ランボルギーニ・ウラカンの後継モデルとして、2024年に発表されたテメラリオ。V8ツインターボと電気モーターを搭載する ランボルギーニは来年、新型『Temerario(テメラリオ)』ベースのGT3マシンの段階的な導入を計画している。同社のチーフテクニカルオフィサーのルーベン・モーアによると、最初はごく限られたシリーズのみに参戦する予定だという。
まだサーキットを走行していない、まったく新しいランボルギーニのGT3マシンは、レクサスの新型GT3や次世代型メルセデスAMG GT3に続き、2026年から2027年にかけて登場が予想される新型GTカーのひとつになるとみられている。
今年1月にアメリカ・フロリダ州で開催されたデイトナ24時間レースで、モーアは一部の選ばれた記者たちに対し、V8ツインターボを搭載したGT3マシンが2026年のすべての主要シリーズに登場するわけではないことを明かした。
「今のところ、我々は現在のプログラムに集中しており、来年はテメラリオGT3とともに、ごく限られたレースシリーズにのみ出場することになるだろう」
「マシンにも学習曲線が存在することは明らかであり、既存マシン(ウラカンGT3エボ2)の競争力もまだ高いため、我々はマシンの置き換えを急ぐつもりはない。一歩ずつ進めていくつもりだ」
Sportscar365がこの新型マシンを来年のデイトナ24時間でデビューさせるつもりかと尋ねると、モーアは「そのような考えはない」と可能性を否定した。
「それは夢だろうね。夢が実現することもあればそうでないこともある。そのように聞かれれば、そうしたい思いはあるが、筋は通さなければならない」
「すでに分かっている多くの問題があるのならば、デイトナ24時間には行かない。新車でロレックス24スタートすることは、あまりにも厳しい挑戦だからね。多くのメーカーはデイトナをスキップして、少し遅れて参戦することにしているぐらいだ(編注:今季のアストンマーティン・ヴァルキリーAMR-LMHや昨年デビューしたランボルギーニSC63がこの例に該当する)」
「これを語るには時期尚早だが、私はデイトナが好きだし、新車でそこに行けるのならば喜ばしいことではある」
モーアは、このマシンの発売日について「100パーセント決定したわけではない」と語る。「今年の半ばまでには、いくつかのテストが行われることは間違いない」
「我々はこの活動に真剣に取り組んでいる。既存のマシンの置き換えを急いでいるわけではないのは事実だが、一方で大きなニーズがあることも確かだ」
「新しいGT3マシンへの我々の要望は計り知れない」
「現時点ではウラカンの生産が終了していることから、我々がウラカンの新しいレーシングカーを追加しないことは確実だ」
「我々は(テメラリオベースの)新型マシンについての宿題をこなすつもりだよ」
■LMGT3復帰の可能性はゼロではないが……
同氏によると、アイアン・リンクスなどによるLMGT3カテゴリーへの参戦に代表されるWEC世界耐久選手権への復帰については、すでに除外されているようだ。とはいえ、ハイパーカー・プログラムを再始動させる方法が見つかれば、ランボルギーニの世界選手権復帰という可能性はある。
「LMGT3は、残念ながらLMDhで何を行っているかに少し依存していて、関連性があると言える。LMDhが(グリッドに)なければ、LMGT3を走らせられることは当たり前ではないんだ」
「今のところLMGT3については『絶対に(復帰の可能性が)ないのか?』と問われても、『ない』と答えるだろう。新型GT3カーのことを考えると、LMGT3から始めるのは時期尚早だと思う」
「ただしハイパーカーでWECに出るなら話は別だ。でも正直なところ、様子を見よう。一歩ずつ段階を踏んでいく」
「まずは『SC63』の改良を考える。そうして競争力を発揮し、チームの協力者を見つけることができれば、といった具合だ。LMGT3は3番目の問題となる」
■ランボルギーニ・カスタマーGT3チームの『新しい哲学』
モーアは、ランボルギーニがGT3のカスタマーサポートのレベルを上げ、選ばれたチームに力を注いでいくと述べた。
「GT3に関しては、我々の哲学が変わったと言わざるを得ない」と同氏。
「将来的にはパフォーマンス重視のチームにもう少し集中したいと考えている。それは我々の野心とも合致する」
「あるものを減らすことによって、より多くの結果を得る。以前はもう少し広い範囲に物事を広げていた。しかし、とくに競争の激しいGT3についてはそうもいかない」
「過去に行ってきたサポート体制よりも、もう少し少ないチームに対して最大限のレベルのサポートを集中させたいんだ」