九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の周辺住民ら約3000人が九電や国に運転差し止めや賠償を求めた訴訟は、地震や火山噴火に対する安全対策、周辺住民の避難計画の実効性などが主な争点となっている。2012年5月の提訴から12年超の長期に及ぶ審理を経て出される鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)の判断が注目される。
川内原発1、2号機は、それぞれ1984年と85年に営業運転を開始。11年の東京電力福島第1原発事故を受けて運転を停止したが、14年に国の新規制基準の適合性審査に全国の原発で初めて合格し、翌年に再稼働した。
住民側は訴訟で、火山活動が活発な桜島が川内原発から約50キロの距離にあると指摘。他にも破局的噴火を起こす可能性のあるカルデラ火山も周辺に点在していることから、巨大噴火が起こると致命的な影響を受ける恐れがあると主張した。
また、原発周辺にある活断層などについて、国が想定する地震の規模は過小で十分な耐震安全性を備えていないとも訴えた。避難計画も欠陥が多いとして実効性を疑問視し「原発の運転によって、憲法が保障する人格権と生存権を侵害している」と主張した。
一方、九電や国は、火山については「原発の運用期間中に破局的噴火を起こす可能性は十分小さい」などと反論。地震対策については「最新の科学的・技術的な知見を踏まえて耐震設計されており、安全性が確保されている」、避難計画についても「地域の実情に応じた合理的なもの」などとして住民側の請求を退けるよう求めており、主張が激しく対立している。【取違剛】
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