武藤容治経済産業相=7日、経産省 トランプ米大統領が貿易相手国に同等の関税をかける「相互関税」の検討を指示したことを受け、日本の政府や企業が警戒感を強めている。即時発動は見送られたが、貿易赤字を是正したい米政府は日本も調査対象に含まれると示唆。日本政府は米側との意思疎通を既に始めており、影響軽減を模索したい考えだ。
「日本が巻き込まれると影響が出てくる可能性があり、状況を注視している」。14日の決算記者会見で、オリンパスの竹内康雄会長は硬い表情でこう語った。
貿易相手国の調査には数週間から数カ月程度かかる見込み。米国の貿易を制限しているとの理由から、補助金や税制、為替などの「非関税障壁」も調査対象とした。日本は米側から非関税障壁が高いと批判されており、是正を求める「ディール(取引)」を持ち掛けられる可能性もある。
武藤容治経済産業相は14日の閣議後記者会見で、米政府から詳細の聴取を進めていると明かした上で、「わが国の国益に資する形で日米の経済関係を深化、発展させるべく適切に対応する」と語った。
日本は米国と比べ、農産物の関税率が高い。農林水産省によると、精米1キロ当たりの関税は、日本がミニマムアクセス(最低輸入量)の枠外で341円、米国は1.4セント(約2.1円)と開きがある。
ただ、牛肉の関税率は米国が26.4%、日本は22.5%で日本の方が低い。江藤拓農水相は「こちらの立場を主張することが必要になってくる。米国がどういうオファー、考え方を出してくるかを見極めないといけない」として、米側の出方を注視する構えだ。