WECから“体重の不利”消滅へ。新バラストルール導入が正式発表、基準は『82kg』

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2025年02月25日 19:40  AUTOSPORT web

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ルサイル・インターナショナル・サーキットで車検を待つトヨタGR010ハイブリッド
 WEC世界耐久選手権は、2月28日にカタールで開幕を迎える2025シーズンから、ドライバーの体重をバラストで補正する新システムの導入を決定した。

 2月24日、WECコミッティーが発行した技術ブルテンにより明らかになったこの新規則では、基準よりも体重が軽いドライバーの車両に追加のバラスト搭載を義務付けることによって、背が高く体重の重いドライバーが直面してきた不利を解消することが目指されている。

 WECではここ数年、体重の重いドライバーが度々不利を訴えてきた。とりわけフェラーリAFコルセのドライバーであるジェームス・カラドは、過度な減量によって入院を強いられた過去を明かすなど、ルールの改正を要望してきた。

 シリーズはこれらの状況を鑑みバラストルールの導入に至った模様で、すでに先週、開幕戦と同じくルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた公式テスト『プロローグ』の公式タイムスケジュールにドライバーの体重計測の時間が設けられていたことから、新システムの導入が強く予見されていた。

 この規則での基準体重は、ハイパーカー、LMGT3の両クラスともに82kgに設定されており、たとえばドライバーの体重が70kgである場合は、12kgの追加バラストを搭載する必要がある。

 ドライバーの体重は、ヘルメットやHANSデバイスなどのフルキットに加えて、シートインサートまでも含めて計算され、平均値は最も近い整数に丸められる。また、レース中のドライバーの体重の予測変動が考慮される。

 追加のバラストは、車両の公認重量配分を遵守しながら、指定された場所または複数の場所に搭載する必要がある。

 各車両に追加されるバラストは、予選およびハイパーポールの場合、それらのセッションに参加しているドライバーのみに基づき、レースとプラクティスにおいては、すべてのドライバーの体重の平均に基づいて適用される。

 このブルテンのなかでは実際に例が挙げられており、仮に『77.8kg』『80.2kg』『82.9kg』という体重を持つトリオの車両の場合、その平均は80.3kg。補正バラストは82マイナス80.3で1.7kgと計算されるが、四捨五入して整数にならすため、『2kg』と算出される。したがって、この車両のBoP(性能調整)上の最低重量が1030kgである場合、1032kgで基準を満たすことになる。

 先述のとおり『プロローグ』ではドライバーの公式計量がすでに行われているが、テクニカル・デリゲートは予選の1時間前まで、抜き打ちでのチェックを行う権利を有しており、ドライバーの体重が当初申告した体重を下回っていることが判明した場合、追加のバラストペナルティが適用される。

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