2025年よりWRC世界ラリー選手権へ、タイヤ独占供給を開始した韓国のハンコックタイヤは、1月後半にモナコおよびフランスで行われた第1戦『ラリー・モンテカルロ』で初の実戦を終えた。
これまでハンコックは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権やFIAヨーロッパラリー選手権(ERC)のジュニアカテゴリーなどにタイヤを供給しており、2025年からはピレリに代わってWRCへの独占供給を行うブランドとなった。
開幕戦のラリー・モンテカルロへ向けてハンコックは、トヨタ、ヒョンデ、Mスポーツ・フォード、シトロエンらの協力の元、多様な路面コンディションで累計2000km以上の開発テストを重ねたという。
ドライからアイスパッチアスファルトまで、予測不可能な路面で知られるラリー・モンテカルロには、ドライからやや湿ったコンディション向けに設計された『ヴェンタスZ215』をメインに供給。こちらにはソフトとスーパーソフトという2種類のコンパウンドが用意された。
さらに、より凍結したセクション向けには、スタッド付きとスタッドなしの両方のオプションが用意された『ウインター・アイセプトSR20』を提供している。
これらのタイヤについて、シーズン開幕戦でワン・ツーフィニッシュを果たしたTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のヤリ-マティ・ラトバラ代表は、WRCの公式サイト『WRC.com』に対してハンコックの好調なスタートを讃えるコメントを残している。
「まずはハンコックに感謝したい。タイヤの運で結果が決まるような事態はなく、耐久性は本当に優れていたと思う」
「チャンピオンシップの新しいタイヤメーカーとしてスタートを切った彼らとしては、いい仕事をしたと言っていいはずだ」
さらに、2位表彰台を手にしたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)も同様に前向きで、「最初のロールアウトとしては、本当にかなり良い結果だった」と語っている。
「パフォーマンスレベルは私たちが慣れているものとは少し違っていたが、信頼性については、はるかに優れていたと思う。ブランド間で違いがあるのは当然で、これからも学習が進んでいくはずだが、モンテの観点から言えば大丈夫だったようだ」
そして、今年もTGR-WRTの最大のライバルであるヒョンデ・シェル・モービスWRTで走り、総合5位に入ったオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)も感銘を受けた旨をコメントしている。
「信頼性の面では、タイヤは非常に良かったと思う」と2019年のWRCチャンピオンは語る。
「モンテカルロは通常、大きな切り込みや鋭いエッジがタイヤにかなり厳しいラリーだ。そのなかでもスリックタイヤは、かなり良いパフォーマンスを発揮していた」
「来年に向けては、冬用タイヤを少しばかり改善できるかもしれないが、それはすべて学習プロセスの範疇だろう」
開幕までに事前テストを重ね、順調に開幕戦を終えたハンコックタイヤ。2月中旬に予定されている第2戦ラリー・スウェーデンでは、極度のスノーやアイス路面向けに設計されたフルスタッドタイヤである『ウインター・アイパイクSR10W』をデビューさせる予定だ。