ヴァルキリー“車名変更”の理由/トヨタのリザーブは?/シューマッハーにコーチ帯同etc.【WECプロローグ初日Topics】

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2025年02月22日 10:30  AUTOSPORT web

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アストンマーティン・ヴァルキリーのカウルが外されたリヤエンド
 WEC世界耐久選手権は2月21日、開幕前の“プロローグ”テスト初日を終えた。この日、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットではふたつのセッションが行われ、総合トップタイムはキャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車を駆るアレックス・リンが記録している。

 初日の走行を終えたルサイルのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■性能調整が小変更

 カタールラウンドの改訂版のBoP(性能調整)が発行された。今週初めに公表されたオリジナルバージョンと比較して、小さな変更が加えられている。

 アルピーヌA424の重量は1044kgと、以前より1kg重くなり、トヨタGR010ハイブリッドは1kg軽くなってポルシェ963の1064kgと同等になった。

■LMGT3のサクセスバラストは新システムに移行

 カタールでデビューする2025年用の新しいLED情報パネルに関するルールの明確化が発表された。このパネルは、以前のリーダーライト・システムに取って代わって車両側面に設置されるもので、故障するとペナルティが科せられるという規定は廃止された。

 LMGT3クラスにおけるサクセスバラストシステムは、“過去のリザルトに基づいて、ラップタイムの一定割合で車両に不利益を科すことを目指す”新しいサクセスハンディキャップに置き換えられた。

 この数字は、直近2レースの結果とチャンピオンシップのランキングを使用して計算され、上位3台にはそれぞれ 0.24%、0.16%、0.08%の不利益が科せられるというものだ。

 これに関連するブルテンでは、各ハンディキャップは「ACO/FIA の裁量で、質量および/またはパワーに変換され、各競技の前に送信されるBoPテーブルで通知される」と記されている。なお、このシステムは、ル・マン24時間レースでは適用されない。

■改修されたサーキット

 チームのスポークスマンによると、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは金曜日のセッションの合間に6号車ポルシェ963の予防的エンジン交換を実施した。この交換の前、セッション1でローレンス・ファントールがトラブルに遭遇し、電気パワーのみでピットへとマシンを戻していた。

 プロトン・コンペティションの77号車フォード・マスタングGT3 は、ベン・タックが運転していたオープニング・セッション中に火災が発生し、最終的にストップしたため、セッション2を欠場した。ベン・バーカーによると、さらなる評価を行う前に、車両を解体する必要があるという。

 昨年の開幕戦以来、ルサイル・インターナショナル・サーキットのいくつかの縁石が、あまり攻撃的でないように変更されている。これは、昨年11月のF1世界選手権の開催前に行われた作業だ。

 また、トラックリミットをより適切に管理するために、特定のコーナーの外側には幅2メートルのグラベルが追加されている。

■1月のテストに参加していた宮田莉朋

 トヨタGAZOOレーシングには今年、指定のリザーブドライバーはいない。昨年は宮田莉朋がその役割を担ったが、トヨタはレギュラードライバーのマイク・コンウェイが負傷のためル・マン24時間レースに出場できなくなった際、LMGT3でレクサスRC F GT3を走らせるアーディスASPチームからホセ・マリア・ロペスを呼び戻して7号車を運転させることを選択した。

 TGR-E(トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ)の中嶋一貴副会長は、レギュラードライバーが負傷または病気になった場合に備えて「計画」が立てられていると述べ、将来ロペスが再び呼び出される可能性を否定しなかった。

「準備の整ったドライバーは何人かいますが、我々の最優先事項はリザーブドライバーをクルマに乗せるような事態を避けることです」と彼はSportscar365に語った。

 一貴副会長はまた、昨年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2クラスでレースをした後、今シーズンはFIA F2に専念している宮田が、1月にポール・リカールで行われたトヨタのテストでGR010ハイブリッドをテストしたと明かした。

「我々はまだ彼に経験を積ませようとしていますが、彼の現在の焦点はF2にあります」と一貴副会長は述べている。

■名前を変えて「ハード」でデビューへ

 グッドイヤーの広報担当者は、今年後半にサンパウロでデビューする予定の新しい『イーグル・ハード』コンパウンドは、昨年『ミディアム・プラス』という名前でデビューする予定だったコンパウンドと同じものであることを認めた。

 これは、既存のミディアムタイヤと新しいコンパウンドの違いを理解しやすくするためであり、新しいタイヤは最初のスティント後、性能低下がよりゆっくりになることが予想されている。

 グッドイヤーはまた、『ウイングフット・アワード』の見直しについても発表している。今後はトラックサイドの観客と自宅で観戦する視聴者の両方の投票によって決定されるとのこと。昨年までは、レース中に最速のスティント平均タイムを達成したLMGT3ドライバーに与えられていた。

■「AMR-LMH」表記の消滅

 公式セッションにデビューしたアストンマーティン・ヴァルキリーは、以前は車名末尾に「AMR-LMH」という表記がこのブランドによって付けられていたが、現在WECの公式エントリーリストやその他の関連文書では単に「アストンマーティン・ヴァルキリー」とされている。

 アストンマーティンの広報担当者によれば、この表記の変更は、レースカーと、ベースとなるロードカーをより近づけるために行われたものだという。

■メルセデスAMGは「イージー」

 アイアン・リンクスのチーム代表アンドレア・ピッチーニは、昨年12月にポルティマオで行われたチーム初の新車テストの最後に、メルセデスAMG GT3 Evoを試乗したことを明らかにした。このイタリア人は2021年シーズンの終わりに現役から退いていた。

 この遠征についてピッチーニは次のように語った。

「とてもイージーだった。ガレージから出て、1コーナーを過ぎれば、まるで家にいるような気分になる。だから、最初のアプローチとして、このクルマは非常にシンプルだと言えるだろう」

■鉄人クリステンセン、来る

 プジョーは、ハイパーカープログラムの新しいチームマネジャーにマルコ・パストリーノを任命した。以前グリッケンハウスで働いていたこのイタリア人は、来週のカタールレース後にその役職を離れるクリスチャン・デルトンブの後任となる。

 元フォードWECドライバーのディルク・ミューラーは今週カタールに滞在中で、同胞のミック・シューマッハー(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のコーチとして働いている。

 ル・マン24時間レースで9回優勝したトム・クリステンセンは、来週開催される開幕戦カタール1812kmレースにWECの特別ゲストとして参加する予定だ。

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