警視庁本部=東京都千代田区 犯罪収益を隠匿したとして中国人ら3人が逮捕された事件では、マネーロンダリング(資金洗浄)だと発覚しないよう、企業間の取引を装って資金移動ができる法人口座が悪用された。会社買収を繰り返すなどして取得した口座が使われており、背後には中国人犯罪組織のネットワークの影もちらつく。
複数の捜査関係者によると、会社役員林明旺容疑者(37)らは、「道具屋」と呼ばれる別のグループを使い、マネロンに使うための法人口座を取得。複雑な資金移動ができるように、常に休眠企業などの約300口座を管理下に置いていた。買収先企業で従業員を雇ったように装い、給与振り込みの名目で大量の口座を開設することなどもあったとみられる。
林容疑者らは複数の法人口座間で犯罪収益を繰り返し移動。会社間の取引に見せ掛けることで、短期間に高額な資金を頻繁に出し入れしても金融機関から不正を疑われないようにしていた。
林容疑者らはSNSでうその投資話を持ち掛ける中国人詐欺グループから資金洗浄の依頼を受けていた疑いがあるほか、今回のマネロン事件も、中国に絡む違法送金のトラブルが発覚の端緒だった。
捜査関係者の一人は、背後に大掛かりな中国人犯罪組織のネットワークがある可能性を指摘するとともに、「うわべの詐欺事件だけの捜査ではなく、関連する犯罪も挙げなければ意味が無い」と危機感を示した。