「45歳頃は死んでやる!みたいな感じだった」芸歴53年目・杉田かおるが明かす“心が健康になったきっかけ”

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2025年02月12日 09:00  女子SPA!

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 俳優の杉田かおるさん(60歳)が、日本各地で起きた村八分事件を元に実在する“村の掟”の数々をリアルに描いたスリラー映画『嗤う蟲』に出演しました。自治会長の妻であり、村に移住して来た若夫婦の世話を焼く田久保よしこ役を圧倒的な存在感で魅せてくれます。

 杉田さんは、1972年に子役デビューの芸歴53年目。2024年末に60歳を迎え、ますます映画やドラマにと活躍中です。その活力の背景には、芸能界の大先輩方や母親の教え、40代で健康志向へ切り替えたライフスタイルにあると言います。作品の話とともにお話をうかがいました。

◆村の掟を守る“自治会長の妻”を演じて

――今回の『嗤う蟲』、出演が決まったときはいかがでしたか?

杉田かおる(以下、杉田):起承転結のストーリーがとてもわかりやすくて、主人公の夫婦がどんどん変化していくところと、村の人たちとの人間関係などが深く描かれていて、とても面白い物語だなと思いました。笑えるところもあり、“面白い怖さ”がピッタリな表現かなと思いました。

――公式の説明によると、<日本各地で起きた村八分事件をもとに、実際に存在する“村の掟”の数々をリアルに描き、現代日本の闇に隠されているムラ社会の実態を暴く>という内容ですね。

杉田:ありそうでない、なさそうである、ちょっとファンタジーっぽいところもあるんです。とても社会派だと思うのですが、ヘンにリアリティを追求している感じでもなく、ジャンルレスという言葉もピッタリ。とても不思議な感覚になる映画だと思いました。

――そして杉田さんは村の住人・田久保よしこ役を演じられました。

杉田:村の掟を一番守っている自治会長の奥さん役でした。その立場を踏まえた上で、町内会でもお節介で、かなりの世話焼きなんです。思い込みも激しく、自分が絶対に正しいと思ったことをやればやるほど、どんどんズレていってしまう。なのでお節介がどんどん怖くなっていきますよね。よしこさんは、あることが起きて有頂天になるのですが、その人間の浅はかさが上手く出ていたかなと思います(笑)。

◆お節介焼きが抜けなくて……

――田舎に限らず、どこかにいそうなキャラクターですよね。

杉田:自分の中にも彼女みたいなところはあるんですよね。それを探りながら役作りをしたのですが、撮影が終わった後にすごいお節介焼きになってしまったんです。撮影が終わって3か月くらい経っているのに「具合悪いと言っていたけれどあの人大丈夫かしら?」などと近所の人のことが気になって気になって、全然よしこさんから抜けられなくて(苦笑)。

――役が後から追いかけて来るという言葉も聞いたことがあります。

杉田:昔『大奥』という映画に出たときに放火しちゃう役だったのですが、心理テストを受けたら放火魔の心理になっていて(苦笑)。もちろんそんなことをするわけないのですが、それくらい役にハマッちゃうところがあり、怖い役ができないなと思っています(苦笑)。

◆45歳のころ、オーガニックに出会う

――年明けにネットニュースにもなっていましたが、『嗤う蟲』では山野海さんと50年ぶりの共演を果たされましたよね。

杉田:そうなんです! わたしのデビュー作でご一緒した方で、それまで共演することはなかったので、とてもうれしかったです。

――俳優生活50年、振り返ってみて思うことはありますか?

杉田:10代の頃、三崎千恵子さんや大坂志郎さんという素晴らしい先輩たちがいまして「俳優は片腕10年」とおっしゃっていました。両腕で20年、両足で40年、自分が納得できる演技ができるまで、50年はかかるということを言われていたんです。だから20年目、30年目でもまったく焦らなかったです。自慢じゃないですが、今までも一度も賞を獲ったこともなく(笑)、仕事に恵まれなかったときや芝居で失敗したときもその言葉を思い出して、まだまだだと。そういうことを言ってくださる先輩たちがいて、とてもありがたかったです。

――俳優業以外では、オーガニックなど健康面に注力されていますね。

杉田:そうですね。45歳の頃、ちょうど更年期に入るときにバラエティ番組によく出ていて不規則な生活だったんです。お酒も飲むし、これでは体を壊すなと思っていたところ、妹の助言でオーガニックを知りました。お酒もナチュールワインに代えて、ビオディナミを飲むようになりました。

◆オーガニック食材を選ぶことで「料理が楽しくなった」

――15年経ち、変化は感じますか?

杉田:お料理が楽しくなりましたし、それこそ孤独でいいと思っていたのですが、人生には人とのコミュニケーションが大切だと気づくんです。それが長生き、健康寿命の秘訣ではないかと思うようになりました。自分が食生活に気をつけ始めると、同じような友だちもできるんです。そこから交流が広がり、友だちが増えたりして、とても人生が豊かになってきています。体の健康のために始めたものですが、心の健康にもつながっています。

――そして2024年末、60歳を迎えられましたね。

杉田:はい、60歳を無事に超えられました(笑)。今はただ、超えられたことにひたすら毎日感謝、感謝ですね。夫婦で「健康で長生きしたいね」と言っているところです。もう45歳の頃は「死んでやるー!」みたいな感じだったので、ずいぶん変わりました(笑)。朝起きて「生きよう!」と思えるので、それくらい食べものの影響は大きい。自分の体、細胞が喜んでいるんだと思いますね。

◆いろいろなことに感謝できる精神状態を維持したい

――今、新たに始めたいこと、やりたいことはありますか?

杉田:いろいろなことに感謝できる精神状態を維持することを目指したいと思っています。後悔や愚痴は、若いときに置いてきました(笑)。

――日々の努力が大事なんですね。

杉田:そう思います。前向きに生きるって、意外とエネルギーが要ることなんです。食べものを変えたり生き方を変えたり、いろいろなことを発見したり気づいたりしないと、なかなか気持ちが前向きにはなれないと思います。母からは「愚痴を言っていると馬鹿になるよ」と子どもの頃から言われて育ったので、その努力はしないといけないですし、大事ですね。

――俳優の先輩方、家では母親の教えがあって今があるわけですね。

杉田:母や先輩方のしつけとでも言うのかな、大事なことだったと思いますね。バラエティ番組ではっちゃけたりしていましたけれど、法に触れることは今のところしていないので教育がよかったんだと思います(笑)。それを今度は若い人たちに受け継ごうということではないのですが、生き様のようなメッセージが残せられればと、インスタグラムに自分がいいと思ったもの、感動したものをダイレクトに伝えられるので更新しています。

◆Instagramがたびたびネット記事に

――杉田さんがインスタグラムを更新すると、山野海さんとの50年ぶりの共演の件もそうでしたが、すぐネットニュースになりますよね(笑)。

杉田:そうですね。わたしがポテトサラダを作ることが、そんなにニュースになるようなことなの? と。そんなに(食事を)作らないイメージなんですかね(笑)。ファンが少ないわりにネットニュースになる回数が多いのですが、おかげでフォロワーさんが増え始めています(笑)。

――最後になりますが、映画『嗤う蟲』について一言お願いします!

杉田:ホラーやスリラーが苦手な方も、面白い怖さなので幅広い方たちが楽しめる作品になっていると思います。映画館で体験してみてください。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/吉開健太>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。

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