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ステージ3Aの「浸潤性小葉がん」がわかり、乳がんで闘病中の梅宮アンナさん(52歳)。昨年11月に右胸とリンパ節を切除する手術を受け、現在は抗がん剤治療中。治療の影響であらわれた副作用、日常生活を取り戻すために始めたリハビリを積極的に行っている。
最近では足のしびれで「砂漠を歩いているよう」
右胸とリンパ節を摘出してから、約3か月が経過。手術前にも行っていた抗がん剤治療を再スタートし、トータル12回の抗がん剤投与のうち、9回目が終了。抗がん剤治療が後半戦に突入し、脱毛以外にも副作用や身体の変化が出始めたという。
「『だいたい6回目くらいからしびれが出てくる』と聞いていたのですが、私も手足のしびれを感じるようになりました。特に足の裏に違和感があり、砂漠の上を歩いているかのよう。ふわふわして歩くたびに気になります」
抗がん剤の影響で卵巣機能が止まっているため、更年期のような症状も突然やってきた。日常生活の“ちょっとした作業”ができないもどかしさも感じているという。
「手のこわばりがあり、うまく“グー・パー”できなくて、力が入らないんです。物を持ってもよく落とすし、ペットボトルや瓶が自分で開けられず、誰かに頼まないといけない。小さなことですが、それはショックでした。
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他にも、かきむしった脚の傷がなかなか治らなかったり、全身の皮膚が少し黒ずみ始めたりして、少しずつ変化を感じています。爪も全然伸びなくなって、もろくなっていて。血中酸素濃度を抗がん剤投与時に測るときのため、指1本だけは残し、それ以外はジェルネイルをして割れないように保護しています」
ブラをつけると背中側がむくみで膨らむ
そんな抗がん剤の影響を感じる中で、身体のために始めたのがピラティスだ。右腕は上がるようになったものの、スムーズに動かせるようになるにはリハビリが必要になる。
「ピラティスは怪我のリハビリ用に開発されたエクササイズといわれています。私のような術後のケアを必要としている人や、怪我をされたスポーツ選手などもサポートしている先生と出会い、できる範囲で身体を動かしています」
もともとフルマラソンのレースに参加するなど、身体を動かすことが好きなアンナさんにとって「ピラティスは今の私に合っている」と語る。心地よいと感じながら行う運動は、心の安定にもなっている。また、リンパ節も切除したことで、右胸周辺のリンパ浮腫(むくみ)も出てきた。
「胸の切除した部分や右腕全体、背中がむくみやすくなってきました。左胸はあるのでノーブラで外出するわけにもいかなくて……。ブラジャーをつけて3時間くらい経つと、背中の右側がむくみで膨らんでしまう。主治医の先生に相談したところ、リンパ浮腫ケア外来のある専門のクリニックを紹介してもらいました。そこに通ってマッサージを受けています。
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さまざまな副作用に直面して痛感したのは、術後のケアは自己主張が大事ということ。自分が困っていること、つらいことは、主治医や看護師さんにどんどん相談するべき。我慢したり、医療関係者からのアドバイスを待つばかりではなく、患者側からのアクションも必要だと思います」
全12回の抗がん剤投与が終わると、次は16回の放射線治療が待っている。「春までにどちらも無事に終えることが目標」とアンナさん。その後は、ホルモン剤を10年、分子標的薬の飲み薬を2年服用する予定で、乳がん治療はまだまだ長い道のりが続く――。
「手術で取り除いたから終わりではない。考えたくはないですが、私の場合は再発や転移の可能性もなくはないので、心の準備はしておきたいと思っています。先のことを考えると落ち込むこともありますが、私はがんを公表したおかげでSNSを通してみなさんに励ましの言葉をいただき、情報交換できることが何よりの支えになっています。自分で自分の心のバランスを保ちながら、がんと闘っていきたいと思います」
梅宮アンナ●1972年生まれ。モデル・タレント。父は俳優の故・梅宮辰夫さん。20歳でファッションモデルとしてデビュー。シングルマザーとして仕事と子育てを両立。
取材・文/釼持陽子
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