントでの初優勝をもたらしたフォード・マルチマチック・モータースポーツのクリストファー・ミース、デニス・オルセン、フレデリック・バービシュがステアリングを握っている。
オーストラリアではフォードの代理店業も務めるミーデッケ・モータースポーツのソーシャルチャンネルで明らかにされたように、NASCARカップ・シリーズでの象徴的なイベントのひとつに数えられる『コカ・コーラ600』の会場であるシャーロットのオーバルに、異なるシェイプを持つ世界最初の第7世代モータースポーツ・マスタングとなったGen3規定モデルが登場した。
この元DJRの個体は、2023年シーズン開幕戦でシェルVパワー・レーシング・チームのウィル・デイヴィソンがレースで使用。当時“DJRS-03”と名付けられたシャシーは、チームにGen3時代初の表彰台をもたらした。そのシーズン終了後に北米のウインドシアに送られ風洞試験を実施したDJRS-03は、それ以来ずっとそこに留まっている。
その個体をふたたび陽光のもとへ運び出したフォード・パフォーマンスは、先日の2025年デイトナ24時間でGTDプロクラス初制覇を達成したご褒美として、65号車フォード・マスタングGT3のレギュラーを務めた3名にシートタイムを提供。スーパーカーの伝説的人物であるディック・ジョンソン御大からレクチャーを受けたミースは、彼から直接“Gen3マスタング”のステアリングを引き継いだ。
■カストロールカラーのマスタングを発表
一方、真夏のオフシーズンが明けようとしているオーストラリア本国では、この週末に“聖地”マウント・パノラマ・サーキットで開催されるIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦『バサースト12時間』のレースウイークに便乗し、RSCのテストセッションが併催されることに。
ここではDJRからチーム18に移籍したアントン・デ・パスカーレが、新造シャシーのシェイクダウンに臨んだほか、フォード陣営のトップチームであるティックフォード・レーシングからはキャメロン・ウォーターズが参加。その金曜セッションを見守った僚友のトーマス・ランドルは、自身の2025年仕様55号車カストロール・レーシングのカラーリングを発表している。
「マウント・パノラマで2025年カストロール・レーシングのカラーリングを発表できてうれしいよ」と、昨季2024年はキャリア最高のランキング5位を記録し、引き続きカストロールが支援するマスタングで4年目を迎えたランドル。
「クルマは素晴らしく、僕にとっては昨年からさらに進歩した印象だ。シドニー ・モータースポーツパークでの開幕ラウンドに向け、コースに出て全力で走り出せるのが本当に楽しみだ」
プレシーズンで新しい外観を発表した2番目のチームとなったカストロール・レーシングだが、この2025年モデルは昨季使用されたカラーリングの進化版で、赤のアクセントが増加。またティックフォード系列の新しいエンジニアリング会社も、フロントガラスのバナーとリヤクォーターパネルに登場している。
「昨年のシドニーでは表彰台を獲得し、ティックフォードが最前列を独占するなど本当に好成績を収めた。だから、スポットライトの下でふたたびそんなレースをしたいと強く思っているんだ」とランドルは付け加えた。
「ここマウントパノラマはオーストラリアでもっとも象徴的なトラックであり、バサーストでのカストロールの成功の歴史を考えると、2025年シーズンを開始するのに最適な場所だね」
トラックでの走行を開始している前出のパスカーレとウォーターズは、それぞれ暫定版のテストカラーでコースインしており、ウォーターズの“モンスターエナジー・マスタング”のお披露目は2月14日に予定されている。