岡田准一、坂本九さん名曲映画化「SUKIYAKI」中村八大さん役「母がピアノの先生で喜ぶ」

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2025年02月20日 05:01  日刊スポーツ

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映画「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」に主演する岡田准一

岡田准一(44)が、坂本九さんの名曲を映画化する「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」に主演することが19日、分かった。同曲の誕生秘話を、事実に基づいたフィクションとして描く。


岡田は、坂本さんと作詞家永六輔さんと並び“六八九トリオ”と呼ばれた作曲家中村八大さんを演じ、初のジャズピアニスト役に挑戦。「母がピアノの先生なのでピアノを弾く役は親が喜んでくれると思い、とてもうれしい」と意欲を見せた。


同作は、岡田にとって、23年「最後まで行く」(藤井道人監督)以来の主演映画となる。瀬々敬久監督(64)とは初タッグで、3月にクランクインし、26年に公開を予定している。


岡田が「明日があるさ」「こんにちは赤ちゃん」「遠くへ行きたい」「世界の国からこんにちは」から、日本テレビ系「笑点」(日曜午後5時30分)のテーマソングまで生みだした中村さんを演じる。中村さんは幼少期から神童としてピアノの腕を磨き、早大在学中にジャズピアニストとして爆発的な人気を集めた。作曲家に転身後、大学の後輩の永さんとNHKの音楽バラエティー番組「夢であいましょう」を手がけ「六八コンビ」として知られた。


岡田は「素晴らしい天才ジャズピアニストで、戦争から高度成長期の時代に深く織り込まれた体験や、ジャズを追い求めた八大さんが、日本人の心に染み渡る音をいかにして生み出していったのかを大切に演じていきたいと思います」と、演じるにあたっての覚悟を示した。


中村さんを演じる上で、ピアノの演奏は必須。「小学生の頃やたまにライブで弾く程度だったので、今回ピアノを弾くということもチャレンジになります」と覚悟を決め、昨年末から自宅にピアノを設置して通いレッスンを開始。レッスン内容を自宅で地道に反復し、2カ月の時点で、かなりの上達ぶりだとレッスン講師を驚かせる腕前になったという。


企画・プロデュースの高明希プロデューサーは、コロナ禍の20年に公開したプロデュース作「今日から俺は!! 劇場版」が、興行収入53・7億円とヒットした。一方で、当時はステイホームを強いられ「音楽で勇気づけるアーティストさんの姿も拝見する機会があり、映画と音楽の融合で最高のエンターテインメントを作れたら」と考えた。そこで「大人になってからも、つらい時に支えられた曲でもあり、コロナ禍、自宅でリサーチをする時間も増え、曲の作り手側に初めて興味が湧き」(高氏)「上を向いて歩こう」をリサーチした。


「調べて行く中で、歌手・坂本九さんだけでなく、作曲中村八大さんや、作詞永六輔さんの人間力に魅せられて、彼らの物語を形にしたい、と強く思うようになり」“六八九トリオ”の家族に会い、話すところから始めた。取材を重ねる中で「戦後の焼け野原から、新しいものを作り上げた男たちのエネルギーに、今を生きる私自身が鼓舞され、強くそう願うようになりました」と、映画化に動いた。


そして「(17年の映画)『8年越しの花嫁』が大好きで、ラブストーリーだけれど、決してきれいごとで終わらず、人間の泥臭くささをちゃんとすくいあげる方だな、という信頼」から瀬々監督にオファー。同監督からは「最初『今日から俺は!!』のプロデューサーが、なんでこの映画作ろうと思ったの!? と驚かれました」というが「見た方のエネルギーになってほしいと願う、エンターテインメントの根幹は、両作品とも、私の中では同じなのです」と迷いはなかった。


主演の中村八大役には、TBS系ドラマ「木更津キャッツアイ」(02年)や「タイガー&ドラゴン」(05年で)での「生身の人間くさい芝居が元々大好き」だった岡田にオファー。「芝居の面でも、八大さんという、調べれば調べるほど、音楽を突き詰めて、音楽とともに生き抜いた天才の濃密な人生を体現してくださるだろうという信頼があり、オファーしました」と振り返った。「実際、ご一緒してみると、脚本についての解釈など、1を聞いて100をつかみ取る聡明(そうめい)は想像以上で、彼によって、この映画の八大さんに命が吹き込まれた感覚が、とてつもなくあります」と、岡田のキャスティングに絶対の自信を持っている。2人へのオファー含め、企画開発に4年を費やした。


岡田は「この企画は、3人の友情の物語、伝記だと思います」と作品を評した。瀬々監督は「戦後の疲弊や貧困から脱却しようとした日本の時代を象徴するような歌、それを作った人々の人生模様を映画にする。その多大なミッションの重責に今から身震いしています」と大役への率直な思いを吐露。「ただ、そこは自由に、希望の歌となりえるように、今必要とされるような元気な映画を、私たちの六八九トリオを中心とし、素晴らしきチームとなって共に作っていこうと思っています」と意気込んだ。


脚本は、17年の映画「あゝ荒野」や24年「正欲」(ともに岸善幸監督)など、人間の内面をえぐるような意欲作を手がける港岳彦氏が担当。音楽は、11年の映画「モテキ」(大根仁監督)や21年のアニメ映画「竜とそばかすの姫」(細田守監督)を担当した岩崎太整と、同年「すばらしき世界」の音楽を担当したジャズピアニスト林正樹氏が、演奏シーンや歌唱シーンなど劇中の音楽全体をコーディネートする。


配給の東宝では、23年の米アカデミー賞で、アジア初の視覚効果賞を受賞した「ゴジラ−1.0」を、北米を中心に世界各国で配給した実績がある。1963年(昭38)に、全米ビルボードチャートで、日本人が歌う曲ながら3週連続1位の快挙を達成した「SUKIYAKI」の映画化だけに、海外での反響も期待できそうで他。高プロデューサーは、ストーリーの詳細は現時点では空かせないとした上で「『ゴジラ』のように、海外公開で、たくさんの方にご覧いただけたら、最高だと思います」と、作品の躍進に期待した。

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