「1票の格差」が最大2.06倍だった昨年10月の衆院選は違憲だとして、弁護士らのグループが選挙無効を求めた計16件の訴訟で、最初の判決が6日、広島高裁岡山支部で言い渡される。憲法に反するか否かは、是正に向けた国会の努力も考慮して判断されており、裁判所が国の取り組みをどう評価するかが焦点になりそうだ。
昨年10月の衆院選は、小選挙区の定数配分に人口比を反映させやすい「アダムズ方式」が初適用された。定数を「10増10減」した新たな区割りで行われ、最大格差は2021年衆院選(2.08倍)から縮小した。
弁護士らのグループは21年衆院選についても訴訟を16件起こした。各高裁・支部の判断は「違憲状態」7件、「合憲」9件と分かれたが、最高裁は23年判決で「合憲」と結論付けた。
この判決で最高裁は、アダムズ方式を導入する区割り制度について、18年判決と同様に合理性を認めている。21年衆院選の最大格差は直前の17年衆院選(1.98倍)より拡大していたが、「新たな区割り制度の中で格差是正が予定されており、格差拡大の程度も著しいとは言えない」と判断した。
アダムズ方式が導入された24年衆院選の格差は、21年から縮小したものの、17年より大きい。升永英俊弁護士らは「憲法が求める投票価値の平等に違反している」などと主張。格差を2倍未満にするよう求めた選挙区割りに関する審議会の設置法にも違反していると訴え、三竿径彦弁護士らは「アダムズ方式は格差を最小にする手法ではない」などと問題視する。
一方、被告の選挙管理委員会側は「現行制度には合理性があり、1票の格差も著しいものではなかった」と反論する。合憲か、違憲か。16件の判決は順次言い渡され、3月7日に出そろう予定だ。