茂木健一郎「偏った脳のバランスが回復する」“自然を見ると癒やされる”メカニズムを脳科学の視点で解説

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2025年02月20日 06:10  TOKYO FM +

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茂木健一郎「偏った脳のバランスが回復する」“自然を見ると癒やされる”メカニズムを脳科学の視点で解説
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00〜22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
2月15日(土)の配信では「大自然の景色と癒やし」に関する相談に答えました。


パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
私は、去年の秋に行った熊本県・阿蘇の草千里(くさせんり)の景色に感動しました。またその気持ちを味わいたくて YouTubeで草千里のライブ映像をよく検索して観ています。朝・昼・夕方・晴れ・曇り・雨のときも飽きることありません。真っ暗な夜や、真っ白な一面の霧で何も見えないときも、ライブ配信を観ている人数が私1人になることはなく、「みんな私と同じ思いを持っているんだな」と勝手に想像しています。

茂木先生は、心の琴線に触れた景色はありますか?

<茂木の回答>
これおそらく、あなたが実際に草千里行かれているので、ライブ映像を観ると、そのことを(頭のなかで)再現できるんだと思うんです。実際に現地に行ったことのない方がYouTube映像を観ても楽しめるとは思いますが、リスナーさんの場合は、実際に経験されているということが大事なのだと思います。

「心の琴線に触れる」というのは、まさにこのリアルな経験、自分の体で現地に行って経験するということが、とても大事だと思います。今の時代、インターネットなどでいろいろ世界中を飛び回れるわけですが、実際に自分の体でそれを経験することに勝るものはないと思います。

僕の心の琴線に触れた景色は、留学していたイギリスのケンブリッジ郊外のグランチェスター村に行く川沿いの道です。ケンブリッジから歩いて30分ぐらいです。日曜日などには、イギリスの方がグランチェスター村まで行って、パブでご飯を食べて、またゆっくり帰ってくるような場所です。ここの景色は琴線に触れましたね。

僕のYouTubeで「旅ラン(旅×ランニング)」動画としてアップもしているのですが、これはリスナーさんと同じく、実際にそこへ行って経験をしているからこそ、「グランチェスター村に行く道はいいよなぁ」と思えるわけで、映像で再現できるのは一部分だと思います。ですからリスナーの皆さんも、琴線に触れる景色は、やはりそこに行ったほうがいいんですよね。



緑なんかは特にそうですが、自然環境に触れると心と体の回復効果があると知られています。有名な研究に「緑が見える病室にいらっしゃる方は、他の人よりも退院がちょっと早い」なんてものもあります。

普段ちょっと偏って使われている脳が、バランスを回復する。このことが、脳科学的には「癒やし(ヒーリング)」であると考えられています。私たちは普段、どうしてもコンピューターやスマホのスクリーンを見てしまいますよね。そういう偏った脳の使い方をしているので、草千里のような大自然のなかに行くと、普段使っていない脳の回路が使われて脳のバランスが回復して、それが癒やしになるのではないかなと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎

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