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今回のお悩み「そろそろ一人暮らしをしたいけれどお得に引越ししたい」
これまでずっと実家暮らしでしたが、30歳を目前に親から「そろそろ一人暮らしをしてみたら?」と言われたこともあり、初めての一人暮らしを検討しています。でも、期限が明確に決まっているわけではないので、できることなら初期費用や引越し業者の料金が安い時期に引っ越したいです。いつ頃から動きだせば良いのでしょうか?(20代後半/総合商社)
■初めての一人暮らしには意外とお金がかかる?
一人暮らしに必要な費用には、賃貸物件を借りる費用、引っ越し費用、家具、家電、その他生活に必要な道具や日用品などさまざまです。
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初めて一人暮らしをする場合は、基本的にこれらすべてをそろえると、一度に大きなお金が必要となり、おおよそ100万円を目安に準備しておくことをおすすめします。これらの費用を少しでも安く済ませるために、それぞれの費用感と節約方法を紹介します。
■家賃は手取り月収の3割以内が目安
一般的に家賃は手取り月収の3割以内に収めることで、貯蓄をしながら生活ができるラインとなります。たとえば手取り21万円なら、家賃は7万円までに抑えたいところです。
とはいえ、あまり安すぎる物件にも注意が必要です。駅までの距離が遠い、建物や設備が古く壁や床が薄い、日当たりが悪い、繁華街に近くて明かりや騒音が気になる、住民の騒音やゴミの出し方が適当……などのネガティブ要素が無いか、セキュリティー面などもしっかりとチェックしておきたいところです。
■賃貸物件の初期費用の目安は家賃の4〜6カ月分
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賃貸物件を契約する場合に必要なお金は、退去時の原状回復費用などに使われる「敷金」、貸主(大家さん)に渡す「礼金」、不動産仲介業者へ支払う「仲介手数料」、翌月分の家賃となる「前家賃」に加えて、保証会社を利用した場合は、保証委託料として月額賃料の50〜100%、「火災保険料」や他、初期費用として、鍵交換費用などがあります。
物件によって、敷金は家賃の0〜2カ月分、礼金0〜2カ月分、仲介手数料0〜1.1カ月分の範囲で設定されていることがほとんどです。
ここで問題です。どの条件が良いと言えるでしょうか?
A 敷金0 礼金2 仲介手数料1.1 B 敷金2 礼金0 仲介手数料1.1 C 敷金1 礼金2 仲介手数料0
答えは……B
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どれも家賃の約3カ月分の初期費用ですが、「敷金」は、退去時の原状回復費用や家賃の未払い時に使われるもの。退去時の状態によっては一部返還される可能性があります。一方、「礼金」は大家さんに支払うもので、返還されません。
つまり、できるだけ礼金の負担や仲介手数料の負担が少ない方が、トータルで支払いの負担が減るのです。また、敷金0物件もありますが、退去時に支払いが発生するか、かなり古い物件など何かしらの理由が考えられますので、敷金が0の理由を不動産仲介業者の担当者にたずねてみても良いでしょう。
では、具体的な初期費用の計算をしてみましょう。
家賃6.8万円 管理費2,000円合計7万円の物件の初期費用 敷金1カ月分、礼金1カ月分、仲介手数料1.1カ月分、保証料100%、前家賃1カ月分の場合…… 敷金・礼金 6.8万円×2=13.6万円 仲介手数料 6.8万円×1.1=7.48万円 保証料 6.8万円×1=6.8万円 前家賃 7万円×1=7万円 合計34万8800円
これに加えて、火災保険料、その他費用がかかりますのでこの場合は40万円が目安です。また、敷金が2カ月分、礼金が2カ月分になると、ここに13.6万円が上乗せされて、55万円ほどになります。
■ここで豆知識。敷金と入居時チェックリストの関係とは?
一般的には退去時に管理会社が修繕の箇所の有無をチェックして、賃借人(不動産を借りる人)の落ち度でできた傷や破損など、修繕が必要な場合は、それらの修繕費用を差し引いて、不足があれば追加で請求され、余れば後日指定口座に返還されます。また、契約に清掃費用を引くという内容が盛り込まれていたら、退去時に清掃費用も差し引いた金額が振り込まれます。
敷金を少しでも多く戻すには、必ず入居時チェックリストは作成して、提出することを忘れてはいけません。
入居時チェックリストとは、壁や床の傷、破損など自分が付けた傷や破損ではないとチェックしたものを、規定の締め切り日までに不動産仲介業者へ送付するものです。引っ越し前に部屋の隅々、水回り、換気扇などをしっかりとチェックして、気になるところは記入しましょう。これをしっかりやることで、退去時に敷金が戻りやすくなります。
■賃貸物件が安くなる時期はあるの?
