年収の壁引き上げをめぐって溝が埋められず中断していた、与党と国民民主党の協議。2か月ぶりに再開しましたが、自民の新提案に国民側は「ボールは返ってきたが暴投だ」と批判。与党の公明党も「分断生む可能性がある」と苦言する“暴投”の中身とは。
“年収の壁”自民案に国民「暴投だ」2か月ぶり協議再開も…国民民主党 古川元久 税調会長
「ボールは返ってきましたけど、かなり暴投でね、グラブに入るところにボールは投げてもらいたい。この２か月間なんだったのかなと思います」
「103万円の壁」引き上げをめぐる、与党と国民民主党の協議。
2024年12月、与党側は123万円への引き上げを提案しましたが、178万円を主張する国民民主党は、その提案を一蹴しました。その後の協議では、与党側が新たな案を提示しなかったことで国民側が途中退席し、それ以降協議は行われていませんでした。
2か月ぶりの協議で、自民党側が投げたという“暴投”とは。
自民党 宮沢洋一 税調会長
「紙を読んでいただければおわかりになると思うが、基礎控除の特別枠を新設して上乗せする」
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自民党の提案は、年収200万円以下の人についてはこれまでの123万円→160万円まで引き上げ。さらに、年収500万円以下についても2025年と2026年に限り、133万円に引き上げるとしています。
複雑な提案に国民民主党側は。
国民民主党 古川 税調会長
「所得制限を入れること自体、税の理屈からするとおかしい。新たな壁を設ける話であり、我々は壁のない世界を考えている」
協議に参加していた公明党からも苦言が。
公明党 竹内譲 税調副会長
「年収200万とか500万とか、区切るのはよくない。新たな分断を生む可能性があると思う」
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3党は19日も協議を行う予定ですが、先行きは不透明なままです。
年収の壁で自民新提案 年収500万は＋1万円 減税？藤森祥平キャスター：
【国民民主党が主張する壁を「178万円」に引き上げる場合】
※年収（給与所得）
年収200万円→減税額8.6万円
年収500万→減税額13.2万円
年収800万円→減税額22.8万円
全ての人の手取りが増えるとされていました。それに対し…
【2024年末に与党が提案した「123万円」の減税額】
年収200万円→5000円
年収500万円→1万円
年収800万円→2万円
国民民主党が提案した「178万円」の減税額に比べると、約10分の1になってしまいます。
23ジャーナリスト 片山薫さん：
国民民主党が提案した「178万の壁」では、「誰でも減税が受けられる」というイメージでした。しかし与党からは「123万の壁」を提案され、規模は縮小してしまった。減税額としては大きく期待から外れることになり、交渉は決裂してしまいました。
そこで「新たな壁を作る」というのが、今回の協議でした。
今回、自民党から提案されたのは「160万円の壁」です。
前回の提案から大きく上がったように感じますが、年収制限があり年収200万以下に適用されるということです。これによって…
年収200万円→減税額は＋約1万9000円
年収500万円→減税額は＋約1万円
年収800万円では変わりません
これには公明党も「この提案は飲めない」、国民民主党も「もちろん受け入れられない」と言っています。
年収の壁は今週中に決めなければなりませんが、財務省の幹部も「税は決めなくていい」とぼやくくらい、双方の主張が対立し落としどころが見えなくなっています。
自民党の提案では、低所得者により減税を行うという考えがあるようです。
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東京大学准教授 斎藤幸平さん：
自民党は制度をより複雑化して、ごまかそうとしているように感じる。余計な分断を生むと思う。
今回提案された減税額であるなら、高校無償化などのほうが金額としての規模は大きい。しかし国民民主党は高校無償化などについて触れていません。だからと言って自民党の提案を飲むわけにはいかないので、もう一波乱おきそうです。
片山さん：
自民党は国会で提案されている、「高校無償化」や「予算の組み換え」を全て飲んでいく考えなのかもしれない。その一歩なのでは。今の政権には減税していく気力は見られない感じがします。
小川彩佳キャスター：
明日も議論が行われるということで、ここからの動きに注目です。
NEWS DIGアプリでは『103万円の壁』について「みんなの声」を募集しました。
Q.新年度予算案協議 最も実現してほしいのは？
「123万円」…11.1%
「2段階方式で150万円以上」…17.5%
「150万円以上」…21.7%
「160万円以上」…7.2%
「178万円以上」…29.1%
「その他･わからない」…13.4%
※2月18日午後11時16分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
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＜プロフィール＞
片山薫 記者
23ジャーナリスト
元経済部筆頭デスク 財務省や経産省・農水省などを担当
趣味はハイキング 育児休暇中に家事をイチから学ぶ
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