『ANORA アノーラ』 ©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. ©Universal Pictures現代のアンチ・シンデレラストーリー『ANORA アノーラ』から、ショーン・ベイカー監督が「ブルックリンで最高で最大の豪邸」とググって見つけた「リアルロシア新興財閥の邸宅」をとらえた本編映像とメイキング写真が到着した。
第97回米アカデミー賞にて作品賞をはじめ、主演女優賞(マイキー・マディソン)、助演男優賞(ユーリー・ボリソフ)、監督賞、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされている本作。
この度到着したのは、マイキー・マディソン演じるストリップダンサーの主人公アニーことアノーラが、ストリップクラブで出会ったロシア新興財閥の御曹司イヴァンの自宅を訪れ、彼が規格外の大金持ちであることを目の当たりにするシーン。
イヴァンの出自を知らないまま、お調子者でキュートな彼の誘いにのったアニーは、手配されたリムジンでその邸宅に到着。守衛が駐在する立派な門をくぐると、目の前にそびえるのは3階建てのまるでホテルのような大豪邸…。
はやる気持ちを抑えながらインターホンを押し、イヴァンに招き入れられたアニーは息を飲む。
大理石の床がどこまでも続く広々としたリビングには、オーダーメイドの家具がズラリと並び、壁やテーブルにはいかにも高価そうなアートが飾られ豪華絢爛。吹き抜けの天井まで続く大きな窓は抜群の解放感で、家の真ん中にしつらえた螺旋階段は緩やかに2階へと続いている。
どんな客の前でも“よそ行き”の顔を作ることに長けたアニーだが、規格外の客に出会ったらしいことにどぎまぎし、うまく平静を装えない。
そしてイヴァンに促され上階のベッドルームに足を踏み入れたアニーの目の前には、ジャマイカ湾の入り江を見渡す絶景が広がっていた――。
■約47億円の豪邸は、本物のロシア新興財閥の邸宅だった!
「ブルックリンで最高で最大の豪邸」と検索して見つかった、このイヴァンの豪邸のロケ地は、ブルックリンのミルベイスン地区、ジャマイカ湾入り江角地に実際に立つ邸宅。
エレベーター付きの地上3階地下1階建てで、床のべ面積は1,637平方メートル。1階の広いリビングルームに、4つのベッドルーム。図書室、日光浴室、サウナ、書斎、瞑想室、シアター、車6台分の屋内ガレージ、使用人のためのベッドルームを備え、各階のテラスの広さは合計510平方メートル。
内装のタイルやドア、フローリングなどは全て特注品で、ヨーロッパから輸入した鏡と大理石がバスルームの壁に使われている。寝室の壁はバターのようなレザーでできており、他の部屋の壁紙も類を見ない厳選された最高級品だ。
屋外には1,000平方メートルのスパ付きプールやバーベキューキッチン、ヨットを停泊させるプライベートマリーナもあり、ゲストハウスまである。
この邸宅はもともとマフィア関係者が所有していたが、1996年にプーチン大統領の柔道のスパーリングパートナーだったロシアの新興財閥ヴァシリー・アニシモフが手に入れ、洗練された審美眼を持っていた彼の妻が3階を増築、長年かけて改装した。
そして2013年に売りに出された際の価格が3,000万ドル(現在の為替で約47億円)で、当時ブルックリン区で最も高額な物件だった。
いまはロシア系アメリカ人家族が実際に住んでおり、撮影では現居住者の車や家具が使われ、まるで豪邸を内見しているような気分になる。
■物語に説得力を持たせるショーン・ベイカー監督のこだわり
市井の人々を描くショーン・ベイカーの作品にとって、リアリティのある細部は生命線だ。
かつて『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』ではディズニー・ワールドのすぐ近くにあるモーテル。『タンジェリン』では主人公たちの目を通したハリウッドのストリート。つねにキャラクターを取り巻く環境を具体性を持って描写することで、世界の片隅に根差す物語に説得力を持たせてきた。
本作では、実際にロシアの新興財閥がデザインしたこの邸宅が、極端な富という大きな世界を表現することに一役買っており、アニーがそんなものが存在すると想像もしなかった“まるで映画にでてくるような”特権階級の世界を目の当たりにする瞬間が、本シーンに詰まっている。
『ANORA アノーラ』は2月28日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)