王者トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)と袂を分つことになったGMシボレー陣営 オーストラリア大陸最高峰のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップにて、王者トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)と袂を分つことになったGMシボレー陣営が、その2026年以降も「シリーズへの参戦を継続する」とのコミットメントを明言。さらに新たなホモロゲーションチームを模索するうえで「緊急性を持って行動する」とし、明確なタイムラインは未定ではあるものの、決定は「最優先事項」としている。
この1月末に開催されたフォード・パフォーマンスのシーズン・ローンチイベントにて、名門T8が2026年からのフォード電撃復帰を発表。ホールデン時代から続くGMシボレー陣営での15年間を経て、ブルーオーバルとふたたび力を合わせることを明らかにした。
そのT8は現時点でもGMシボレー陣営のホモロゲーション登録担当チームに指定されており、現行Gen3規定スーパーカーであるカマロZL1の設計と開発を主導。当然のようにフォードも、最終的には陣営内のチームによる投票結果に委ねられるものの、スーパーカー部門の新たな“HT(ホモロゲーションチーム)”としてT8を指名したい意向を表明している。
さらに2026年よりシリーズへの新規参入を表明しているTOYOTA GAZOO Racingオーストラリアは、現在フォード陣営に所属するウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)をホモロゲーションチームに指名した。
今週末の2月21〜23日にシドニー・モータースポーツパークで開催される2025年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ開幕戦『スリフティ・シドニー500』を前にした現地木曜に、メディアラウンジに応じたGMの幹部は、改めて「このスポーツで非常に深い意味でリセットし、復活する計画がある」との展望を語った。
「私たちはスーパーカーとこのスポーツに全力を注いでおり、今後数年間の契約をすでにスーパーカーと締結しています」と話したのは、GMオーストラリア&ニュージーランドのマネージングディレクターを務めるジェス・バラ。
「私たちは今でもこのスポーツに全力を注いでおり、シリーズに参戦することを心から楽しんでいます。GMはさまざまな観点から見て、ここオーストラリアで70年近くスーパーカーとモータースポーツ業界に関わってきました」
「そしてGMSVの観点からオーストラリアとニュージーランドで私たちが市場に投入しているプロダクトを見ると、多くのカスタマーもこのスポーツに非常に熱心であることが分かります。当社は企業として、この大陸のスーパーカー、モータースポーツ業界、そしてレースシリーズの前進に尽力していきます」
同じくシボレー・レーシングでゼネラルマネージャーを担当するクリス・ペインも「ひと言で言えば、まだ終わっていない」と付け加えた。
「これは我々が慣れていない状況だ。シボレー・レーシングのチーム全体は平均以下の敗者であり、皮肉なことにトリプルエイトの決定により、我々は突然、このスポーツの弱者として位置づけられると言えるかもしれない」と続けたペイン。
その厳しい言葉どおり、2010年よりホールデン陣営に加入したT8は、シリーズ最大の祭典『レプコ・バサースト1000』で7勝、ドライバーズチャンピオンシップは9冠、通算で12回を誇るチームチャンピオンシップのうち11回を獲得する圧倒的な存在として君臨してきた。
新しいホモロゲーションチームの命名については「明確なタイムライン」は設定されていないが、ペインは2025年が終わる前に命名することは「実現可能」だとの展望を示す。しかしフォードからチームを連れてきてラインアップを強化する短期的な計画はないとし、改めて陣営内での「リセット」に注力することを強調した。
「このスポーツにおけるGMとフォードの伝統の勝負に挑み、トヨタの台頭に対抗するために、そうする必要がある」と続けたペイン。
「シリーズと連携し、GMの新しいHTの任命に迅速に取り組むつもりだ。今日は明確なスケジュールをお伝えできないが、緊急性を持って行動することを約束する。これは最優先事項なんだ」
「ただし、新しいHTに転換する適切な時期までは、これまでどおりT8と連携する。その後、新しいHTへの非常にまとまりのある移行、および引き継ぎ期間が設けられると予想している。
現在、GMはスーパーカーでエレバス・モータースポーツ、マット・ストーン・レーシング(MSR)、プレミアエア・レーシング、ブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)、そしてチーム18を抱えている。
そのうちエレバスは、シボレー・カマロによるGen3時代の幕開けとなる2023年のシーズンに、ドライバーズとチームズのチャンピオンシップを制覇し、昨季2024年はバサースト1000で優勝も飾っている。