本番組をナビゲートするのは、モデル・俳優の中田絢千(なかた あやか)。10代からモデルとして活動し、大学卒業を機に役者としても仕事の幅を広げた中田は、TVCMをはじめ、雑誌、MV、ドラマ、映画、ナレーションなどさまざまな形でメディアに出演し、2024年4月から本番組のナビゲーターに就任した。
生放送の早朝ラジオに週4で出演する──それまでと一変した生活のなかで、彼女が感じたこととは。
起きるのは2時台! 早朝生放送のスケジュールは?
──中田さんはもともとモデル、俳優として活動されていますが、ラジオの仕事を始めたきっかけは?中田:声の仕事ができないかなぁ……と、10年ほど前にラジオ出演の際お世話になったスタッフさんにご相談したあと、ほどなくしてこの番組のオーディションにお声がけをいただいたことがきっかけでした。ただ、生放送はもちろん、自分の言葉で話す・しゃべる仕事はまったくの初心者だったので、当時は「こんな機会は二度とないかもしれない。オーディションは思い切りやって、楽しんで帰ろう!」と。なので決まったときは「まさか!」という嬉しい気持ちと「……本当に?」と信じられない気持ちと半分半分で、なんだか狐につままれたような感覚だったのを今でも覚えています。
スタート当初、何より心配だったのは早起き! 加えて週4日間の生放送というはじめての経験に「慣れる日って来るのかな……」と不安もありつつも、気づけばいつの間にか生活の一部になっていました。朝時間をスタジオで、そのほかインタビューや取材の時間も含めて、『JUST A LITTLE LOVIN'』のことを考えるパーセンテージが自然と増えていって。もうすぐスタートから1年になりますが、まだ1年経っていないのが不思議なくらい濃密な時間を過ごせていることに感謝です。
――本番組は早朝5時からの生放送です。放送がある日はどんなスケジュールですか?
中田:2時〜2時半ごろまでには起床し、原稿に目を通しながら朝食を食べて、3時半前には家を出ます。J-WAVE到着後、4時前から打ち合わせをして、5〜6時に生放送に臨む……というのが大まかな流れです。放送後、他愛ないおしゃべりも交えながら、次の日の打ち合わせ。J-WAVEを出たあとは、別の仕事がある日はそのまま撮影現場へ直行したり、ない日はそのまま帰宅して洗濯機を回しながらうとうとしたり、睡眠はちょこまかでもとるようにしています。
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――毎朝2時起床はすごいですね……!
中田:実は、朝の番組のほかに、同時期から担当しはじめた番組があって……。他のラジオ局ですが、土曜日19〜21時もJ-WAVEのスタジオから生放送をしています。つまり、土曜の番組を終えた30時間後には、月曜日の『JUST A LITTLE LOVIN'』のために同じスタジオに入るんですね。4月の第一週目が終わって真っ先に思ったのは「ああ、とんでもないことを引き受けてしまった……!」と(笑)。でも、決して負担ということではなく! 異なるふた番組を並走させてもらったからこそ、どんどん、どんどん自分のなかの新しい扉を開けてもらえた。とてもありがたかったです。
ラジオに出演して気づいた「奥深さ」とは
──週5のラジオ生放送に臨むというと、仕事の比重としても大きいかと思います。どんな手応えを感じていますか。中田:始まる前は「自分が発信するメディア」という感覚があったので、ナビゲーターとして「ちゃんと話さなきゃ、伝えなきゃ」という意識もどうしても強かったかもしれません。声やことばが電波に乗ってだれかに届くのはとっても素敵なことですが、同時に「どう伝わってしまうのか」という怖さもありましたし、「自身の発信に責任を持たねば!」と気負いすぎるあまり言葉に詰まってしまったり、もごもごしたりすることを恐れていた時期もありました。
でも、正解のカタチは案外なくって。リスナーさんからの声や番組をいっしょにつくるスタッフさんの存在があってはじめて番組は成り立ちますし、どこか日常の延長、ふとした対話と似たような感覚というか……。力んで「発信する/伝える」というより、声は「届ける/届く」ものなのかな、と。ここが腑に落ちてから、ぐーんと視界が開けた感覚があるかもしれません。毎日「朝」は来ますが、同じ「朝」は二度と来ないからこそ、毎日こつこつ、精一杯やるしかない! とも思っています。
「聴いたよ」の声で“ラジオの人”になったと実感
――リスナーさんの反応で印象的だったことは?中田:いろいろありますが、やっぱり「聴いたよ/聴いているよ」という言葉を想像を超えていただくことはありがたいですね。たとえば、世の中が大きく動き出す前の朝時間の放送を終えて、「癒されています」「元気をもらいました」「最近聞き始めたんですよ」なんて声が届くと、やっぱり嬉しいもので。
あとは、もうあんなに緊張することは二度とないんじゃないかってくらい、ど緊張した初回生放送を聴いていたリスナーさんたちから「いつの間にか、あやちが生放送に馴染んでいる……」とか「最初は“がんばって……!”ってラジオの前で応援していたけど、最近はマイペースを見つけてきたね」なんていう反応も、嬉しいやら恥ずかしいやら(笑)。なんだかよちよち歩きの頃から見守ってくれている親戚が増えたような感覚もあります。加えて、まわりの知人・友人からも「聴いたよ! 本当に喋っていたね!」と新鮮な連絡もよくもらう1年でした。なかなか自分で実感する機会は少ないですが、それぞれの「聴いたよ/聴いているよ」が私を『ラジオの人』にしてくれている気がします。
――番組では毎週様々なゲストを招いてトークをしています。ジャンルもバックグラウンドも異なる方々と対話する上で何か心がけていることはありますか?
