Q. 気持ちが落ち込みます。「うつ病」でしょうか?(40代・女性)【精神科医が解説】

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2025年02月04日 20:50  All About

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【精神科医が回答】気持ちの落ち込みや、疲れやすさなどの「抑うつ症状」。うつ病を疑う人が多いようですが、さまざまな病気の可能性があるため、自己判断は禁物です。分かりやすく解説します。

Q. 40代女性。気持ちが落ち込みます。うつ病でしょうか?

Q. 「40代女性です。最近、急に疲れやすくなり、気力がわかなくなりました。趣味だった習い事にも行く気になれず、理由もなく落ち込んで過ごしています。今までこんなことはなかったのですが、うつ病なのでしょうか? 自分でできる改善法があれば、教えてください」

A. 抑うつ症状=うつ病ではありません。まずは、他の病気との鑑別が大切です

気持ちがさえず、疲れやすくなると、「うつ病ではないか」と不安に思われるかもしれません。もちろん、実際にうつ病である可能性もあるでしょう。しかし、気持ちの落ち込みや憂うつ感などの「抑うつ症状」があるからといって、必ずしも「うつ病」とは限らないのです。

実際にはうつ病ではない人が、「うつ病によい」といわれることを試しても、症状は改善しません。つらい精神症状が続いているなら、まずは病院を受診し、正しく診断を受けることが大切です。

抑うつ症状が出る病気はさまざまですが、特に20代後半から40代の女性に多い「甲状腺機能低下症」は、気持ちの落ち込みなどの精神症状が伴いやすい、よくある病気の1つです。甲状腺機能が低下すると、以下のような症状がよく見られます。

・疲れやすくなる
・寒さに弱くなる
・皮膚が乾燥する
・体重が増える
・気力がわかなくなる
・寝ても疲れが取れにくく、過眠傾向になる

うつ病を疑って精神科を受診した場合も、通常はまず血液検査を行い、血中の甲状腺ホルモン量を調べます。ここで甲状腺機能低下症が分かった場合は、治療を開始します。治療を進めても症状が改善しない場合は、うつ病を併発している可能性を考えなくてはなりません。

目で見てすぐに状態が分かる外傷とは異なり、精神症状が出ている場合には、治療薬で改善するかの経過を見ていく必要があります。いずれにしても、抑うつ症状だけで自己判断は禁物です。適切に病院を受診することをおすすめします。

中嶋 泰憲プロフィール

千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。
(文:中嶋 泰憲(医師))

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