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「断捨離で使わなくなった電話機を捨てようと思って、ふと留守電に何か残してなかったかと思い再生したら、亡くなった母の20年前くらいの声が残っていた。なぜか捨てられなくなってしまった……」
SNSで注目を集めたmiDumo録音技師,MAミキサーさん(@miDumo、以下miDumoさん)の投稿。
「これは捨てられないですよね」
「泣かせてくるじゃん…形変わってもずっと残してあげてほしい」
「聞いてみようと思ってボタンを押したというのも一つの奇跡といいますか、みちびきといいますか…」
「羨ましいです。どうぞ、その音声は何らかの形でとっておいて下さい」
「私は父が亡くなって40年近くたっているんですが、さすがに『声』を思い出せないことに気づいたときは悲しくなったりしました」
このポストに20万ものいいねが集まり、さまざまなコメントも寄せられました。
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「うちでも、今は亡き祖母の音声(約15年前のもの)が電話に残ってて。幸いSDカードで録音音声を保存できるタイプだったので、祖母が亡くなり当時えらく落ち込んでた母に渡す事ができました」
「私も電子録音ではないけれど、自宅電話機のミニカセット録音に母親からの留守電が残ってました。わずか15秒程度、母親の『もしもし、もしもし?...また電話するからね、元気でやりなさいね』と残っています」
「ウチも震災で亡くなった母親の留守番の応答メッセージが入ったミニカセットテープ残してあります。今では再生も出来ないので聞けないけど捨てられない」
「うちの留守電にも亡くなった母の声が8件。消せないのでランプ点灯しっぱなし」
miDumoさんと同様の体験をし、今も音声を大事に残している人からの心温まるリポストもツリーにつらなるなど、多くの人の心を動かしたエピソードについて、miDumoさんに詳しくお話をうかがいました。
大切な人の記憶は「声から忘れていく」
ーーこの電話機はなぜ捨てずに残っていたのでしょう?
「単に家庭ごみで出せないから、というのが理由でした。一人暮らしを始めた時から一緒に暮らしていたので、27年以上前のものでした」
ーーなぜ留守電を聞いたんですか?
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「実は、現役として使っていた時から、残しておきたいメッセージは消さずにおいていたことを覚えていたので、何が入っているのかを確認するためでした。私は仏教系の大学に通っていたので、当時から死生観として人はいつかいなくなるという思いから、きっとこの留守番電話がタイムカプセルになると思っていて、知人の声も含めて消していませんでした。何かが入っているのは間違いなく、その中に母の声もあったように記憶していました。シャープの電話機の耐久性に感謝です」
ーーメッセージを聞いて、すぐお母さんの声だと分かりましたか?
「はい。聞けて大変ホッとしました! みなさんがリプくださった中にも『声から忘れていく』とたくさんありましたが、その通りなので、本当に幸いでした」
ーーお母さんは何とメッセージを残されていたのでしょう
「私がふさぎ込みがちだった頃、すぐに連絡を断ってしまうので、それを心配する声でした。当時母に心配をかけたことは『申し訳なかったな』と、ずっと思っています」
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ーーそれは余計に残っていてよかったですね! ちなみにスマホや電話機に残った劣化したメッセージを、きれいに再生する方法ってありますか?
「正常動作している機器で多少の知識があるなら、調整できるかもしれません。私のようなMAミキサーは普段からこうした音のノイズリペア作業をやっているのですが、もともとのデータがそこまでの音質でもないので効果は限定的です」
ーーやはり定期的に声を別のものに移して残すのがいいかもですね。最後にこの電話機は捨てたんですか?
「いつかは捨てるのでしょうが、今はまだ言霊の入った品として手元に置いておくつもりです。捨てるにしてもきちんと然るべき形で供養したいと思っています」
今回、注目を集めたmiDumoさんの投稿に、なんと電話機の製造元であるシャープ公式Xも反応!「この状況をうまく申し上げられないのですが、長らくご愛用いただきありがとうございました」とコメントが寄せられました。
この留守番電話機について、シャープの担当者の方にも取材しました。
留守番電話のメッセージを残す方法とは?
今回投稿に登場した留守番電話機は、1998年8月発売のモデルで、UX-T25CLというものだそう。
「このモデルは、内蔵しているメモリーにメッセージをデジタル録音しているため、録音されている音声メッセージを外部に取り出すことはできません。
保存しておきたい内容がある場合は、スマホなどの別の録音装置で録音されることをおすすめします。ユーザーの方がされていたように、再生される音声をできるだけスピーカーの近くで録音してください」とのこと。
何度もメッセージを再生すると、劣化してしまわないか心配ですが、「デジタル録音なので、再生を重ねることで録音された音声が劣化することはありませんが、なにぶん25年以上前の製品のため、製品自体の故障でいつ再生できなくなっても不思議ではありません」ということでした。
今回、miDumoさんが無事に再生されたことを受けて「長きにわたり、ご愛用いただき、誠にありがとうございます。お客様の大事な思い出が再生できたこと、うれしく思うと同時にホッとしております。今後とも、お客様のご要望にお応えできるように、頑張ってまいりますので、引き続き、シャープ製品をご愛顧いただきますよう、よろしくお願いします」と、製造元として喜んでらっしゃいました。
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今回の投稿を見て親しい人の写真だけでなく、生前の声も残そうと思った人が多かった様子。でも固定電話がなくなりつつある今、スマホの留守番電話メッセージを録音しておくのも良いのかもしれません。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)