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「亡くなる2時間ほど前。私の枕元にブランケットを敷いて一緒に寝ようと思ったら力を振り絞ってヨロヨロとベッドを降り、スヤスヤ眠る小さな子の横に向かいました。自分から近寄ることはあまりなかったのでビックリしました。ゆきちちゃんから託されていたのかな」
【写真】「あいたいね」生前、娘ちゃんとは距離をおいていましたが…
普段は近寄らなかった娘のそばで寝顔を見つめていた愛猫
息を引き取る2時間ほど前、眠っている2歳の愛娘のそばに横たわったという愛猫のエピソードが、X(旧Twitter)で話題になりました。
投稿したのは、飼い主さん(@yukiimaruchan)。今は亡き愛猫は、まるちゃん(雄)です。今年1月15日の午前3時頃、虹の橋を渡りました。10歳と10ヶ月でした。飼い主さんによると、まるちゃんは普段娘さんに近寄ることをしないのに、死を迎える直前に飼い主さんのベッドから降りて、自分から娘さんのところへ近づき向き合いながら横たわったといいます。
「大変驚きました。それまでどちらかというと娘とは距離を置いているイメージでした。それは、手加減できない2歳の子が怖かったからだと思います。この時、私の枕元で一緒に寝ようとしたらヨロヨロとベッドを降り、下の布団で寝ている娘の隣に横たわりました。優しい眼差しで娘の寝顔を見つめ、まるでお別れを言っているように見えました」
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その後、熟睡している娘さんの寝相に巻き込まれないようにと、飼い主さんは足元のスペースにまるちゃんを移動させて、娘さんの隣には旦那さんが寝ていたとのこと。やがて、まるちゃんは時間を追うごとに息づかいが荒くなってきて、飼い主さんも朝まで付き合うつもりでまるちゃんをなでながら添い寝していたそうです。そして…最期、まるちゃんは静かに旅立ちました。
半年間に2匹の愛猫とつらい別れを経験
実は、まるちゃんが旅立った半年前にもう1匹の愛猫、ゆきちちゃん(雄)ともお別れをしたという飼い主さん。立て続けにつらい別れを経験しました。
「ゆきちちゃんは21歳の大往生でした。昨年の1月末に急に具合が悪くなり、半年間腎臓と心臓の治療をしていましたが7月13日にこの世を去りました。ゆきちちゃんの場所を取ることがまるちゃんの生きがいで、張り合ってはいつもシャー!と怒られていましたね。ただ、ゆきちちゃんがいなくなってしまった後、まるちゃんは目に見えるほど気落ちして…ベッドの下から出てこなくなっていたんです。とても心臓が悪くなっていました。余命数カ月といわれ、信じられない思いで毎日過ごしてきました。それでも半年頑張ってくれて。最期は家族全員寝ている布団の上で息を引き取りました」
そんな飼い主さん家族に愛されたまるちゃん。虹の橋を渡った後、娘さんもとても寂しがっているそうです。
「まるちゃんの入った棺を閉める際は『いやだ!ここがいい!』とそれまで寝かせていたケージを指差し、泣いて嫌がりました。お葬式の意味は分かっていないと思いますが、本能的にお別れを察したんだと思います。またふと思い出しては『まるちゃん どこいった?』とつぶやいたり、まるちゃんのイヤークリーナーを見つけて『まるちゃんのおくすり!お耳掃除してあげよう!』とイヤークリーナーを片手に寝室に探しにいったりしていました」
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愛猫、多頭飼育崩壊寸前のブリーダーから保護されたスコティッシュだった
飼い主さん家族とお別れしたまるちゃんは、多頭飼育崩壊寸前のブリーダーさんから生後8カ月ほどで保護されたスコティッシュフォールド。猫風邪を引いたことが原因で外耳炎をこじらせ、おうちにお迎えした当初はよく耳が聞こえていなかったようだったとのこと。とても臆病で人に懐くまでに5、6年かかったとか。その分、先住猫のゆきちちゃんに遊んでほしくて、後を追いかけては怒られていたといいます。そして、まるちゃんが8歳の時に娘さんが生まれ、ふたりの兄猫たちに囲まれながら娘さんは育ち、猫が大好きになったそうです。
最後に愛猫たちの死と直面し思ったことを、飼い主さんはこう話します。
「独身時代に初めて飼った猫がゆきちちゃんでした。あまりに愛おしくてペットロスを避けたくて迎え入れたのがまるちゃんでした。2匹飼ってみると同じ猫とは思えないほど個性が違い、代わりになることなどないどちらもかけがえのない存在になりました。ゆきちちゃんは人生の半分近くをともにしたこともあり、このままずっと一緒にいてくれるのではないかと錯覚したほどです。いなくなるという感覚がありませんでした。それに11歳差の猫をまさか半年の間に立て続けになくすとは思ってもみませんでしたし。今帰宅して猫の気配がないことが不思議で仕方ありません。猫の出入りがあるので、いつも半開きだった習慣もしばらく抜けそうにないです。
またふたりの骨壷はそれぞれの首輪をかけてリビングに並べてありますが、娘が『いっしょだね!』と指を差した時には涙が止まりませんでした…きっとふたりは天国で再会し仲良く寄り添っているのではないかと思っています」
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今回虹の橋を渡ったまるちゃんの投稿には、心を打った人たちからたくさんのコメントが寄せられました。
「愛を感じる」
「きっと天国で見守ると思います」
「『付いててやれなくてごめんな。大きくなるんだぞ。』って言ってそう」
「最後を悟って、近くで顔を見たかったんでしょうね。今までありがとうって言ってそうな穏やかな表情がまた目頭が熱くなる」
「最後の力を振り絞って…健気なまるちゃん ありがとうね…」
「悲しさ、寂しさも感じましたが、いいお話を見られて嬉しかったです。ありがとうございました」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)