鈴木馨祐法相は4日の記者会見で、会場を設けずにオンラインのみで実施する「バーチャルオンリー株主総会」を開きやすくするため、会社法の改正を10日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大を受けて特例で認められるようになったオンラインのみでの開催を法制化し、企業と株主双方の利便性向上を図る。
会社法は、株主総会の招集に当たり開催場所を定めなければならないと規定し、オンラインのみでの開催を認めていない。現状では産業競争力強化法が特例として条件付きで認めている。会社法を改正し、通信障害が起きた場合の決議取り消しのリスクの低減などを規定する。
法制審には、株主名簿に載らないものの株主総会で事実上の議決権を行使する「実質株主」について、企業が情報を確認できるようにする制度の創設も諮る。
信託銀行など名義上の株主の後ろにいる機関投資家の情報を企業が照会できるようにすることで、企業と株主の対話を促進する狙い。相手企業との合意なしにTOB(株式公開買い付け)を仕掛ける「同意なき買収」や、「物言う株主」として知られるアクティビストに備えられるようにする。