第97回米アカデミー賞作品賞、主演女優賞(マイキー・マディソン)、助演男優賞(ユーリー・ボリソフ)、監督賞ほか6部門にノミネートされ話題を呼ぶ『ANORA アノーラ』。現代のアンチ・シンデレラストーリーとなる本作で、大富豪の御曹司を演じているマーク・エイデルシュテインに迫った。
本作は、現代のニューヨークを舞台に、身分違いの恋という古典的な題材をリアルに映し出したアンチ・シンデレラストーリー。
昨年全米で公開されるや否や、絶賛の声が相次ぎ、公開規模も5館から1,500館に拡大。米メディア「IndieWire」が発表した、60名以上の映画人が選んだ“2024年のお気に入り映画1位”に選出され、映画好きで知られるオバマ元大統領の「2024年の映画10本」にも選ばれた。
賞レースでもすでに300以上の賞にノミネートされ、100以上受賞している話題作だ。
この度解禁するのは、“ロシアのティモシー・シャラメ”こと、マーク・エイデルシュテインが演じるイヴァンの場面写真と、マークの素が垣間見える映画祭でのおめかし写真。
なお、“ロシアのティモシー・シャラメ“の愛称は、第77回カンヌ国際映画祭時にメディアが付けたキャッチフレーズ。レッドカーペットに登場した彼の透明感と繊細な雰囲気が、10代の頃のティモシー・シャラメを彷彿とさせると話題になりタイムラインをにぎわせた。
■アメリカ映画への出演は『ANORA アノーラ』が初
マーク・エイデルシュテインは、2002年2月18日生まれ、22歳のロシア人俳優。母親は、俳優が役に合わせたアクセントで話せるようトレーニングするアクセント・コーチ、父親はスポーツ・ジャーナリストという家庭で育った。
子どものころ兄弟と喧嘩すると、母親からアレクサンドル・プーシキンの小説や「ライ麦畑でつかまえて」を丸暗記させられたという経験があり、このことがのちに俳優を志すきっかけのひとつになったという。モスクワ舞台芸術学校を卒業し、2020年TVドラマの端役で俳優デビュー。
その後第72回ベルリン国際映画祭でプレミア上映されたユリア・トロフィモヴァ監督『Strada Sasha』(22)や、ロシアで最も視聴されたTVシリーズの1つ「The Monastery」(22〜)といった話題作に出演。
最も期待される若手俳優の一人としてロシア国内では順調にキャリアを積んできたが、アメリカ映画への出演は今回の『ANORA アノーラ』が初めて。本作の大ヒットや賞レースを席巻したことで注目度は急上昇。
「『ANORAアノーラ』への出演を他の作品への足掛かりにしたい」と野心ものぞかせるマーク・エイデルシュテインは、つい最近、ドラマ版「Mr.&Mrs.スミス」シーズン2の主演に大抜擢。いま最も勢いのある俳優の1人だ。
■「マークは愛されキャラ!」主演マイキー・マディソンが明かす
そんなマーク・エイデルシュテインが『ANORAアノーラ』で演じるイヴァンは、ロシアの大富豪の御曹司。英語はあまりしゃべれない。将来は父親の会社で働くことが決まっていて、モラトリアム期間を満喫するためニューヨークにやってきた。
ストリップ・バーで出会った主人公のアニーを気に入ったイヴァンは、1週間1万5千ドルで“契約彼女”としてアニーを雇うが、共に過ごすうちにビジネスライクな関係の境界線はどんどんあいまいになっていく。
また、アニーは“金持ち喧嘩せず”を体現するようなおおらかで優しいイヴァンに惹かれ、ついに2人は勢いのままラスベガスで結婚。だが、おおらかさは決断力のなさと表裏一体だ。
話が進むにつれイヴァンの優柔不断ぶりはどんどん加速。問題と向き合わず逃げ続けるイヴァンに翻弄されるアニーの物語は、シンデレラとは似ても似つかない方向に転がっていくことになる――。
『ANORA アノーラ』撮影時、実はマーク・エイデルシュテインはあまり英語が話せず、意思の疎通が難しいこともあったという。しかし、ショーン・ベイカー監督曰く、「マークにはエネルギッシュで若々しいフィジカルなユーモアがあって、チャップリン的な魅力がある」と大絶賛。
アニーを演じたマイキー・マディソンも魅了されたそうで、「マークはびっくりするくらいの愛されキャラ。英語があまり得意でないのに、現場ではユーモアでたくさん笑わせてくれた。そんな一面も彼はイヴァンの役に取り入れている」とマーク・エイデルシュテインのパーソナリティを褒めたたえた。
絵にかいたような“ボンクラ息子”なのに、イヴァンがどこか憎めずチャーミングなのは、監督やマイキー・マディソンの言葉通り、マーク・エイデルシュテイン自身も投影されているゆえ。
解禁する場面写真では、イヴァンだけでなくマーク・エイデルシュテイン本人の魅力も透けて見える。また、映画祭写真からも、その感性の豊かさや柔軟性が感じられるものとなっている。
『ANORA アノーラ』は2月28日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)