自民、公明、日本維新の会3党の合意文書案取りまとめを石破茂首相に報告した後、記者団の取材に応じる自民党の小野寺五典政調会長(中央)=21日午後、首相官邸 自民、公明両党と日本維新の会の政調会長は21日、2025年度予算案の修正に向けた合意文書案をまとめた。維新は文書案が受け入れ可能か週明けの25日にも党内で議論する。維新内には予算案賛成に慎重意見も残るが、吉村洋文代表(大阪府知事)は正式合意に前向きな姿勢を示しており、文書案は了承される公算が大きい。
与党は了承が得られ次第、3党党首会談で正式に文書案に署名し、予算案の衆院通過を急ぐ考え。ただ、立憲民主党などが採決の前提として求める旧安倍派会計責任者の参考人聴取の見通しは立っておらず、憲法に基づき年度内の自然成立が確定する3月2日までの衆院通過は困難な情勢だ。
吉村氏は21日夜のBSフジ番組で、文書案に関し「実行すれば維新が掲げたことを実現できる。社会を変えられるなら、そちらの方に進んでいくべきだ」と表明。この後、記者団に「明確な案ができた。大きく前進している」と語った。吉村氏は大阪選出の国会議員を中心に影響力を持つ。
自民の小野寺五典、公明の岡本三成、維新の青柳仁士各政調会長は21日、断続的に協議し、合意文書案で一致した。
文書案は維新が予算賛成の条件の一つとする教育無償化を巡り、私立高校生向け就学支援金を「45万7000円に引き上げる」と明記。もう一つの条件である社会保障改革に関し「国民医療費を最低4兆円削減し、現役世代の社会保険料を年間6万円引き下げる」との維新の主張を念頭に置くと記した。25年度予算案を「年度内の早期に成立させる」との方針も盛り込んだ。
会談後、小野寺氏は石破茂首相(自民総裁)に協議の結果を報告。青柳氏は記者団に「協議はこれで終結する。党内で判断を仰ぎたい」と語った。ただ、維新が旧安倍派会計責任者の参考人聴取確定を最終合意の条件としていることもあり、署名にこぎ着けられるか、なお不透明な要素も残る。
与野党は予算案採決の前提となる中央公聴会を25日、教育・社会保障に関する集中審議を26日に行うことで合意。ただ、分科会の日程では折り合っていない。野党は「政治とカネ」など2テーマに関する集中審議も要求しており、自民幹部は3月2日までの衆院通過は「厳しい」と語った。
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自民、公明、日本維新の会の政調会長協議=21日午後、国会内
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記者団の質問に答える日本維新の会の前原誠司共同代表(中央)ら=21日午後、国会内