【動画】準備期間5年! 圧巻パフォーマンスの裏側『名もなき者』特別映像
本作は、アカデミー賞ノミネート監督であり、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』『フォードvsフェラーリ』の名匠ジェームズ・マンゴールドの最新作。ロック界の最重要アーティストであり、今なお現役ミュージシャンとして舞台に立ち続ける“生きる伝説”ボブ・ディランの青春時代を描く。ディラン本人も製作に協力し、シャラメがプロデューサーとしても参加する。
『LOGAN/ローガン』以来8年ぶりの来日となったこの日、マンゴールド監督は「本当にこうして東京、日本に戻って来られて、とても嬉しく思っています。日本の映画コミュニティは熱量がすごく、映画文化が生き生きとしているのが魅力です。私はそんな日本の映画界が大好きですね。本作の音楽シーンも同じく情熱的なので、この作品を日本の皆さんと分かち合えることが、とても楽しみです」と満員の観客に向けてあいさつ。
そして、本作でボブ・ディランを描くにあたり、本人と実際に会ったとされるエピソードや印象について「ディランとは長い時間を共に過ごすことができました。まず脚本のリサーチを重ね、執筆したものを彼に読んでもらいました。すると、とても気に入ってくれて、“会おう”と言ってくれたんです。実際にお会いして、彼から本当にたくさんのことを学びました」と、まずは会うまでの経緯を説明。
続けて「もちろん、ディランについて書かれた本や資料から事実は得られます。でも、彼と直接話したことで、そうしたものには載っていない、もっと個人的で感覚的なことを知ることができました。例えば、“この曲を書いたとき、どこに座っていましたか?”とか、“どの時間帯に作業していましたか?”といった質問をしました。映画というのは、その時代や場所、空気感を伝える力に優れています。単なる事実だけではなく、“その場にいたとき、どんな気持ちだったのか”という感覚的な部分を伝えることが大切だと改めて感じました」と当時を振り返りながら語った。
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本作の演技で第97回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたティモシー・シャラメについては「彼と一緒にこの作品を作ると決めたのが2019年でした。最初に彼に伝えた言葉は、“ギターを買ってください”でしたね。それから6年が経ちましたが、彼がこの役にどれだけの情熱を注いできたかは、映画を見ていただければ一目瞭然だと思います」と絶賛。
「彼はコロナ禍や他作品の撮影を挟みながらも、ずっとボブ・ディランをどう演じるか、どう理解するかを探求し続けていました。このような伝説的な人物を演じる上で最も重要なのは、音楽がその人物の一部であるということ。ボブ・ディランは音楽そのものでもある。だからこそ、ティモシーが本物の音楽性を持ち、演じるのではなく“彼自身がディランになる”ことが必要でした。その点で、彼は完全にこの役を自分のものにしていました」と太鼓判を押した。
ちなみにその確信を持った瞬間については、「特に印象的だったのが、映画冒頭の歌のシーンです。クランクインして最初の1週間で撮影したのですが、実際にライブの場で彼が歌い上げる姿を見て、“これは特別な作品になる”と確信しました。彼の演技が、ただの再現ではなく、本当にその空間を満たし、広がりを生み出していたんです。俳優が作品の世界を完全に支配する瞬間を見ると、監督としてほっとするものです」と明かした。
最後に、これから映画を観る観客に向けて「こうして皆さんにいち早く本作をお届けできることを、心から嬉しく思っています。ただ、映画を見る前にあまり長々と話すのは無粋でしょう。シェフが料理を振る舞う前にあれこれ説明しすぎるのと同じですからね(笑)。とにかく、まずは映画を味わってください!」と冗談を交えながら喜びを伝え、会場を後にした。
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