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大河ドラマ『光る君へ』で存在感を高めた俳優・瀧内公美(35)が、ここでも凄みを炸裂させている。
一人芝居のセリフ全暗記
芥川賞作家・中村文則による小説を映画化した『奇麗な、悪』(2月21日公開)で、上映時間78分間をたった一人で喋り倒す。
『ソナチネ』『GONIN』のプロデューサーとして知られる奥山和由が、約30年ぶりに劇映画監督に復帰した実験的作品。古い洋館に吸い寄せられるようにやって来た一人の女性(瀧内)が、自らの過去を赤裸々に独白する。まるで目の前に精神科医がいるかのように…。
一人芝居に挑戦するのは初めて。瀧内は「一人語りなんてやったことがないからやってみようかなぁ、なんて」と冗談めかして微笑みながら「一番の決め手は私の中にある好奇心です。新しい事にチャレンジすることで自分の強みや弱点を見てみたかったのかもしれません」。自身の演技に対する姿勢を採点する気持ちで飛び込んだ。
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70ページ弱の脚本の長セリフもすべて暗記。「映画なので舞台とは違いカットを割るわけですが、ワンカット撮影になった時でも対応できるようにすべてのセリフを頭と身体に入れこみました」
その根性と気迫は演技の中にもおのずと滲む。「撮影前に奥山監督に途中経過をお見せしたところ、『凄く生々しく伝わってくる』と仰ってくださって。私が作り上げた方向性で撮影に臨むことが出来ました」
太鼓判を得たとはいえ、瀧内には不安があった。「共演者とのお芝居だと、相手とのやり取りの中で伝わるものや、思いもよらない変化が生まれたりします。でも今回はその相手がいない。すべて自分一人の表現で完結する分、私の無意識な所作が意図しない意味を生んでしまうことも。どこまで自分のお芝居を固めて、どこまでを曖昧にしてカメラの前で試すのか。その塩梅が難しかったです」
撮影初日にまさかの…
しかし作品を拝見すると、スクリーンから飛び出さんばかりの瀧内の気迫と迷いのなさに驚かされる。撮影ではどの程度のトライ&エラーを繰り返したのだろうか?気になって尋ねてみたら、驚きの答えが返ってきた。
「今回は実験的にやってみようという事で何度か撮影を行なっていく形が予定されていました。ところが撮影初日にALL OKが出てしまいまして。撮影期間は最初と最後の街を歩くシーンを含めて、たった3日。恐ろしいでしょ!?」と笑い飛ばす。
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あっと言う間に監督&スタッフ全員を唸らせる最高値を叩き出した瀧内の表現力の高さを表すエピソード。だが御本人は満足とは程遠い場所にいる。
「その日にできる最大限を出し切った感覚はあるけれど、撮影を終えて残ったのは、もっとやれたことがあったのではないか?という悔しい気持ち。もっともっと未知の所へ手を伸ばせたのではないかと」
その言葉は裏を返せば自分自身に対する期待でもあるわけで。「満足することなく悔しがって諦めきれないのは、私の中でそれだけ演技に対するこだわりがあるということ。今回の挑戦を通して自分は映画が好きで、演じることはもっともっと好きなんだと改めて感じる事が出来ました」
(まいどなニュース特約・石井 隼人)
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