スコット・マクラフランは、マシュー・ジャミネ、マット・キャンベル、ケビン・エストーレと6号車ポルシェ963をシェアした アメリカ・フロリダ州に位置するセブリング・インターナショナル・レースウェイで、1月11日から3日間行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権公式テストの最終日。この日、ふたりのインディカー“スター”がポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが走らせる『ポルシェ963』のステアリングを握った。ジョセフ・ニューガーデンが最後にスポーツカーに乗ってから12カ月あまり。スコット・マクラフランにとっては12日ぶりのことだった。
どちらも今季のIMSA第2戦『モービル1・セブリング12時間』には出場しないが、セブリングで行われた公式テストの一環として、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツがイベントに備えるための貴重なデータ収集と周回に12時間以上を費やした。
2024年のデイトナ24時間を制した7号車ポルシェ963を、当時フェリペ・ナッセ、デイン・キャメロン、マット・キャンベルとシェアしたニューガーデンは、それから1年以上が経った今月、ウェザーテック選手権のテストドライバーとして初めてIMSAのプログラムに復帰した。
今回も7号車をドライブした2度のインディ500ウイナーは午前中のセッションで慣熟走行を実施。「デイトナでの走りを見ればわかるように、このチームが12カ月でどれだけ進歩したかがわかるね」とニューガーデン。
「見ていて楽しかった。僕はいつもこのグループを応援しているし、彼らは毎週末、少しずつ前進している」
一方、マクラフランのスポーツカーの経験はずっと最近のことだ。彼は1月末に行われた24時間レースでGTDプロクラスの91号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(トラックハウス・バイ・TFスポーツ)をシェーン-ヴァン・ギスバーゲン、コナー・ジリッシュ、ベン・キーティングとシェアしてデイトナに戻ってきた。
それから2週間と経たないうちに、ニュージーランド出身の彼はふたたびスポーツカーのコクピットに収まり、初めてポルシェ963で周回を重ねることとなった。
マクラフランは5年前にセブリングで初めてインディカーのテストを受け、タワー・モータースポーツから参戦した2023年のセブリング12時間ではLMP2クラスで優勝を飾っている。
マシュー・ジャミネ、キャンベル、ケビン・エストーレと6号車をシェアした彼は木曜日の朝、10数周を走り終えたあとに笑いながらこう語っている。
「このマシンはLMP2マシンよりずっと乗り心地がいいよ。僕はここセブリングでは素晴らしいタイムを出してきた。以前乗ったLMP2カーはとても楽しかった。このレースはとても楽しいよ」
「(いまのところ)このテスト以上の計画はないよ。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの人々と一緒にレースをするために、ここに来たわけではないんだ。むしろ、何か別のクルマをドライブするチャンスなんだよ」
「ポルシェ(のLMDhカー)に乗るのは初めてだった。だから、いろいろと聞いたよ。マット(・キャンベル)とは何度も話した。ニュージーランド出身の僕からすれば、オーストラリア出身の彼は似たようなものだしね。彼とマシンを共有し、彼から学ぶのはクールだよ」
ニューガーデンとマクラフランのふたりは、オフシーズンの間、どのシリーズでも限られた時間しかサーキットを走っていない。今週セブリングのショートコースで行われたインディカーのテストは、両ドライバーにフルタイムの仕事を再開させ、筋肉をストレッチするチャンスを与えることになる。
「どのようなドライブでも役に立つが、このチームは素晴らしいね」とニューガーデン。
「今回のテストは、彼らが12時間レースに戻ってきたときのためにデータを取得する意味でも、僕自身を適用させるためのものでもあった」
マクラフランは「何周かラップを重ねて首の調子を整えることは、シーズン前の僕にとって大きなことだ。1周1周を楽しんでいるよ」と付け加えた。
次に自然と出てくる疑問は、マクラフランがいつ、ポルシェ963でレースデビューを果たすかということだ。次戦のセブリング12時間を含め、今季2025年のIMSAミシュラン・エンデュランス・カップ(IMEC)レースはインディカーのイベントとバッティングしていない。しかし、ポルシェ・ペンスキーはIMECで加わるサードドライバーをすでに決定しているため、彼を起用する可能性は打ち消されている。
GTPデビューのために何をしなければならないのか。マクラフランはその答えを冷静に受け止め、「今日はクラッシュしないようにするよ!」と語った。