『聖なるイチジクの種』©Films Boutique第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされている『聖なるイチジクの種』より、エリート判事の座を掴んだ父が、その座を離すまいと、家族さえ疑いはじめるシーン映像がシネマカフェに到着した。
本作は、2022年に実際に起き社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が苛烈するイランを背景に、家庭内で消えた1丁の<銃>を巡って家族も知らない家族の顔が炙り出されていく、予測不能に加速する衝撃のサスペンススリラー。
今回解禁となった本編映像は、忽然と消えた1丁の銃の行方を巡って、疑心暗鬼になる家族の姿を捉えたもの。
「自分の家で安心できないとは」「21年の努力が全て水の泡だ」と憔悴しきった様子の父イマン。母ナジメはイマンをなだめつつ同時に、自分の娘たちに銃の行方を問いただす。だが、返ってくるのは「なぜ私たちを疑うの。ママだって容疑者でしょ?」という他人事のような答えだけ。
いったい誰が銃を隠したのか? 何のために? 夫への恨みを持つものか、それとも…? ようやくエリート判事の座を掴んだイマンが自身の保身のために家族さえも疑い、その本性を徐々に表していく姿を捉えている。
そして、感情を押し殺すように“台所を完璧に掃除する”妻ナジメの姿も印象的な本映像。わずか数秒のシーンではあるが、家事を完璧にこなし、夫をなだめ、娘たちとの橋渡しに心を砕いている。
「これがイランの女性の姿」常に家族に尽くすことのみを役割として求められる、イランでの女性の権利の現状を象徴するようなワンシーンでもあると、モハマド・ラスロフ監督はコメントしている。
『聖なるイチジクの種』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開中。
(シネマカフェ編集部)