賃貸物件にも繁忙期があります。繁忙期は1月から3月で、進学、就職、転勤のシーズンに最も賃貸物件が動きます。この時期はよほどの理由が無い限りは避けた方が無難です。
その理由は、気に入った物件があっても、すぐに他の人に取られてしまう可能性があるためです。不動産は原則、椅子取り合戦方式ですので、先に申し込みをした人が優先となり、繁忙期はじっくりと物件を選ぶには最も適さない時期といえます。
物件を探すなら、繁忙期が過ぎて、退去後のルームクリーニングなどが終わった6月以降、8月までがおすすめです。この時期になると、不動産があまり動かず、なかなか借り手が見つかりにくくなるため、家賃の値引きや、礼金値下げ交渉ができる場合があったり、一定期間の家賃を無料にする「フリーレント」が1カ月分月や2カ月分月付くこともあります。
大家の立場から考えると、数カ月分月も空室にしておくリスクよりも、値段を下げてでも借り手がつくならそれでも良いと考えることもあります。大家さんが個人なのか、企業なのかによっても変わりますが、繁忙期以外なら交渉してみる価値はあるでしょう。
■引越し費用の目安は?
不動産、住宅サイトのSUUMO(スーモ)の引越し費用・料金の相場によると、(※1)単身者の全国平均は、繁忙期の荷物小は、6万1131円、荷物大は8万2148円、通常期の、荷物小は、4万7787円、荷物大は5万9940円です。あくまでも平均ですので、距離や荷物の量によって変わる点に注意しましょう。
■引越し費用を安く抑えるコツ
引越しにも繁忙期があり、例年3月〜4月、9月〜10月に引越しの依頼が集中します(※2)。そのため、この期間は割増料金になるだけではなく、希望日に引越しができない可能性もあります。繁忙期の引越しはできるだけ避けるようにしましょう。日程を前後にずらすだけでも、予約が取れやすかったり、引越し料金が安くなったりします。
■引越し費用を安くするおすすめのタイミングは、6月〜8月
6月は梅雨時期、7月〜8月は暑いため引越しを避ける傾向にあり、比較的料金も交渉しやすくなります。それ以外にも、土日祝日よりも平日、時間帯を指定なしにすると割引になります。
他にも、オプションの段ボールやクッション材など割引にならないかなど、交渉をすると良いでしょう。見積もりは、1社だけで決めずに、複数社で見積もりを取って、より良い条件の業者を選ぶようにするのがおすすめです。
■荷物の量が少なければ引越し費用も抑えられる
単身者の場合は、荷物の量が少ないため、段ボールをコンビニやドラッグストアなどからもらってきて、自分自身で荷物をパッキングすると、かなり費用を抑えることができます。また、単身パックで家財のみの運搬や、軽貨物車両を使ってドアツードアで荷物を運んでくれる赤帽を利用する方法もあります。
他にも、友だちが手伝ってくれるのであれば、レンタカーを借りて引越しをする方法もありますが、場合によっては、壁や床を傷つけてしまうなどトラブルの元になりかねないので、できればプロにお願いするのが無難です。とはいえ、引越し当日は、電気やガスの開通、開栓、荷物の搬入、買い物など人手あると何かと助かるので、新居側で対応をしてくれる人がいると、心強いですね。
引越し料金の決まり方は、日程もありますが、基本的には荷物の量と距離です。引越しの荷物を減らす方法としては、家電や家具を購入したら、引越し先に直接配送してもらえば、引越す際の荷物を減らすことができます。
■家電購入費用の目安は約15万円
一人暮らし用の家電を安く済ませるのであれば、家電量販店の新生活家電セットを購入すると、単品でそれぞれ購入するよりも安く購入することができます。とはいえ、メーカーや製品を指定する場合は、まとめて買うので、割引きできませんか? と交渉してみましょう。
他にも、価格.comの最安値を提示してみると、「そこまでは安くできないけれど……」と、値引き交渉ができる場合があります。ただ、中には値引きができない家電もあります。メーカーが販売価格を指定する「指定価格制度」の家電は値引きができないので注意しましょう。
家電量販店の新生活セットの場合、冷蔵庫(2ドア)、洗濯機(縦型)、レンジ、掃除機、炊飯器(3合)の5点セットの場合、11〜12万円が目安です。その他にも、照明やエアコン、電気ケトル、ヘアドライヤーといったものも必要になるので、15万円程度の予算を持っておくと良いでしょう。
家電購入時は、新居に冷蔵庫や洗濯機などがちゃんと設置できるかもチェックする必要があります。新居の内見時に、家具家電それぞれの設置場所とカーテンの寸法を測っておくと、スムーズです。
はじめは最小限の家具家電からスタートして、生活が安定してきたら徐々に必要なものを増やす方法でも良いでしょう。
令和のマネーハック116
繁忙期を避けて物件を探せば、きちんと見定める時間がとれる上に安くなる可能性も! 引越し費用を安くするなら6〜8月がおすすめです。家電は値下げ交渉をしたり、徐々にそろえたりするなどして初期費用を抑えよう。
専門家に聞きたいお金の悩みを教えてください!
※1 参考 SUUMO 引越し見積もり 引越し費用・料金の相場 https://hikkoshi.suumo.jp/soba/#anchor01 ※2 参考 全日本トラック協会HP https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2023/12/hikkoshi_hanbouk2025flyer.pdf
(文:丸山晴美、イラスト:itabamoe)
元の記事はこちら- マイナビウーマン
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