61号車メルセデスAMG LMGT3(アイアン・リンクス) 2025年WEC公式テスト“プロローグ” アイアン・リンクスは、WEC世界耐久選手権でメルセデスAMGとの新しいパートナーシップに備えるために「非常に厳しい」ターンアラウンドをこなしたと、チーム代表のアンドレア・ピッチーニは述べた。同氏はシュツットガルトのブランドとの関係に「満足」しているという。
このイタリア籍チームは冬の間にブランドを変更し、ランボルギーニとの以前のパートナーシップを終了し、代わってLMGT3クラスに2台のメルセデスAMG GT3 Evoを投入することになった。
これにより、アイアン・リンクスは5年連続でWECのグリッドに留まることが確実となり、同時に昨年LMGT3から除外されたメルセデスAMGは、念願の世界選手権への出場枠を獲得した。
「まず第一に、我々ははるかに良い環境を見つけたと思うし、AMGとの関係が発展していることに満足している」とピッチーニはSportscar365に語った。
「昨年は非常にストレスの多い状況から抜け出した。正直に言うと、スタートが非常に遅かったのだ」
「非常に混乱した状況だったと言わざるを得ないが、、最終的にはすぐに彼らと良好な関係を築くことができた。非常に緊密な関係だったので、お互いにサポートし合うよう努めた。チームとして全員が役割を果たしたと思う」
「我々は彼らにできる限りのアドバイスとサポートを提供し、彼らはその一方で、マシンを迅速に開発しようとした。HWAでマシンの組み立てを(2月9日の夕方に)終え、我々はそれを成し遂げた」
「マシンをホッケンハイムに持ち込み、10日にロールアウトを行った。丸一日のロールアウトだ。そして12日にマシンを飛行機に載せてここ(カタール)へ運んだ。かなりの短期間だ」
ピッチーニは、ホッケンハイムでのロールアウトを含め、アイアン・リンクスはメルセデスAMGのマシンで5日間のテスト走行を完了しており、昨年末にはポルティマオとバレルンガで追加のテストを行い、その後マシンをLMGT3仕様に変更したと説明した。
「いずれにせよ、100%準備が整ったと感じることは、決してない」と彼は語った。
「昨年よりもずっと良い状況にあると思う。昨年はどのメーカーにとっても初年度だったが、今年はメルセデスAMGがチャンピオンシップに新規参入する唯一のメーカーだ。だから我々は確実に1年遅れていることになる」
「正直に言って、我々は(1月に行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦の)デイトナに非常に興味を持っていた。トルクセンサーなど、WECで使用されているものと非常によく似たシステムを搭載したクルマが初めて走るのを見たかったからだ」
「このクルマのパフォーマンスは驚くほど良かったと言わざるを得ない。レースの終わりまでにこのクルマは非常に速かったので、かなり楽観的に感じた」
「そう、昨年のランボルギーニのことを思い返すと、ここに来る前には何もしていなかった。バルセロナで半日ほどロールアウトしただけで、ここに来たんだ。昨年よりも実際に良くなっているので、前向きに考えよう」
ピッチーニは、メルセデスAMGが初となる世界選手権のキャンペーンで提供しているサポートについても、「非常に良い」と述べている。
「彼らはメーカーが行うべき標準的なサポートを提供してる」とピッチーニ。
「もちろん彼らは車両の開発をすべて行っており、ここトラックでは非常に良いサポートを提供している」
「BoP(性能調整)担当者がいて、チャンピオンシップのすべてを追跡することに専念するエンジニアがいる」
「彼らにはシステムエンジニアとパフォーマンスエンジニアがいるので、彼らはWECのチームをサポートするためにかなりの努力を払っていると思う。ELMSでもそうだが、特にここではそうだ」
「彼らにとって、WECに参戦し、ル・マンに戻る機会を得ることは本当に重要なことだと思うので、我々は同じ方向に向かっていると感じている」
「先ほども言ったように、最初から物事はかなりうまくいっているように見える。これは簡単だという意味ではなく、すぐにうまくいくという意味ではないが、少なくともアプローチは正しい」
■長期契約を結んでいたランボルギーニと決裂
このアイアン・リンクスとメルセデスAMGとの新たな提携は、同チームがランボルギーニとの関係を終了した後に行われたものだ。WECのハイパーカークラスでは、ランボルギーニSC63のLMDhプログラムを運営するという複数年と思われていた契約に、このオフ幕が下ろされた。
また、このイタリアのブランドとは、GTワールドチャレンジなどでも手を組んでいた。
SC63は今年のWECには参加していないが、IMSAには引き続き参戦しており、新たな提携先であるライリー・モータースポーツとともに、ミシュラン・エンデュランス・カップに取り組んでいる。
アイアン・リンクスとランボルギーニの関係の終了について尋ねられたピッチーニは、次のように答えた。
「我々は長期契約を結んでいた。皆さんもご存知のとおり、これは我々が長い間望んでいたことではあるが、ある時点で状況はうまくいかなくなってしまった」
「我々はできる限りのことをした。LMDhとGTの双方で継続する準備はできていたが、継続する可能性はもうなかったんだ」