2017年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』第33話「嫌われ政次の一生」BS松竹東急で2月27日放送(C)NHK BS松竹東急(無料放送・260ch)で、昨年10月から放送している、柴咲コウ主演の大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017年)。毎週木曜日に2話ずつ放送(後6:15〜8:00)しており、27日には第32話「復活の火」、第33話「嫌われ政次の一生」が放送される。第33話「嫌われ政次の一生」は、高橋一生演じる井伊家家老・小野政次の壮絶な最期が描かれた回で、NHKで初放送された当時も大いに話題となった。今回の再放送にあたり、高橋がこの“伝説回”を振り返ったコメントが公開された。
【画像】幼なじみの直親、政次の場面写真――政次を演じる上で心かげていたことを教えて下さい。
【高橋】三浦春馬さん演じる直親が“太陽”とするなら、政次は“月”であることでしょうか。撮影に入る前の衣装合わせで、監督の渡辺一貴さんから説明いただきましたが、井伊家の衣装は暖色を使い、小野家は寒色を使いたいと伺っていました。それに加えて脚本の森下佳子さんの描く物語を照らし合わせつつ、夜であっても井伊家を陰ながら照らす月であることを心掛けていました。
――全編通して思い出に残っていることはありますか?
【高橋】第11話「さらば愛しき人よ」で、コウさん演じるおとわ、春馬さんの演じる亀と、幼なじみとして過ごしてきた井戸の前で談笑する場面がありました。この後まもなく、3人は運命に引き裂かれることになりますが、僕はこの場面がとても好きです。物語上大人になりかけの3人が、束の間子どもの頃に戻ったように感じながらお芝居をしていました。自分のキャリアとしても、その場面としても、夢のような時間だったと記憶しています。
――第33話「嫌われ政次の一生」は、名エピソードとして今でも多くの人に語り継がれています。当時どのような気持ちで撮影に臨まれたのかでしょうか。また、ご自身がお考えになる33話の見どころを教えてください。
【高橋】政次の最後の撮影の日は、最後の場面のみが撮影されました。その日は眠れず、まるで自分が処刑されるような感覚でした。政次の人生と自分の人生がない混ぜになって、これでこの現場、現世を離れてしまうことの寂しさと、やり残したことも伝えられなかったこともわかっているのに、これでよかったんだと胸を張れるような不思議な気持ちだったことを覚えています。
見どころは政次を取り巻く井伊の人々でしょうか。わかりにくい政次の心を、皆さんの表情からすくい取れるんじゃないかと思います。その中で、コウさん演じる直虎は最後まで“月”のために、井伊のために”太陽“で居ようとします。アンバランスな比翼連理でしたが、この2人にとってはこうすることでしか思いを表現できなかったのではないかと、今は思います。
■『おんな城主 直虎』とは
戦国時代に男の名で家督を継いだ遠江・井伊家の領主、井伊直虎(柴咲)が、大国に領地を狙われる中、知恵と勇気で難局を切り抜け、頼もしくも個性豊かな仲間たちと力を合わせて国を治めていく姿を鮮やかに描いた大河ドラマ。
表向きは反目しながらも幼なじみである直虎を誰よりも思い、「井伊家を守る」という強い決意を秘めた政次(高橋)。そんな政次の本心を直虎も感じ取り、主君と家臣の関係を越えて、いつしか2人は固い絆で結ばれる。しかし、乱世の荒波は遠江にも及び、武田、今川、そして徳川の間に挟まれた井伊家と直虎は窮地に陥り…。
【第32話】「復活の火」
武田信玄(松平健)と徳川家康(阿部サダヲ)による今川攻めが避けられない状況になる中、政次は今川氏真(尾上松也)の信頼を得ることに成功。政次と裏で手を結ぶ直虎は家康に書状を送り、徳川の遠江侵攻に協力する代わりに井伊家を復活し家臣の列に加えてほしいと願い出る。そんな中、ついに武田による駿河侵攻が始まる。その破竹の勢いに今川国衆の寝返りが相次ぎ、氏真は絶体絶命の危機を迎える。
【第33話】「嫌われ政次の一生」
徳川と内通していた直虎と政次は、約束通り徳川勢の井伊谷への進軍を受け入れようとするが、その軍勢に向かって突然矢が放たれる。徳川の先導役を務めていた近藤康用の罠であった。徳川勢に弓を引いた罪を政次に押し付け、井伊谷をわがものにしようと企んだのだ。政次の潔白を主張する直虎はろうに閉じ込められるが、そこに現れたのは他でもない徳川家康であった。