マイナス20度の阿寒湖で描く、現代アイヌと若者の交流 短編映画『cupki mawe(チュプキ マウェ)』を公開

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2025年02月19日 13:10  OVO [オーヴォ]

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マイナス20度の阿寒湖で描く、現代アイヌと若者の交流 短編映画『cupki mawe(チュプキ マウェ)』を公開


 ロフトワーク(東京)は北海道釧路市からの委託を受け、阿寒湖を舞台に現代アイヌ文化の魅力を伝える短編映画『cupki mawe(チュプキ マウェ)』を制作し、阿寒湖アイヌコタンの公式YouTubeチャンネルで公開した。2024年9月に同チャンネルで公開した短編映画『urar suye(ウララ スエ)』の続編。前作に引き続き、十川雅司氏が監督を務めた。

【動画】『cupki mawe』本編

 東京で音楽活動をしているユカリ(xiangyu)は、昨年の夏(夏編『urar suye』)に阿寒湖を訪れたとき、自身のアーティストとしての将来性を信じきれず、思い悩んでいた。阿寒湖でダンサーをしている大学時代の友人・サヤに誘われるままに、大自然と共に生きるアイヌコタンの人々と交流。動植物や自然現象、日常で使う道具などに宿る「カムイ」を信じるアイヌの世界観と生きかたを肌で感じながら、自分の中で何かが変わっていくのを感じた。力を抜いて自然の流れに身を任せるようになったユカリだが、それから半年が経ち、次第に「本当に“どこか“にたどり着けるのだろうか?」という不安を抱くように。そして再び、ユカリは何かを確かめるように、今回の日本一周の旅のゴールとした冬の阿寒湖アイヌコタンを訪れた。

 厳しい冬の中で「光の森」が見せる美しい姿、小さな会話から知るアイヌの生き方、氷に覆われる雄大な阿寒湖と雄阿寒岳なども、この映画の見どころだ。ユカリが旅の最後に見たのは、結氷した阿寒湖上から見た朝焼けの景色。マイナス20度というあらゆる生物にとって極限の世界で、ユカリは、生きづらさから抜け出すための“希望の光”を見つける。

 十川監督は、「私たち現代人はつい、インターネットやスマホからの情報ばかりに頼ってしまいます。しかし、本質的なことの多くは、自然から学ぶことができます。そして歴史や人生のことは、他者から学ぶことができます。僕自身、この映画を制作する中で出会った地元の方々からたくさんのことを学び、励まされました。今では、それらが大切な宝物です。本作品では、僕自身が阿寒湖アイヌコタンで受け取った優しさや気づきを、物語に込めさせてもらいました。この物語が、見てくださった方々の人生の光につながることを願っています」とコメント。

 主演のxiangyu(シャンユー)さんは、「何者かになりたくて、どこかにたどり着きたくて必死にもがいているうちに自分がどうやって呼吸していたのか忘れてしまう。この世界の泳ぎ方がどんどんわからなくなってしまう感覚によくなります。でも厳しい冬を乗り越えるためには、無理にジタバタせず流れに身を任せてみることが大切なのだと、阿寒の雄大な自然が教えてくれました。身を任せることは勇気がいるけど、そうやって委ねてみて、肩の力が抜けた時にようやく、アイヌの方々がうたにしていた“ちいさな美しい瞬間”は、気づけるものだと思います。何かに迷った時、いつだって私は阿寒の土地に帰りたい。そんな場所に出会えて心から幸せです」とのコメントを寄せている。

 作品の舞台である「阿寒湖アイヌコタン」は、約120人が暮らす北海道内有数の集落。アイヌの信仰「全てのものに魂が宿る」の意識のもと、触れ合う・つくる・食べる・受け継ぐ・解き放つ・自然と生きる、といった体験ができる場所としてアイヌの文化を発信している。




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