画像:TBSテレビ『御上先生』公式サイトより 1月スタートの冬クールドラマが出揃い、盛り上がりを見せています。年間100本以上の日本ドラマをチェックするアラフォー筆者が「最後まで観たい!」と思った、地上波のプライム帯(19〜23時放送)のドラマのなかから“おすすめ7選”をご紹介。
まず「次週が待ち遠しい」「一刻も早く続きが観たい」と思う、ダントツで面白いおすすめ3作品から。
◆ホットスポット
何度もリピート視聴して、視聴回数・満足値ともに現在ダントツなのが『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜よる10時30分〜)です。
主人公・清美(市川実日子)が働くビジネスホテルの同僚・高橋さん(角田晃広)が、ひょんなことから“宇宙人”と判明する特殊な設定の物語。
魅力はなんといっても、バカリズム氏の脚本らしい会話劇・伏線回収です。確固たる演技力をもつ俳優たちによる女子(+高橋さん)トークは、自然体なのに圧巻の面白さ! 長尺であってもテンポがよく、永遠に観ていられそうな会話劇に、緻密な伏線回収が加わって視聴者を惹きつけます。
どこにでもいそうな中年男性の生き様と、宇宙人の特殊能力を交互に繰り出してくる高橋さんのキャラ設計も魅力的。
第5話では池松壮亮、第6話からMEGUMI、志田未来、菊地凛子も登場し、ますます盛り上がりそうです。
◆クジャクのダンス、誰が見た?
本格的なサスペンスが楽しめる『クジャクのダンス、誰が見た? 』(TBS系、毎週金曜よる10時〜/原作:浅見理都氏による同名漫画)も、毎週楽しみ!
父・春生(リリー・フランキー)を殺された主人公・心麦(広瀬すず)が、過去の冤罪事件の真相を追います。
筆者は原作ファンで、連載雑誌の最新話まで熟読しているので、展開や考察を楽しむことは正直できません。それでも見応えは抜群です。キャストが贅沢。
春生を殺した犯人として逮捕された遠藤友哉を演じる成田凌が放つ存在感はハンパないし、心麦に付きまとう週刊誌の記者・神井を演じる磯村勇斗は新境地の漢っぷりから目が離せません。
そして、心麦を支えながら事件と向き合う弁護士・松風は、松山ケンイチらしい魅力的なキャラクターです。彼らの対峙シーンはまるで魂のぶつかり合い!
展開を知っていてもハラハラします。壮大なサスペンスのラストを……ドラマ版はどう描くのか、どう演じるのか。見逃せません。
◆法廷のドラゴン
予想以上にハマっているのは『法廷のドラゴン』(テレビ東京系、毎週金曜よる9時〜)。
女性初のプロ棋士誕生を期待されながらも弁護士に転向した主人公・天童竜美(上白石萌音)と、父親の事務所を受け継いだ弁護士・歩田虎太郎(高杉真宙)を中心に繰り広げられる痛快リーガルドラマです。
上白石×高杉のバディがビジュアルもキャラも、とにかく尊い!
