市販バイクレースの最高峰SBK!マシン以外のMotoGPとの違いとは?【2025年WorldSBKをイチから学ぶ】

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2025年02月21日 07:00  AUTOSPORT web

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2024年WordSBK第1戦オーストラリア
 2月21日から23日にオーストラリアで開幕戦を迎える2025年シーズンのスーパーバイク世界選手権(WorldSBK)は、今年は6メーカー23台が参戦し、昨年と同じく全12レースで争われる。

 開幕が目前に迫るWorldSBKについて、どういったカテゴリーなのかやレースウイークのスケジュール、2025年の開催カレンダーなどを確認しよう。

* * * * * *

■WorldSBKとは
 WorldSBKは、市販自動二輪車をベースとしたマシンを用いて、サーキットで行うモーターサイクルロードレース。世界選手権として位置づけられている。

 ロードレース世界選手権のMotoGPクラスがプロトタイプマシンの最高峰であるのに対し、WorldSBKは市販車レースの最高峰に当たる。そのため、WorldSBKには各バイクメーカーからスーパースポーツモデルの中でもフラッグシップマシンが投入されている。また、4輪レースで例えるとフォーミュラレースとGTレースの違いのようなものだ。

 レギュレーションでは、2、3、4気筒の4ストロークエンジン搭載の市販モデル、エンジン排気量は、3、4気筒エンジンは750〜1000cc、2気筒エンジンは850〜1200ccと規定されている。現在は4ストローク4気筒の1000ccマシンが主流だ。その他にも最低車体重量は168kg、年間のエンジン使用数は6基(年間ラウンド数/2)と定められている。

 2025年は、カワサキのファクトリー体制終了に伴い、イタリアメーカーのBIMOTA(ビモータ)が復帰。カワサキ車がベースとなるが、新たにビモータKB998 Riminiがサーキットに登場する。そのため、今シーズンは、ドゥカティ・パニガーレV4 Rが8台、ヤマハYZF-R1が6台、ホンダCBR1000RR-Rが4台、BMW M1000RRとビモータKB998 Riminiがそれぞれ2台、そして、1台のカワサキZX-10RRの計23台がレギュラー参戦する。タイヤはピレリのワンメイクのため、マシンとライダーによるパフォーマンスが重要なポイントだ。

 また、これまではレブリミットで各メーカー間の性能調整を行っていたが、今シーズンからは燃料流量制限が導入された。全メーカーが燃料流量47kg/hでスタートし、2大会ごとに見直され、0.5kg/h単位で削減もしくは追加される。燃料流量制限には、1周あたり2g/hという許容誤差が設けられており、それを超えた場合にはペナルティが科される場合がある。

 近年のチャンピオンは、2012年から2014年がマックス・ビアッジ、トム・サイクス、シルバン・ギュントーリ(アプリリア)、2015年から2020年がジョナサン・レイ(カワサキ)、2021年はトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)、2022年と2023年はアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、2024年はトプラク・ラズガットリオグル(BMW)が獲得しており、日本車も欧州車も戦闘力が高い。2025年は新たな性能調整によりメーカー間でどのような差がつくだろうか。

■レーススケジュール
 WorldSBKとMotoGPの違いは、マシンだけではなくフォーマットもだ。WorldSBKでは、3レース制であり各ラウンドごとに2度の決勝レースとスーパーポールレースが開催される。土曜日に“スーパーポール(予選)”と“決勝レース1”、日曜日に“スーパーポールレース”と“決勝レース2”が行われる。レースウイークの流れは以下の通り。

 金曜日は、45分間の『FP1』と『FP2』の走行が行われる。土曜日は、20分間の『FP3』ののち、15分間の『スーパーポール(予選)』が行われ、決勝レース1とスーパーポールレースのスターティンググリッドを決定。現地時間14時に『決勝レース1』が開催される。

 日曜日は、朝に10分間の『ウォームアップ走行』が行われ、11時に『スーパーポールレース』が開催される。スーパーポールレースは、サーキットに関わらず10周となっており、上位9位までが決勝レース2のグリッドに反映され、ポイントが与えられる。

 そして、日曜日の14時に『決勝レース2』が開催される。前述の通り、ポールポジションから9番グリッドまでが、スーパーポールレースの上位9名、10番グリッド以下は予選順となる。