中田:とにかく、目の前にいる相手の話をよく聞くこと。そして、わからないことは、わかった気にならないこと……、「素直でいること」を心がけています。
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――『JUST A LITTLE LOVIN'』では、早朝番組によく似合う元気な声をリスナーに届けていらっしゃいます。毎日心身ともに心地よく保つための秘訣があれば教えてください。
中田:ふだんの生活を大切にすることを心がけています。
寝る、食べる、なるべく機嫌よく暮らす、などなど、基本的な「衣・食・住」は、ひとりの人間である以上、誰しもが放棄できないじゃないですか。「生活」は「日常」と地続きだから、何気なく「生きていること」って実はすごく重要で、大事(おおごと)だと思います。
だから、毎日ちゃんと暮らしていく。“ちゃんと” というのは、必ずしも “きちんとする” という意味ではなくて、睡眠時間が足りなくてスイッチが入らない日は家事炊事でちょっと楽をしたり、もう今日は何もしない! なんて日があったりももちろんOK。ふだんの生活こそ一番身近にある「人生を懸け続けていること」であるかもしれないので、あまり肩ひじ張らずに。ゆくゆくは、ごく普通の毎日に小さな幸せを見つけられるプロになりたいです(笑)。
――落ち込むような日は、どうされていますか。
中田:素直にどよーんと落ち込む自分も受け入れてしまう、というのがこれまでだったものの、番組が始まってからは、生放送があるおかげで切り替えのコツが掴めたような気がしています。
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――リスナーにパワーをもらっているのですね。
中田:そうですね、絶大なパワーです。毎朝Xのポストやメッセージを読んでいると、「お子さんのために毎朝早起きされているんだなぁ」「配送業の方、この時間まで運転しながら……」「この方は朝の散歩中。外の空気、気持ちがいいかなぁ」など、それぞれの生活、それぞれの朝が広がっていて、ふっと顔がなんとなく浮かぶんです。そうすると、話すのも「だれかへ」ではなく、同じ朝でつながっている「あなたへ」。リスナーさんにとって、何かあったときに気持ちをこぼせる「よき友人」のような存在であれたら嬉しいです。
考えてみれば、私自身ラジオが好きだった理由もそこで。あの心地よさ、ふしぎとひとりじゃない気がする安心感は、「大勢のなかのひとり」ではなく、ふとした瞬間に自分と同じ目線で寄り添いながら話してくれていたからかも、ということは、ナビゲーターになっての大きな気づきでした。
朝に気合いを入れたいときに聴く曲は?
――気合いを入れたいときに聴く曲はありますか?中田:MIKAの『We Are Golden』。亡くなってしまった大学時代の親友と来日公演を一緒に観に行った思い出の曲です。「We are not what you think we are, We are golden! (ぼくらはきみたちが思うような人間じゃない。ぼくらは輝いていて、サイコーなんだ!)」という歌詞が特に好きで。ありのままでいいんだ! とか、セルフラブとか……まっすぐな愛が詰まっている曲です。いつだって自分のことを一番信じてあげられるのは自分自身だなぁ、と今でも時折聴いては勇気づけられています。その友人はもうこの世にはいないけれど、温かい思い出が蘇ってくるだけで心の栄養になりますし、「“ありのままの自分”で、またがんばろうかな」と思えるんです。
MIKA - We Are Golden
中田:いつも温かい見守り、聴き守り、本当にありがとうございます。 聴いた人の心にぽっと温かい気持ちが湧くような「心地よい朝のおとも」、それぞれの「よき友」であれるように。そして、「明日の朝もこの番組聴きたいなぁ」と思える、ちょっとした愛の輪を広げていけるよう、これからも精進します!
『JUST A LITTLE LOVIN'』は毎週月-木曜 5:00-6:00。公式サイトはこちら。
(取材・文=小島浩平)
番組情報
JUST A LITTLE LOVIN'
毎週月-木曜
5:00-6:00
中田絢千
オフィシャルサイト