「オメガ3」だけを3年間毎日飲む→老化抑制に効果 70歳以上の高齢者777人で実験、スイスチームが発表

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2025年02月07日 08:21  ITmedia NEWS

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 スイスのチューリッヒ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Individual and additive effects of vitamin D, omega-3 and exercise on DNA methylation clocks of biological aging in older adults from the DO-HEALTH trial」は、高齢者の健康寿命を延ばすことを目指した大規模な臨床試験「DO-HEALTH」の新たな解析結果を示した研究報告である。


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 研究チームは、スイス在住の70歳以上の健康な高齢者777人を対象に、ビタミンD、オメガ3脂肪酸、自宅での運動プログラムという3つの介入が生物学的な老化に及ぼす影響を調べた。


 オメガ3脂肪酸とは、魚(特にサバやサーモンなど)、種子(チアシードやアマニなど)、ナッツ類に含まれる「良い」脂肪の一種で、免疫機能の向上、心血管系の健康維持、脳機能の向上に重要な役割を果たすことが研究で確認できている栄養素である。


 この研究では、参加者を8つのグループに分け、プラセボ錠剤、ビタミンD(1日2000IU)、オメガ3脂肪酸(1日1g)、自宅での運動プログラム(週3回、30分ずつ)をそれぞれ単独で、あるいは組み合わせて3年間実施した。生物学的な老化の評価には、DNAメチル化という遺伝子の制御機構の変化を測定する「エピジェネティッククロック」と呼ばれる4種類の指標(PhenoAge、GrimAge、GrimAge2、DunedinPACE)を用いた。


 研究の結果、最も顕著な効果を示したのはオメガ3脂肪酸の単独投与であった。3つのクロック(PhenoAge、GrimAge2、DunedinPACE)において、オメガ3脂肪酸は生物学的な老化を遅らせる効果を示した。その効果は3年間で2.9〜3.8カ月の老化抑制に相当する。一見わずかな変化に見えるが、長期的に維持されれば健康寿命の延伸に意味のある影響を与える可能性があると説明している。


 さらに注目すべき発見は、PhenoAgeクロックにおいて、これら3つの介入を組み合わせることで相加的な効果が得られ、さらに老化が軽減されたことである。これは以前のDO-HEALTH試験で、3つの介入の組み合わせがプレフレイル(加齢に伴う体力や活動性の低下が始まっているものの、まだ本格的な虚弱には至っていない中間的な状態)を39%、浸潤性がんを61%減少させたという臨床結果とも一致している。


 Source and Image Credits: Bischoff-Ferrari, H.A., Gangler, S., Wieczorek, M. et al. Individual and additive effects of vitamin D, omega-3 and exercise on DNA methylation clocks of biological aging in older adults from the DO-HEALTH trial. Nat Aging(2025). https://doi.org/10.1038/s43587-024-00793-y


 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2



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  • オメガ・・、なんか昔聞いたことがあるぞ。眼鏡かな?万年筆だったかな?なんだっけ?
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