GPDAの理事に選出されたカルロス・サインツ(ウイリアムズ) 今季ウイリアムズからグランプリに出場するカルロス・サインツは、引退して久しいセバスチャン・ベッテルの後任として、F1ドライバーらによって組織されるグランプリ・ドライバー・アソシエーション(GPDA)の理事に選出された。
GPDAには事務局長が1名おり、元グランプリドライバーのアレクサンダー・ブルツが務めている。ブルツはモナコ在住の弁護士アナスタシア・ファウルとともに協会の日々の業務を運営している。しかし、GPDAの規約により、リーダーシップ体制に2名の現役ドライバーも追加され、サインツがジョージ・ラッセル(メルセデス)とともにこの役職に選出されるかたちで加わった。
ラッセルは、F1からNTTインディカー・シリーズに戦いの場を移したロマン・グロージャンの後任として、2022年の初めに投票で選出されたが、ベッテルの後任を見つけるのは困難だった。なぜなら、ベッテルは依然としてグランプリレースに積極的な関心を持っており、2025年か2026年に復帰する可能性を検討していたためだ。
レッドブルやアウディとの最初のコンタクトは、元チャンピオンの復帰に向けて何の成果も生まなかったため、ベッテルのグランプリドライバーとしての日々が終わったことは明らかだった。このドイツ人ドライバーはGPDAのディレクターを辞任し、同僚ドライバーの大多数の投票によりサインツが選出された。
フェラーリからウイリアムズへと移籍したサインツは、あらゆる物議を醸す問題に対して、つねにバランスのとれた熟考された見解を持っていることから、論理的な候補者として浮上した。彼はドライバーの安全と行動に関するあらゆる問題について、つねに合理的かつ詳細な分析を提示することができると信じられているため、同僚たちが投票しなければならなかったとき、サインツは理にかなった選択肢となった。
最近、FIA国際自動車連盟が“不適切な言葉”を使ったドライバーに厳しい罰則を課すと発表したことを受けて、サインツはこの件に関していつもどおりの慎重な見解を示し、ライバルチームのメンバーからも広く称賛された。
スペイン人ドライバーは、自身の観点から「記者会見のような管理された環境では、ドライバーはいつ罵倒語をコントロールすべきかわかるほど充分に成熟しているべきだ」と説明し、「そのような状況で罵倒語を使うべきではないと思うし、何を言うべきか何を言うべきではないかを判断できるほど僕たちは年齢も正気も充分持ち合わせていると思う。僕にとって、それは教育とマナーの問題だ」とつけ加えた。
しかし、彼の注意を引いたのは、ドライバーがチームと直接コミュニケーションを取った際の発言に対して適用される可能性のあるペナルティだった。サインツは、次のように弁明した。
「僕たちが無線で言ったことについては、いま起こっていることに同意できない。こういうことに関しては、あまり厳しく取り締まりべきではないと思う。なぜなら、(ドライバー以外の人々は)プレッシャーやアドレナリン、無線を開いたときの車内での僕たちの気持ちを理解することはできないからだ。そしてF1にとって、そのような瞬間があることは良いことだと心から思う」
サインツは最後に次のように付け加えた。「あの情熱を耳にするとき、あの言葉を聞くとき、たとえ無線で悪態をつくことがあっても、僕にとってそれはF1に残すべきもので、なくすべきではない」
GPDA理事に選出されたことについて、「僕は自分が携わるスポーツに情熱を注いでおり、僕たちドライバーには関係者と協力してこのスポーツを多くの面で前進させるために全力を尽くす責任があると考えている」と語ったサインツ。
「だから、GPDAの理事の役割を引き受けることで、自分の役割を果たすことができてとてもうれしく、そして誇りに思っている」