2日目はシャシーやエアロなど新アイテムが登場。アプリリアは前年度の予選タイム超え/マレーシア公式テスト

0

2025年02月07日 01:00  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

フランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)/2025MotoGPマレーシア公式テスト
 2月6日、ロードレース世界選手権 MotoGPクラスの2025年シーズンに向けたマレーシア公式テスト2日目がマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われた。トップタイムはフランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)が記録した。

 初日は序盤から転倒が相次ぎ、なんと2024年MotoGP王者であるホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)も大クラッシュに見舞われ、少々荒れ模様に。そして転倒を喫したファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)、ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)と、マルティンを含めた3名が2日目以降は欠場することとなった。

 迎えたテスト2日目は、新たにミケーレ・ピロ(ドゥカティ・テスト・チーム)が加わり計23名のライダーが参加。アプリリア・レーシングは、マルティンの代役としてロレンツォ・サバドーリを召喚しているが、ディ・ジャンアントニオとラウル・フェルナンデスの代役は立てられていない。

 定刻の現地10時に気温26度、路面温度31度のドライコンディションの下でセッションがスタート。序盤から多くのライダーが走り始め、上位は次々に1分57秒台に入れていた。赤旗中断等もなくお昼休みを挟んだ後、現地時間16時には小雨が降り出しコンディションが変化。ドライコンディションで走れていたものの、テストメニューを変更したりタイムアタックに取り組めないライダーの姿もあったようだ。

 そんなテスト2日目は、上位9台が1分57秒台に入れており、トップはモルビデリという結果だった。チームメイトのディ・ジャンアントニオが不在ではあったものの、テストを順調にこなして1分57秒210というベストタイムをマーク。トップ5のうち4台はドゥカティ勢が占めており、昨年に続いて好調さが受け取れる。

 3番手、4番手には初日に揃って上位につけていたアレックス・マルケスとフェルミン・アルデグエル(グレシーニ・レーシングMotoGP)が入っている。2日目も引き続き速さを見せ、ルーキーのアルデグエルも序盤から1分57秒台に入れており、マシンの特性を掴み順調に適応させていることがわかる。

 5番手には序盤に転倒があったものの、終盤にタイムを縮めたフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が続いた。初日はチームメイトのマルク・マルケスが総合2番手、バニャイアはドゥカティ勢最下位の17番手とやや対照的な結果になっていたが、2日目は一転する結果に。

 マルク・マルケスはこの日、以前行われたバルセロナ公式テストでも登場していた新しいシャシーを検証していたようだが、終盤にマシンに技術的な問題が発生。さらにその後の走行ではクラッシュも喫していたようで、初日の自己ベストを更新できていない。

 ただ、バニャイアはマルク・マルケスとともにテストを進める上で、非常にポジティブな印象を語っていたようだ。MotoGP公式のプレスリリースによると、バニャイアは「ふたりのフィードバックは完全に一致している。今までのキャリアで初めてチームメイトとまったく同じ感覚を味わえるなんて信じられないし、興味深いね」とコメントしており、元MotoGP王者ふたりはすでに意気投合している様子。

 ドゥカティ勢が占めるトップ5内には、初日首位のファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)の姿があった。この日はトップのモルビデリからわずか0.114秒差という結果に。この日はミシュランタイヤの評価をする上で、課題としているグリップ向上も見られたという。チームメイトのアレックス・リンスは13番手となったが、2日目は新しいシャシーや新パーツのテストに着手。自己ベストも更新し、ポジティブな印象を抱いているようだ。

 同じくヤマハ陣営のサテライトチームであるプリマ・プラマック・ヤマハは、2日目にはジャック・ミラーに新しいシャシーを用意。エンジンブラケットも異なるため、エンジンの角度や位置を変更する可能性もあるという。そのためバイクのバランスを調整し、ヤマハが課題としているリヤグリップ向上に繋げるために登場したパーツではないかと考えられる。

 ミラーはロングランも実行していたようで、新パーツの評価が気になるところだ。ミゲール・オリベイラも、マシンへの適応を進めている最中だが、ふたりとも比較的ヤマハYZR-M1に好印象を抱いているようだ。さらなる戦闘力向上に繋げるため、ファクトリーチームのクアルタラロとリンスのふたりとも協力して開発を進めているのが見てとれる。

 6番手には初日同様にホンダ勢、ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)が入っている。ミルはフィーリングを向上させるためにエレクトロニクスのテストに力を入れ、午後にはより良いセットアップも見つけることができたという。タイムも縮めることができており、少しずつ向上も見受けられる。

 チームメイトのルカ・マリーニが駆るRC213Vは、2日目には早々にマシンの仕様が異なることが確認されていた。大きめのエアロパッケージを搭載しており、大きめの新しいサイドポット取り付けられ、改良されたエアインテークも装備されているとのこと。マリーニはこれらを吟味していたようだ。

 ホンダとしては、ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)が12番手。ルーキーのソムキャット・チャントラ(イデミツ・ホンダLCR)は、引き続きマシン適応に時間を割いているようで、この日最多となる65周を完了。自己ベストを1分59秒038まで縮め、20番手という結果で終えている。

 KTM勢は、ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が2日間連続で転倒があったものの、7番手でKTMではトップに。先輩であるブラッド・ビンダーとともにテストに取り組んでいるが、このふたりがテストしている計4台のKTM RC16には、新しいシートユニットを搭載。現段階ではリヤのチャタリングが軽減され、課題としているグリップの向上も感じられているという。

 また、今季からファクトリーとなるレッドブルKTMテック3のエネア・バスティアニーニとマーベリック・ビニャーレスのふたりも、着実にマシンへの理解を深めている様子。ただ、今回のテストでは、まだ新しいシートユニットとエキゾチックシステムが供給されていないとのことだ。

 そのため、ふたりはジャック・ミラーがレッドブルKTMファクトリー・レーシングに在籍していた際に頻繁に使用していたフロントエアロとエアインテークも試し異なるプログラムを進めているようだ。さらに、バスティアニーニは快適性を追求する目的で燃料タンクの調整にも取り組んでいるという。

 マルティン不在のアプリリア勢は、9番手にマルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)が続いた。代役のサバドーリとともにテストを進めており、2日目からはマシンの仕様を少し変更。サイドポットも追加された新しいエアロパッケージが準備されていたという。また、アプリリアの課題としているスタートを改善する目的で新しいホールショットも搭載されているようだ。

 早速その効果もあってか、2日目はベゼッチが1分58秒台を突破。トップから0.785秒差の1分57秒995という自己ベストをマークした。このタイムは、同地セパンで2024年に開催された第19戦マレーシアGPの予選で、アプリリア・レーシングに在籍していたビニャーレスが記録した1分58秒046よりも速いものだ。2025年型RS-GPの戦闘力向上がすでに見て取れる結果となった。

 また、ルーキーの小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)もラウル・フェルナンデス不在のため、ひとりでテストに取り組んでいた。2日目はロングランを重点に置きつつ、レース本番のシミュレーションを実施。タイムアタックこそできず、自己ベストは1分58秒611の18番手となったが、小椋にとって収穫の多い1日となったようだ。

 いよいよマレーシア公式テストは、2月7日で最終日を迎えることになる。翌週行われるチャン・インターナショナル・サーキットでの公式テストに向けても、各メーカー、各ライダーにとって非常に大事な1日となりそうだ。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定