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服薬する際、錠剤が喉に引っかかり飲み込みにくいと思う方は多いだろう。
今、SNS上絵で大きな注目を集めているのは、そんな時にうってつけの商品「お薬クラッシャー」。容器に錠剤をセットし、フタを回すだけで薬を砕いてすりつぶすことができるという画期的な商品だ。
お薬クラッシャーは薬剤師のfukkatiyさん(@T_Fukawa0315)の「全国の薬剤師が戦慄する商品みつけた…」という投稿により大きく情報拡散。
100円ショップで見かけたというこの商品について、fukkatiyさんは「砕かなければ飲めない状態であれば、医師・薬剤師へ相談してください。他の方がおっしゃっているように、中にはダメな薬もあります」「処方箋では、医師から『粉砕』の指示が来て、薬剤師がその妥当性を検討します」と警鐘を鳴らしている。
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fukkatiyさんに聞いた。
ーー投稿に対し大きな反響がありました。
fukkatiy:今回の投稿に対して、「絶対に砕いてはいけない」派のかたや、「便利なものを紹介していただいてありがとう」派の方など、様々な考えをお持ちの方々がいらっしゃいました。薬剤師の立場からすると「砕いても良い場合もあるし、悪い場合もある。便利かもしれないが、便利さが薬の効果や副作用のリスクを犠牲にしてはいけない」と私は考えています。 一般の方々と我々専門家の認識に差があるということは、薬剤師が国民の方々に啓蒙をする意味があるということだと思いますので、今回の件で広く知ってもらうことができたのは良かったと考えています。
ーーこの商品について薬剤師としてどのように思いますか?
fukkatiy:商品そのものはとても便利だと思います。薬剤師として医師の指示により粉砕をすることがありますが、複数日分をまとめて調剤するため、成分のロスや安定性の問題が生じます。医師、薬剤師の了承のもとの使用が前提とはなりますが、当該商品を使用し、服用のタイミングでご自身で粉砕していただくことで、安定性の問題をクリアし、ロスも最小限になるのではないかと考えます。
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薬局で粉砕するとかなり時間がかかりますので、時間的なメリットもあるかも知れません。知り合いの薬剤師から、購入したいから販売店を教えて欲しいと連絡があったくらいです。 また今回複数の方からご意見をいただき、猫ちゃん用の需要があることを知り驚きました。動物用であっても製剤的工夫がなされているものもありますので、粉砕の際には獣医師へ確認されるのが良いと思います。
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商品の包装にも一応、使用時は医師や薬剤師の判断をあおぐよう書いてあるのだが、注意書きなど読まずに商品を利用してしまう人は多い。便利グッズが普及するのはいいことだが、医療や安全にかかわる場合はよくよく見極めて扱いたいものだ。
fukkatiyさんプロフィール
薬剤師。病院・薬局で勤務経験のある大学の実務家教員
メッセージ「全国の薬学部では5年生時に病院、薬局でそれぞれ11週間ずつの実務実習を行っています。学生にとっては、それまで学んできた知識を他人のために初めて使う貴重な機会になります。学生がいることで、いつもよりおくすりの準備に少しだけ時間がかかったり、薬剤師の指導のもとでおくすりを学生が渡したりすることがあると思いますが、ぜひあたたかい目で見守っていただけましたら幸いです。普段から実習生を受け入れている薬局をご利用中であれば、『学生がいるときは学生とお話がしたい』とお伝えいただけましたら、学生だけでなく薬剤師もたいへん喜ぶと思います。将来の国民のために、薬剤師という専門職を存続させるために、ご協力いただきたく、お願い申し上げます」
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
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