“おひとりさま女性”への風当たりの強さはなぜ?アラフォー独身・元キー局アナの私が実感する

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2025年02月21日 09:20  女子SPA!

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 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第22回となる本記事では、とあるネット記事をきっかけに「おひとりさま女性」について考えます(以下、アンヌさんの寄稿)。

◆なかなか攻めたタイトルの記事を発見

 最近友人から、ネット記事のリンクと共に「この文章どう思う?」という連絡があり、タイトルを見て仰天した私。

 それが、

【「生涯独身なんて迷惑なだけ」カッコよかった伯母の「家じまい」が大変すぎた!36歳姪が見た独居老女の「わがまま御殿」】

 というもの。ひえ〜!! 言論の自由があるのは確か。ただ……なかなか攻めたタイトルに、思わず固まってしまったのでした。

 男性をメインターゲットとしたファッションウェブメディア「FORZA STYLE」に掲載されたもので、身内の「家じまい」に関するトラブルを取材していく中で、伯母の家の片付けをほとんど一人で担うことになってしまい大変苦労した、という30代女性のインタビュー記事です。

 家主はコラムに登場する「女性」の父親の姉にあたる人物。おそらく生涯一度も結婚したことがなかったよう。よく一人で海外旅行に行くような活動的な伯母で、「女性」はそれに憧れた時期もあったと。

「女も経済的に自立しなきゃダメよ。自由が手に入らないわ」と、よく言っていた伯母であったものの、その伯母が亡くなった際、憧れていた気持ちがなくなり、人生観が変わったといいます。

 遺品整理をする人物がいなかったために、父親から「ちょっとお小遣いをやるから」手伝ってくれないかと言われたそう。

 いざ着手してみると、『自分のためだけに稼いで、自分のためだけに生きてきた人の住まいだな』と感じた、とその「女性」は語ります。

◆自ら生計を立てて好きなものに囲まれた生活が“わがまま”?

 自分に投資して、さまざまな経験を重ねる豊かな「独身ライフ」。そんなイメージだった伯母の暮らしも、亡くなったあとを覗いてみれば、自分のためだけにお金を使った“わがまま御殿”のように見えた、と。

 うーん、読み応えががあり、かつ多くの議論を呼びそうな内容、さすがとしか言いようがありません。

 まず……女性が自ら生計を立て、一人暮らしで自分の好きなものに囲まれて生活を送っていくことは“わがまま”なのでしょうか?

 結婚せず子どもを残さないことは、自己管理ができていないということなのでしょうか?

 自分の趣味や、お高い家具に囲まれた家でも、それが「夫との生活」があり、また「子育てのため」という理由があるのだったら、それはわがままにはならないということなのでしょうか。

 確かに遺品整理で数々の「モノ」に辟易とした経験、私もあります。

 それは実の親であっても、兄弟であっても、終わりのない整理にイライラしたり、残された現金が少なくて、結局赤字にしかならないことに納得いかないなんてことはままある訳ですが、独身の伯母が、自分の好きなものを並べて生きていたことそのものを、「わがまま」と呼ぶのは気の毒すぎやしないか? と思うのです。

 お小遣いをあげるからと言われて、遺品整理に着手したわけですが……そもそも相続放棄をすれば、このような面倒なことは起きないわけです。親類だからという理由で、自分が我慢をしなくてはならないという論理にはなりません。遺品整理、嫌ならやらなきゃいいわけです。お小遣いなんて受け取らなきゃいいのでは? なんて私は思っちゃう。

◆フリーランス・独身の私の疑問「なぜ独身だと寂しいの?」

 私は現在アラフォー独身。もしかしたら何の前触れもなく、急に事故に巻き込まれたり、何らかの発作で倒れることだって考えられます。確かにそのときに向けて自分の財産はどうするのか、および愛犬の処遇をどうするのか、行政書士や弁護士等のプロの力を借りて考えておくのはありだなと思いました。

 女性がある程度歳を重ねた上でひとりで生きていくということに、現在の日本においてなぜかよくわからない風当たりの強さがいまだにあると感じます。

 私はフリーランスで、独身。

 時折、うちのワンちゃんのために家を買いたいからお金稼がなきゃ、みたいなことをつぶやくと、結婚しないんですか? 寂しいし先が不安ですよね? なんて聞かれることがあります。

 なぜ独身だと寂しいと言う図式になるのか? フリーランスで経済的な後ろ盾がないと、なぜ結婚したら?という話になるのか。

 この思い込みこそがまだまだ日本における女性の立場の弱さを象徴していると私は思えてならないのです。

◆なぜ女性だと“おひとりさま”のハードルが高いと思われるのか

 2024年に世界経済フォーラム(WEF)が発表した日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位。政治・経済分野は低迷が続き、男女格差が埋まっていない現状が示されています。

 衆議院の女性議員比率は約1割にとどまり、女性首相がひとりも出ていない状況も変わっていません。

 これから日本社会は、“おひとりさま”がどんどん増えていくことが予想されます。それは男性女性に限らずですが、独身のフリーランスが安心して老後を生きる、という権利がなぜ女性だとまだまだちょっとハードルが高いと思われがちなのか……。

 そんな世の中はおかしいと思うのは私だけでしょうか。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne

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  • いっせーのせっで死ねない限りお一人な時間は誰にでもあるし、子供が居たからって縁切って(切られて)も多々、私は我慢してるのに〜の僻みか透けとるわ
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