勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン 2月13日から16日にかけて北欧スウェーデンで開催されている2025年WRC世界ラリー選手権の第2戦『ラリー・スウェーデン』。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)から参戦している日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、デイ3を終えた時点で3.0秒差の総合2番手につけている。総合首位はチームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)であり、TGR-WRT陣営としてはワン・ツー体制を構築して最終日を迎える好展開だ。
ラリーはここまで、トヨタとヒョンデが互角の争いを繰り広げており、トップ5は各車が約10秒内の僅差で形成されている。そのため、2番手勝田の3.3秒後ろにはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が控え、さらに6.5秒差の4番手にもオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が続いている緊迫の様相でもある。
自身初のWRC総合優勝に着実に近づいている勝田だが、デイ3の最終ステージを終えて公式映像のリポーターに「明日の目標は表彰台?それとも初優勝?」と尋ねられると、「僕はラリーを終えたい。それだけです」と冷静に返した。
「もちろん、僕がたくさんのことに飢えていることは確かです」
「けれども、これまでハングリーすぎるがゆえに危険に陥った場面も多かったので、今回は落ち着く必要があると思います」
こう語る勝田にとっては、ちょうど一年前に同じ地で首位争いを繰り広げながらもクラッシュしてしまったことが教訓として残っているのだろう。さらに、デイリタイアが続いた2024年シーズンから続くターゲットとして、しっかりとポイントを獲得できる順位でラリーを終えるということが最優先事項となっていることは想像に難くない。
その後すぐにサービスパークでのメディアゾーン取材に対応した勝田は、「今日は、フィーリングの面でアップダウンが少なからずありました」とここまでの感触を語る。
「今日は午前から時々苦戦する場面があって、クルマにも満足できていなかったです。そして(再走ステージを走る)午後は、路面コンディションにも苦労しました」
「ですが、そんななかでも良いペースを保つことができました。また、一度ストールしてリバースギヤに入れる瞬間もあったのですが、そこまでのロスにならずに済んだので、今日もかなり競争力があったと言えます」
「それでも、まだまだ前後のギャップは狭いので、明日も面白い日になるだろうし、それ以上に重要な日になります。特別なことはせずに今日までの戦い方を続けたいですし、しっかりと様子を見る必要がありますね」
落ち着いて淡々と、首位争いを繰り広げていたデイ3の状況を言葉にしていく勝田。インタビュアーから、僅差のトップ争いについての気持ちを聞かれると、少し笑顔を浮かばせて次のように続けた。
「僕はこれまで、(ティエリー・)ヌービルや(エルフィン・)エバンスらがトップで戦っているのをテレビで観ていましたし、トップカテゴリーに上がってから(ここまでのトップ争いは)初めてなので、少し変わった感覚もあります(笑)」
「それでも僕自身のフィーリングも良いし、明日のステージはクルマとのマッチングも良いはずだと願っています。もちろん明日はベストを尽くしたいです」
「ただ、それ以上にしっかりとクルマを持ち帰りたいです。それが僕にとって極めて重要なことですから」
周囲から集まる初優勝への期待に対し、落ち着いてリスク管理への意識を語った勝田。TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表も「チームオーダーはない」とはっきり宣言していることからも、明日は初優勝の最大のチャンスとなるが、勝田は勝利への渇望をコントロールし、自身最高の結果を手にすることができるだろうか。