マクラーレンは1月29日、大雨と寒さに見舞われたポール・リカールで、2025年のトラックテストを開始した。この中で同チームのオスカー・ピアストリは、2026年に向けたピレリの完全に新しいタイヤの開発を支援する任務にあたった。
彼は母国オーストラリアでの“夏休み”を切り上げ、氷点下の気温のなか南フランスのトラックで走行に臨んだが、コンディションはあまりにも悪かった。そのためピレリは、午後にはコンディションがはるかによくなり失われた時間を取り戻すことができると考え、午前中のセッションをほとんど休みにした。
ピアストリは、来年のF1マシンに期待されるダウンフォースレベルをシミュレートするように改造された『MCL60』を駆り、ポール・リカール・サーキットのショートバージョンを120周走行した。この仕様のコースでは、マシンはピットレーンの終わりのすぐ後に急激に右に曲がり、バックストレートの真ん中に切り込んでいくので、フルグランプリサーキットの最初のセクターを特徴づけている低速コーナーをすべて回避することになる。
全長3.463kmのこのショートバージョンは、1986年から1990年にかけてフランスGPで使用されたものとほぼ同じだが、それは1986年5月のテストセッション中に非常に高速な最初のS字セクションでエリオ・デ・アンジェリスが命を落としたことを受け、当時のFIA国際自動車連盟が当該区間を回避することを決定したことによる。
■テスト2日目はノリスがドライブ
ピアストリの作業は、2026年用のフルウエットタイヤと少雨用のインターミディエイトタイヤの開発に重点が置かれていたため、ピレリは安全に走行できる気温となった午後にコースを人工的に濡らしテストを実施した。イタリアのタイヤメーカーによれば、ピアストリがグランプリの距離をわずかに超える距離を走破したため、その日のプログラムは完了したという。
翌30日はマクラーレンのもうひとりのドライバーであるランド・ノリスが仕事を続ける番だったが、この地域に雨が降っていたため、ピレリはより典型的なコンディションでテストを行うことができた。
しかし、昨年の世界選手権で2位につけたノリスもやはり、朝の低すぎる気温によって序盤の走行を制限せざるを得ず、チームメイトがやったように午後に挽回しようとした。
ピレリのテストチームは、2日間のテストセッション終了後は拠点に戻らない予定だ。彼らのトラックは、ヨーロッパのほとんどの国々で課せられている長距離車両の週末の通行禁止措置による妨害を避けるため、金曜日の夜までにバルセロナに到着しようとしている。
これにより技術者たちは、来週火曜日と水曜日にスペインのカタロニア・サーキットで予定されている、改良型『SF-24』によるフェラーリの2日間の走行に向けて、充分な準備の時間を取れるようになる。