ふたりの役作りの秀逸さが光ります。そんなふたりをパラリーガル役の小林聡美と、竜美の両親・和久井映見、田辺誠一が見守るという構図。面白くない訳がありません。
『相棒』や『科捜研の女』などを手掛けた戸田山雅司氏による完全オリジナル脚本で、サスペンス要素も分かりやすくもしっかり構成されています。
そこに演者たちの、シリアスさとコミカルさのバランスが絶妙な掛け合いが加わる。何度観ても飽きない世界観で、ぜひともシリーズ化してほしい作品です。
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さて、この冬クールは好みが分かれそうな作品も多い印象です。ここからは「個人的に好き」「最後まで見守りたい」ドラマ4選をお伝えします。
◆東京サラダボウル―国際捜査事件簿―
少し重たい内容ですが『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』(NHK総合ほか、毎週火曜よる10時〜/原作:黒丸氏による同名漫画)は良作。
東新宿署・国際捜査係を舞台に、外国人居住者の暮らしや人生を描く物語です。
ミドリ頭の警察官・鴻田(奈緒)と、警視庁・通訳センターの中国語通訳をする有木野(松田龍平)のコンビが、外国人を取り巻く問題に向き合う姿に心打たれます。
国籍関係なく誰とでもぐいぐい距離をつめるコミュ力おばけの鴻田。一方、有木野は、悲しい出来事で警察官を辞めて心を閉ざしています。
タイプは違いますが、繊細な心をもつふたり。深い人間表現できる奈緒・松田と、問題の本質に向き合う姿勢が伝わる丁寧な構成によって、重厚な社会派ドラマに仕上がっています。
第6話のラストでは三上博史が、過ちを犯して干されていた中国語を駆使するベテラン刑事として登場。ますます目が離せない展開になりそうです。
◆119 エマージェンシーコール
『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系、毎週月曜よる9時〜)も、応援したくなる作品。
消防局の通信指令センターを舞台に、119番通報を受ける指令管制員たちの物語です。
主演の清野菜名、瀬戸康史、見上愛、一ノ瀬颯、前原滉、中村ゆり、佐藤浩市が演じる指令管制員で構成された司令課3係。
一人ひとりの個性、抱える過去や問題にスポットを当てながら、互いが影響し合っていくチームの描き方は王道ながら秀逸です。
また「一本の電話で命をつなぐこと」の難しさや、現場の葛藤がリアルに伝わってきます。
消防や救命の事件を舞台にした作品は多くありますが、通報のシーンを描いたとしてもほとんどが現場の状況の画があるので視聴者は状況の把握が容易です。
しかし本作では通報を受けている指令管制員の姿と相手の声のみ。その困難さやもどかしさを、視聴者も同じように感じるのです。
だからこそ、電話だけで命と向き合うチームの奮闘に胸が熱くなる。最後までこのチームを応援したいと思います。
◆プライベートバンカー
エンタメ作品として分かりやすく痛快なのが『プライベートバンカー』(テレビ朝日系、毎週木曜よる9時〜)。
主演の唐沢寿明が凄腕プライベートバンカー・庵野として、相続争い、愛人問題、裏金疑惑、経営争い……など資産家一族の“金”にまつわる問題に切り込みます。
投資詐欺に遭ったことをきっかけに庵野の助手となる久美子を鈴木保奈美が演じており『愛という名のもとに』ファンとしてはムネアツ!
もう一人の助手・御子柴(上杉柊平)とともに、資産7000憶の大富豪で、外食業界のトップに君臨する「天宮寺アイナグループ」の問題を次々と解決していく様は実に爽快です。
天宮寺一族も、橋爪功、夏木マリ、土屋アンナ、MEGUMI、安井順平、吉田ウーロン太とクセ者揃いで、唐沢との演技合戦も堪能できる作品です。
あと随所で披露される金融知識は、地味に勉強になります。
人気シリーズ作品が多いテレビ朝日に新たなシリーズになる予感!
◆御上先生
松坂桃李が主演の日曜劇場『御上先生』(TBS系、毎週日曜よる9時〜)は学園ドラマの域を超えています。
エリート文科省官僚の御上孝(松坂桃李)が、有名私立高校・隣徳学院に出向。日本の教育を変革するために権力に立ち向かっていく物語です。
「そうだね」と生徒の意見を受け止め、「考えて」と生徒に思考させる御上先生の令和らしい教師としてのスタンスや、生徒たちの変化や成長はもちろん見どころ。
一方で、張り巡らされた伏線の嵐が気になって気になって。
国家公務員採用総合職試験の会場で殺人事件を起こした真山弓弦(堀田真由)と、弓弦の母であり不倫で隣徳学院を退職した元教師・冴島悠子(常盤貴子)。味方なのか敵なのかが定かではない文科省の官僚・槙野(岡田将生)や塚田幸村(及川光博)、永田町と霞が関を取り持つ“闇の仲人“中岡壮馬(林泰文)などなど。
文科省と学校現場という分かりやすい対立構造だけでなく、殺人事件や政治家との問題も複雑に絡み合っています。
前半はとことん伏線を展開してきているので、後半に向けてどのように回収していくのか。期待できそうです。
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深夜帯も含めて、本当に幅広いタイプのドラマが展開されている印象の冬クール。ハマるドラマは人それぞれ! ぜひ最後まで堪能しましょう。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201