■ポイントシステム
 2度の決勝レースでは、1位に25ポイントが与えられ、2位に20ポイント、3位16ポイント、4位13ポイント、5位11ポイント、以下順位が下がるごとに1ポイントずつ減り15位までがポイント獲得となる。なお、決勝レース1・2ともに周回数および獲得ポイントは同じだ。

 ポイント制度はMotoGPクラスと同様ではあるものの、スーパーポールレースと決勝レースが2度行われるため、1週末で最大62ポイント(25点+12点+25点)を獲得することができる。

 最高峰のMotoGPクラスでは2024年から全戦でスプリントレースが行われているが、WorldSBKでは2度の決勝レースとスターティンググリッドに影響するスーパーポールレースいう大きな違いが存在する。決勝レースとスーパーポールレースは周回数やポイント制度が異なるが、両方ともにレースとしてカウントされるため、1ラウンド3レース。今シーズンは12戦のため36レースの開催が予定されている。

●スーパーポールレース/ポイント制度
1位:12ポイント
2位:9ポイント
3位:7ポイント
4位:6ポイント
5位:5ポイント
6位:4ポイント
7位:3ポイント
8位:2ポイント
9位:1ポイント 

●決勝レース/ポイント制度
1位:25ポイント
2位:20ポイント
3位:16ポイント
4位:13ポイント
5位:11ポイント
6位:10ポイント
7位:9ポイント
8位:8ポイント
9位:7ポイント
10位:6ポイント
11位:5ポイント
12位:4ポイント
13位:3ポイント
14位:2ポイント
15位:1ポイント

■2025年レース日程
 2025年のWorldSBKは、昨年と同じく12戦で争われる。 2月21日から23日にオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで開幕し、10月17日から19日にスペインのヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで最終戦を迎える。

 フライアウェイのレースは第1戦オーストラリアのみで、基本的にヨーロッパでの開催となっているが、過去には日本ラウンドが行われていた歴史もある。8月はサマーブレイクとなるため、鈴鹿8時間耐久ロードレースにスポット参戦するライダーも多く、その他空いている週末はMotoGPでの代役を務めるライダーもいる。

●2025年WorldSBK暫定カレンダー
ラウンド開催地サーキット開催期間第1戦オーストラリアフィリップ・アイランド・サーキット2月21日〜23日第2戦ポルトガルアルガルベ・インターナショナル・サーキット3月28日〜30日第3戦オランダTT・サーキット・アッセン4月11日〜13日第4戦イタリアムジェロ・サーキット5月2日〜4日第5戦チェコアウトドローモ・モスト5月16日〜18日第6戦エミリア・ロマーニャミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ6月13日〜15日第7戦イギリスドニントン・パーク7月11日〜13日第8戦ハンガリーバラトンパーク・サーキット7月25日〜27日第9戦フランスマニクール・サーキット9月5日〜7日第10戦アラゴンモーターランド・アラゴン9月26日〜28日第11戦エストリルエストリル・サーキット10月10日〜12日第12戦スペインヘレス・サーキット-アンヘル・ニエト10月17日〜19日

■日本人ライダーが参戦するWorldSSPも注目
 WorldSBKでは、スーパースポーツ世界選手権(WorldSSP)が全戦で併催される。また、ラウンドによってはスーパースポーツ300世界選手権などの下位クラスも行われる。

 WorldSSPは、4気筒600cc以下、3気筒675cc以下、2気筒750cc以下の4ストロークエンジンを搭載する市販車をベースとしたマシンを用いて争われる。最高峰のWorldSBKと比較すると中量級クラスに当たる。

 しかしながら、前述の通り、ベースとなる市販車の排気量が規定されているもののベースとなる市販モデルが少なくなっていることもあり、排気量が規定を超えるヤマハYZF-R9やドゥカティ・パニガーレV2などといったモデルが性能調整されたうえで、投入されている。

 2025年のWorldSSPには、日本人ライダーの鳥羽海渡(PETRONAS MIE Honda Racing)と2024年全日本ロードレース選手権JSB1000チャンピオンの岡本裕生(Pata Yamaha Ten Kate Racing)が参戦する。このふたりのライダーの活躍にも注目だ。

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