オーストラリア大陸最高峰のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップにて、王者に君臨する名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)は、北米現地1月30日付で開催されたフォード・パフォーマンスのシーズンローンチ・イベントに合わせ、2026年からのフォード電撃復帰を発表。ホールデン時代から続くGMシボレー陣営での15年間を経て、ブルーオーバルとふたたび力を合わせることを明らかにした。
シーズン開幕まで3週間を切った時点で表明されたチャンピオンの電撃的スワップに関し、2025年も「引き続きレッドブル・アンポル・レーシングとして参戦する」としたT8だが、同時に未来に向けたレンダリングと実物のカラーリングも公開され、ファンは2026年開幕時に何が期待できるかを一足早く知ることができた。
過去15年間のスーパーカーにて支配的チームの地位にあるT8は、かつてフォードとともに2008年のドライバーとチームのダブルタイトルを獲得し、2009年にはドライバーズを連覇。2006年から2008年にかけては祭典『バサースト1000』で3連覇を成し遂げた。
そんな栄光の戦績を提げて2010年よりホールデン陣営に加入して以降、さらにバサースト1000で7勝、ドライバーズチャンピオンシップは9回、こちらも通算で12回を誇るチームチャンピオンシップのうち11回を獲得する、圧倒的な存在として君臨してきた。
そのフォード陣営時代、名機ファルコンのFG型、FF型でそれぞれドライバーズ連覇を達成した当事者である、シリーズ7冠のジェイミー・ウインカップも、現チーム代表としてこのパートナーシップ復帰は「大きな戦略的コミットメント」だと語った。
「トリプルエイトの成功は、何よりもまず我々のスタッフと、このパートナーシップを支えた絶え間ない勝利への共通した欲求のおかげだ」と続けたウインカップ。
「ブルーオーバルは単なるロゴではなく、勝つことだけが目的ではない。エキサイティングなロードカーのポートフォリオに裏打ちされた、共通の目的と決意の感覚が重要なんだ」
「ここトリプルエイトで僕らが抱いているのと同じ情熱を、フォードにも見い出すことができる。このチームの全員が成功を継続し、ファンにエキサイティングなショーを届けたいという情熱を持っているんだ」
これはGen3時代の最初のシーズン(2023年)に、同じくGMからフォードに移籍することを選択したウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)に続くビッグチームのスワップと見なされている。
そのWAUは、昨年末に2026年の選手権へのセンセーショナルな参入を表明したTOYOTA GAZOO Racingのホモロゲーションチームに選出されており、その開発チームとしての重責をT8が引き継ぐ。但し、その任務を背負うにはフォードの現スーパーカー・チームの投票による過半数の承認が必要となる。
「ともに歩む未来について僕がもっともワクワクしているのは、フォードが長期にわたるパートナーシップを通じて、僕たちのスポーツ、トリプルエイト、そしてすべてのスーパーカーファンに対して示しているコミットメントだ」と続けたウインカップ。
「僕らはフォード・パフォーマンスのエコシステムの一部となり、このパートナーシップがもたらす可能性のある機会に非常に興奮しているよ」
歴史的な成功とT8のこのスポーツにおける地位、そしてフォード・パフォーマンスの目標を背景に、同社のグローバル・モータースポーツ・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックとウインカップは、わずか数週間の話し合いで契約をまとめたという。
「トリプルエイトのような優秀なチームが電話に出たら、彼らの言うことに必ず耳を傾けるだろう?」と応じたラッシュブルック。「彼らのエンジニアリング専門家チームと協力することで、オーストラリア全土のマスタングとスーパーカーのファンに興奮をもたらすことができる」
「我々としても、彼らの卓越性への揺るぎないコミットメントをつねに賞賛してきた。トリプルエイトのエンジニアリングの腕前と勝利へのたゆまぬ追求は、ほとんど比類がないものだからね。しかしそれ以上に、共通の歴史、競争の炎の中で築かれた絆があり、それがこのパートナーシップを非常に正しいものにしている。前を向き、一緒に未来を築き、新しい課題を克服することを楽しみにしている」
そのT8とともにいち時代を築いたGMもすぐさま反応し、現地金曜にメディア向けの声明を発表している。
「GMはトリプルエイト・レースエンジニアリングと、長く、非常に成功したパートナーシップを築いてきました。彼らの決定と、2026年にフォードに移籍するというニュースについて、ファンの皆さまと失望を共有します」
「それでも、2025年のスーパーカー・シーズンに目を向け、シボレー・レーシングでカマロZL1を走らせるチーム全員に全面的なサポートを提供し、トラック上での成功をもう1年実現できることを楽しみにしています」