『トヨタ・キャバリエ(JGTC)』異色の輸入FFクーペがGTカーに変貌【忘れがたき銘車たち】

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2025年02月19日 17:00  AUTOSPORT web

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1997年の全日本GT選手権第5戦MINEサーキットで4位に入賞したワイズダンロップBPキャバリエ。佐藤久実と田中実がドライブした。
 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは1997年、1998年の全日本GT選手権GT300クラスを戦った『トヨタ・キャバリエ』です。

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 トヨタ・キャバリエというクルマ、みなさんはご存じだろうか。『キャバリエ』は、シボレー・キャバリエというゼネラルモータース(GM)製のミドルサイズセダン&クーペを、右ハンドル化するなどの仕様変更を施して、トヨタが輸入販売していたクルマだ。

 キャバリエの販売期間は、1996年から2000年までのわずか4年。しかも、後継となるモデルが登場することもなかったゆえに、いわばマイナーな存在の一台だ。ただCMのキャラクターをタレントの所ジョージが務めていたので、その印象が残っているという方がいるかもしれない。

 このキャバリエの市販車は、レースのイメージを感じさせない“フツーのセダン”だ。だがしかし、実はキャバリエの2ドアクーペモデルが1997年〜1998年にかけて全日本GT選手権(JGTC)のGT300クラスに参戦していたことがあった。

 変わり種な1台であるキャバリエをGTカーへと仕立てたのは、当時、トヨタMR2をJGTCのGT300クラスに送り込んでいたレーシングガレージのクラフトだった。

 クラフトは、キャバリエと同じ前輪駆動のレーシングカーである全日本ツーリングカー選手権(JTCC)を戦ったトヨタ・カローラのノウハウを活かし、スプリントレースであるJTCCスペックの車両をFFのまま、セミ耐久であるJGTCに参戦させたらどうなるか、というコンセプトでキャバリエのGTカーを開発した。

 GTカー化にあたってキャバリエは、JTCCに参戦していたカローラ用の3S-GE型エンジンを搭載したほか、Xトラック製のトランスミッションへと換装。さらにボディの全幅を60mm拡幅といったモディファイが施された。

 キャバリエは、1997年のJGTC第4戦富士スピードウェイでGT300クラスへデビュー。初陣を16位完走で終えると、続く第5戦MINEサーキットでは、なんと4位でフィニッシュし、2戦目にしてポイントを獲得する快走を見せた。

 翌1998年にも参戦したキャバリエは、3度のポイント獲得を記録し、最高位は第6戦MINEサーキットでの7位だった。この年をもって、キャバリエはJGTCへの参戦を終了。生みの親であるクラフトは、1999年に向け次なるGTマシンである“ハチロク”を生み出すに至るのであった。

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