衆院予算委員会で日本維新の会の前原誠司共同代表の質問に答える石破茂首相(右端)=17日午後、国会内 石破茂首相は17日の衆院予算委員会で、私立高校に通う世帯に支給する年最大39万6000円の就学支援金の上限見直しに関し、2026年度から45万7000円程度への引き上げを検討する考えを示した。日本維新の会は教育無償化を25年度予算案に賛成する条件としており、維新幹部は同日夜、対応を協議したが結論を見送った。
首相は「(私立校の)全国平均授業料の45万7000円をベースに詳細な実態調査を行う必要がある」と述べた。維新の前原誠司共同代表への答弁。
維新の幹部会合には吉村洋文代表(大阪府知事)もオンラインで参加。前原氏は国会内で記者団に「45万7000円という数字が出たことは一定評価する」と指摘しつつ、「今の情報量では予算案の賛否を判断するには足りない」とも述べ、与党にさらなる説明を求めた。自民は20日にも首相と吉村氏の党首会談を行い、正式に決定したい考えだ。
自民、公明両党は26年度から所得制限を撤廃し、私立への就学支援金を上積みする考えを既に維新に伝えており、引き上げ幅に関する協議が続いている。
首相は教育無償化の制度設計に関し、今年の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に方向性を盛り込み、26年度予算編成で結論を出すと強調した。維新が求める実施手順や財源などを明確にした「プログラム法」の制定については「3党間で協議が進められる」と語った。
維新は、私立高校生への支援金を大阪府で実施する年63万円に引き上げるよう求めている。首相は「先行自治体の取り組みも一つの参考とする」と指摘し、維新に配慮する姿勢を示した。
自公は今年4月から就学支援金の年収910万円の所得制限を廃止し、公立、私立問わず11万8800円を支給すると表明している。首相は「25年度予算案を修正する方向で与党と相談していく」と説明した。
首相は、維新が求める学校給食の無償化についても「まずは小学校を念頭に26年度以降、できる限り早期の制度化を目指す」と述べた。維新が訴える社会保険料引き下げに関しては、政党間での協議体設置を自民に指示すると明言した。